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2022年日本映画賞のすべて

みなさんこんばんは。
今回は2022年の映画を対象とした日本の映画賞をまとめ、ポイント制でランキングにしてみました。
昨年の記事はこちら↓

各部門ランキング

対象とするのは
 日刊スポーツ映画大賞(日スポ)
 報知映画賞(報知)
 ブルーリボン賞(ブルーリボン)
 毎日映画コンクール(毎日)
 ヨコハマ映画祭(ヨコハマ)
 日本アカデミー賞(日アカ)
 キネマ旬報ベストテン(キネ旬)
 おおさかシネマフェスティバル(おおさか)

 高崎映画祭(高崎)
です。なお、この記事では()内の略称を用います。

受賞は2ポイント、ノミネートは1ポイントでカウントしています。
※次点、新人賞は1.5ポイント
※ベストテンにおいては1位は2ポイント、それ以下は1ポイント

照明賞

 照明賞は日アカしかありません。ちなみに本家アカデミー賞にも照明賞はありません。

編集賞

 こちらも日アカしかない部門です。

録音賞

 毎日は『ケイコ 目を澄ませて』、日アカは『ある男』がとりました。ボクシング映画である『ケイコ』がとるのは納得できますね。

美術賞

 毎日は『死刑にいたる病』、日アカは『シン・ウルトラマン』がとりました。時代劇は『峠 最後のサムライ』『キングダム2』『ラーゲリより愛を込めて』の3作品。本家アカデミー賞では時代劇の方が美術は強い傾向にあります。

音楽賞

 3賞で割れました。日アカはやはりRADWIMPSというネームバリューがものを言ったのでしょう。個人的には『犬王』がもっととってもいいのにと思ってしまいます。

撮影賞

 こちらも割れました。日アカは『ある男』『流浪の月』『シン・ウルトラマン』『峠』『キングダム2』『月の満ち欠け』『ハケンアニメ!』の7作品が技術賞をまわしています。つまり作品賞5作品と大作『峠』『キングダム2』だけ。これ以外の作品を投票する人たちは観ていないのでしょうね。

脚本賞

 『夜明けまでバス停で』がキネ旬とおおさかで受賞しており一歩抜けています。ノミネートもしていないのは日アカのみ。そしてやはり先ほど書いた作品で固定されていることが分かるでしょう。『峠』の脚本はかなりヒドいですよ。ちゃんと観ました・・・?
 『PLAN 75』はカンヌで受賞しておりアカデミー賞日本代表に選ばれていることから無視できなかったのでしょう。
 『愛なのに』が毎日で入っているのが嬉しいですね。

ドキュメンタリー映画賞

 キネ旬では「文化映画」という名称でベストテンが選出されています。歴史が長く権威のある毎日、キネ旬がドキュメンタリー作品をちゃんと選出しているのは素晴らしいことだと思います。『牛久』はかなり強烈な作品でしたね・・・

アニメーション映画賞

 報知、毎日、日アカの全てでノミネートされたのはゴールデングローブ賞にあがった『犬王』、大ヒットした国民的アニメ『ONE PIECE FILM RED』、そして新海誠最新作『すずめの戸締まり』でした。
 しかし3賞の受賞作はそのどれでもありませんでした。報知は森見登美彦原作の『四畳半タイムマシンブルース』、毎日は自主製作の短編『高野交差点』、日アカはクオリティが高く海外でもヒットした『THE FIRST SLAM DUNK』でした。
 日アカは国内メジャー作品、報知は海外も含めたメジャー作品、毎日はインディー作品が多い印象です。

助演女優賞

 複数候補にあがったのは『ハケンアニメ!』尾野真千子と『ある男』清野菜名のみであり、かなり割れました。
 総合的には報知とおおさかで受賞した尾野真千子がトップです。続いてキネ旬を受賞した『あちらにいる鬼』広末涼子が二番手、日スポとブルーリボンを受賞した清野菜名と日アカを受賞した安藤サクラが三番手となっています。
 ヨコハマを受賞した『PLAN 75』河合優実、毎日を受賞した『さがす』伊東蒼は健闘しましたね。『窓辺にて』玉城ティナはもう少し伸びるかと思っていたのですが厳しかったですね。作品が小さすぎたのでしょう。

助演男優賞

 こちらも複数受賞したのは『ハケンアニメ!』柄本佑と『ある男』窪田正孝のみです。
 ヨコハマを受賞した『PLAN 75』磯村勇斗、日スポとヨコハマを受賞した柄本佑、報知を受賞した『流浪の月』横浜流星、毎日と日アカを受賞した窪田正孝の4人が同率1位です。
 『よだかの片想い』中島歩が日アカ以外で候補にあがり単独二番手にあがりました。なだそこまで知名度がない中で健闘しました。
 キネ旬は『ケイコ 目を澄ませて』三浦友和、おおさかは『ラーゲリより愛を込めて』桐谷健太、高崎は『LOVE LIFE』永山絢斗が受賞しました。

主演女優賞

 ここは日スポ、ブルーリボン、ヨコハマを受賞した『PLAN 75』倍賞千恵子と毎日、日アカ、キネ旬、高崎を受賞した『ケイコ 目を澄ませて』岸井ゆきのの一騎打ちでした。まさにベテランと若手の対決、という感じでいいですね。
 その二人になんとか食いついたのがヨコハマ、おおさかを受賞した『ハケンアニメ!』吉岡里帆でした。
 『千夜、一夜』田中裕子、『百花』原田美枝子や『あちらにいる鬼』寺島しのぶらベテラン勢が思ったよりも伸びなかったですね。

主演男優賞

 割れに割れました。複数受賞したのは『土を喰らう十二ヶ月』沢田研二のみでした。それだけ決め手に欠ける主演男優がいなかったということでしょう。
 日アカで受賞した『ある男』妻夫木聡が一応の一番手ですがその差はないも同然、二人が一点差で二番手につけます。『死刑にいたる病』阿部サダヲはノミネート数を稼いだものの受賞はなし、逆に毎日とキネ旬で受賞したものの他の候補には一つもあがらなかった沢田研二の二人です。
 日スポは『とんび』阿部寛、報知は『沈黙のパレード』福山雅治、ブルーリボンは『ラーゲリより愛を込めて』二宮和也、ヨコハマは『愛なのに』瀬戸康史、おおさかは『夕方のおともだち』村上淳にいきました。

監督賞

 こちらも主演男優賞と同じくらい割れています。複数受賞したのは『夜明けまでバス停で』高橋伴明のみでした。
 トップはブルーリボンを受賞、ヨコハマで新人監督賞を受賞した『PLAN 75』でした。続いてキネ旬、おおさかを受賞した高橋伴明が二番手につけます。それ以下はもうほぼ変わらないですかね。
 日スポは『流浪の月』李相日、報知は『さがす』片山慎三、毎日は『ケイコ 目を澄ませて』三宅唱、ヨコハマは『恋は光』小林啓一、日アカは『ある男』石川慶、高崎は『春原さんのうた』杉田協士が受賞しました。
 ここで注目すべきはおおさかで新人監督賞を受賞した『マイ・スモール・ランド』川和田恵真と『やまぶき』山﨑樹一郎でしょう。ヨコハマの新人監督賞、早川千絵とともにこれからの日本映画界でどのように活動していくかが楽しみな三人です。

作品賞

 報知、ブルーリボン、日アカと大衆的な賞を受賞した『ある男』、毎日、キネ旬、高崎と玄人向けの賞を受賞した『ケイコ 目を澄ませて』という感じでしょうか。
 受賞はないもののほぼ全ての賞で候補にあがった『PLAN 75』と日スポを受賞した『ハケンアニメ!』が続きます。四番手には毎日で次点に選ばれた『夜明けまでバス停で』、五番手には『流浪の月』『さがす』となっています。
 ヨコハマは『恋は光』、高崎は『サバカン SABAKAN』を作品賞に選びました。
 ここまで割れた原因としては飛び抜けた作品がなかった、それに尽きます。日アカをみてもキネ旬をみてもパッとしない印象を受けます。海外で評価され国内でもヒットした、そういった作品がないですよね。
 『ドライブ・マイ・カー』『万引き家族』のように海外で大きな賞を受賞した作品、もしくは『新聞記者』『ミッドナイト・スワン』のようにヒットして賛否両論の論争が起きた作品、そうした話題性が2022年の日本映画には乏しかったですね。

主要6部門を5枠選ぶとすると・・・?

本家アカデミー賞のように監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞の5部門を5枠、作品賞を10枠、それぞれポイント順に選ぶとするとどうなるでしょうか。

助演女優賞

◎尾野真千子『ハケンアニメ!』
 広末涼子『あちらにいる鬼』
 清野菜名『ある男』
 安藤サクラ『ある男』
 河合優実『PLAN 75』

助演男優賞

◎磯村勇斗『PLAN 75』
 柄本佑『ハケンアニメ!』
 横浜流星『流浪の月』
 窪田正孝『ある男』
 中島歩『よだかの片想い』

主演女優賞

◎倍賞千恵子『PLAN 75』
 岸井ゆきの『ケイコ 目を澄ませて』
 吉岡里帆『ハケンアニメ!』
 のん『さかなのこ』
 有村架純『前科者』

主演男優賞

◎妻夫木聡『ある男』
 阿部サダヲ『死刑にいたる病』
 沢田研二『土を喰らう十二ヶ月』
 佐藤二朗『さがす』
 二宮和也『ラーゲリより愛を込めて』

監督賞

◎早川千絵『PLAN 75』
 高橋伴明『夜明けまでバス停で』
 石川慶『ある男』
 廣木隆一『あちらにいる鬼』
 片山慎三『さがす』

作品賞

◎『ある男』
 『ケイコ 目を澄ませて』
 『PLAN 75』
 『ハケンアニメ!』
 『流浪の月』
 『さがす』
 『夜明けまでバス停で』
 『恋は光』
 『冬薔薇』
 『千夜、一夜』

となります。全体的にやはり地味ですがバランスはとれている気がします。

以上、2022年日本映画賞の振り返りでした。
読んでいただきありがとうございました!

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