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あなたに伝わる心理学「メルケル首相のメッセージが素敵すぎるその理由」③

緊急事態宣言における日本の内閣総理大臣と東京都知事のスピーチ原稿。
共にかなりメルケル首相のスピーチをパクって来ましたね。明らかに二人の原稿の中身が変わってきていましたが、お気づきになられたでしょうか?

演説はこちら
演説原文はこちら
翻訳はこちらの方のページを参照させて頂きました

今日はまずはメルケル首相の演説ラストの抜粋を置いておきます。

【今は、距離だけが思いやりの表現なのです。よかれと思ってする訪問や、不必要な旅行、こうしたことすべてが感染拡大を意味することがあるため、現在は本当に控えるべきです。専門家がこう言うのには理由があります。おじいちゃんおばあちゃんと孫は今一緒にいてはいけない、と】

【この状況は深刻であり、まだ見通しが立っていません。 それはつまり、一人一人がどれだけきちんと規則を守って実行に移すかということにも事態が左右されるということです。たとえ今まで一度もこのようなことを経験したことがなくても、私たちは、思いやりを持って理性的に行動し、それによって命を救うことを示さなければなりません。それは、一人一人例外なく、つまり私たち全員にかかっているのです】

*提案力を上げたいあなたにおススメです!

☆ ストーリー・テリングの基本構成

そして「皆様、ご自愛ください、そして愛する人たちを守ってください。ありがとうございました」と伝えて終わるこのメルケル首相の演説。
 
その構成においては、これまでの①、②で触れてきたように

1・未来目的を伝え
2・今なぜやるのかを聞き手に提案
3・その行動にどんな価値があるのかを明確、具体的に提示
4・今日、明日にまずどうするを提案

という伝えるストーリー・テリングの王道でした。
コロナウィルスという強大な外敵に対しどう対処していくかという未来目的を相談し、問いかけるところから始め、その後のプロセスで多くの人々を巻き込むように言葉が染み入っていきます。

心理学的視点では、このプロセスから
 
・仲間意識アップ
・個々の自尊心向上
・「命を救う」という人の価値観に深くアプローチ

となり、これでもかと人々に行動動機が生まれます。

 
☆ 表現を間違えない
 
そして、メルケル首相の演説は細部の表現もとても素晴らしいものです。

① 常に主語が「私達」
② 内集団の一人として国民に対し「提案」のコミュニケーション
③ 国民それぞれが誰に対し何をやるのかという「主体性」を信じる
④ 個々の「主体行動」には干渉しない「姿勢(態度)」を貫いている

ということには誰しも気づけるでしょう。

加えて、メルケル首相の感情を動かす「言葉」と「心」と「姿勢」が一致している事です。


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これまでにも触れましたが、人は「強制」や「義務」。あるいは、なし崩し的に「押し付けられる(報われない)」とモチベーションがものすごく下がる生き物なのです。

国民のモチベーションを下げるような事態は、この状況下では絶対に避けなければいけません。その点でも、丁寧さや裏表を感じさせないメルケル首相の「態度(姿勢、至誠)」が、国民の主体性を促す効果は高かったでしょう。

そしてもちろん、メルケル首相は約束を守ります。ドイツ政府は、

「クリエイティブな人々のクリエイティブな勇気は危機を克服するのに役立つ。私たちは未来のために良いものを創造するあらゆる機会をつかむべきだ。そのため、次のことが言える。アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は」

と伝え、文化機関や文化施設を維持し、芸術や文化から生計を立てる人々の存在を確保することは、現在ドイツ政府の文化的政治的最優先事項であるとしました。

国民を分け隔てしない。

自らがメッセージとして伝えた目的を達成する為に3月23日に連邦議会で法案を通し、GDPの約2割を投入する計画を立てます。
この財政パッケージには個人・自営業者向けの支援として最大500億ユーロが含まれていて、約一週間後の31日には日本国籍のフリーランサーのアーティストも5000ユーロのキャッシュを手にしていたそうです。

まさに有言実行、言行一致ですね!

これでさらに「信頼」が上昇します(約束を守るというのはリーダーの第一歩なのですが、二重心理に負けて守れない人が多いのもまた歴史が証明しています)。


☆ リーダーの言葉が与える影響は大きい

脳科学者・岩崎一郎さんも

・心の通ったリーダーの言葉が部下の脳を活性化させる
・感謝の気持ちを伝えると部下のモチベーションが上昇する
・信頼できるリーダーの下で部下は能力を発揮する
・リーダーの真摯な心が部下の行動を変える

といった科学的考察が述べられています。
政治家を選ぶときは国民への愛情が深い事や顔の見えない国民の事を想像できる能力が、出身大学や血筋よりも重要だという事です(もちろん経営者の場合には「社員」に置き換わるだけです)。

人々の記憶の仕組みはエピソード記憶とも呼ばれ、「感情」をキーとしたストーリーに依る部分も多いのです。我々コーチが感情を想起させていくのも、こうした脳の仕組みを使った「目標行動」を促進させる力があるからといえます。

口だけ、言葉だけは同じようなことを言ったとしても、人は相手の本音から生まれる「態度」や「熱量」といったものを感知します。

ですので、こうした有事には自分達の事を自分事として感じ、行動できるリーダーが必要です。そして、こうした良きリーダーを育てる為にも、私達自身も自分以外の誰かに貢献できるライフスタイルを持っていること。それが当たり前の世の中に向かっていくと良さそうです!

ドイツで起こっている事は、今の我々にも参考にし、行動に移すことが出来る事も多い筈です。特に回避傾向が強い日本人にとっては、こうした「良きお手本」はとても良い影響を与える事でしょう。

いよいよ次回はフィードバックですかね。

頑張って早めに上げていきたいです。
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ではでは!

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