片づけが苦手な友人にアドバイスしたことは、以前その友人からアドバイスされたことだった。
先日、片づけが苦手な友人と会った。
片づけの相談がメインで会うわけではないので、片づけの話はあくまでも雑談の延長なのだけれど、こういう仕事をやっているとちょっとした相談をうけることは少なくない。
前に会ったとき、友人にこう伝えたことがある。
「一人で片づけるのは限界があるから、だれかと一緒に片づけたほうがいいよ」
別にセールスをするつもりではなくて(笑)
実際、仕事をしていてホントにそう思うから。
片づけに限った話ではないけれど、何事にも一人でできる限界ってあって、そこを超えてしまうと100%以上の力を出さないといけないから。
でも友人は「あれから、頑張って少しずつ自分で片づけてるよ!」と報告してくれた。
続けて彼女はこう言った。
「片づけているときにあっちもこっちも気になって、結局全部が中途半端になってしまうんだよね。どうすればいい?」
私「視覚をうまくコントロールするといいよ」
友人「え?シカク??」
私「そう。視覚。」
* * *
ふだん私たちは、片づけるときにシートの上にモノを出してから分けるという手順を踏む。
私の記憶が正しければ、今でこそどの片づけのプロも当たり前のように専用のシートをしいて作業をしているけれど、昔はそうじゃなかった気がする。
もちろん、シートを敷いていた人もいただろうけど、少なくとも今よりは”シートをしいて作業をする”のはスタンダードでなかった。
シートを使うようになったのは、お客様のものを床の上に直接置くのはちょっと抵抗が…という気づかいが始まりだと思うのだけれど、シートを使う利点はそれだけではない。
これから分けるものをほかと区別するためだ。
「今から分けるのはこのシートの上のものですよ。」と、シートの上に意識を集中してもらうためなのだ。
* * *
ただ、物量が多いであろう友人宅の場合、いくら床にシートをしいて分ける作業を行っても、ふと視線を上げれば周りに置いてある物がどうしても視界に入ってしまう。
片づけ中に意識がそれたとき、それを引き戻すのも片づけのプロの役目。
だから、物量が多い人ほど一人じゃなくて誰かと一緒に片づけるのが有効だったりする。
そこで友人にはシートをしいてやってみることに加え、逆に周りの物をシーツなどで隠してみることもアドバイスした。
友人はすごいいいことを聞いた!とばかりに「やってみるね!」と言ってくれた。
* * *
実はこれと同じような会話を、今から4、5年ほど前にもしていた。
ただ違うのは、友人がアドバイスする側で私がされる側だ。
当時、わが家の下の子たちは小学生低学年。勉強が苦手で理解に時間がかかるタイプなので、宿題のプリントもやたら時間がかかる。テストに至っては時間内に最後までたどり着けない。
どうしたらいい?と聴いたことがある。
なぜならその友人は教育関連者だったから。
そこで友人がアドバイスしてくれたのは、
「プリントの半分を隠してみたら?」
友人曰く、一枚丸ごとだと量に圧倒されてしまって解けないタイプの子がいるそうだ。特に低学年であればあるほど。
でも、そういう子は少ない量ならできたりする。だからまずはプリントの半分を隠してやらせる。半分が終わったらもう半分ってすると、以外と最後まで解けたりするよ。
なるほどーーー
確かに私も、子どもの頃、教科書に定規?下敷き?をあてながら読んでいたかも。どこ読んでるかよくわからなくなってたからやってたんだけど、あれは視界に入ってくる情報を無意識のうちにコントロールしていたんだなぁ。
* * *
勉強でも片づけでも、苦手なことへのアプローチの仕方って似ているのかもしれない。
できないわけじゃなくて、処理しきれないだけかもしれない。
情報を取り入れるとき、多すぎる情報は処理しきれなくなってしまい思考が停止してしまうタイプの人は、その人が処理できる適切な量を見えるようにしてあげることで、思考停止が防げる。
ヒントはいろんなところに隠されている。
今度友人に会うときは、効果があったかどうか聞いてみようと思う。
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