ドラッグストアのスーパー化?経済産業省の統計から読み解く
統計データからコロナ禍の小売業界のトレンドを読み解くシリーズ第3弾です。今回はドラッグストア業界を取り上げます。例によって経済産業省の統計データを活用して読み解きます。
ドラッグストア企業はコロナ禍でも安定的な売上を確保しています。特に食品の売上高が大きく増加しています。「ドラッグストアのスーパー化」と呼べるような状況にあります。
以前に作成したものはこちら。
コロナ禍で業績を伸ばしたドラッグストア業界
2020年は、コロナ禍で人々のライフスタイルが大きく変化したことで、小売業の勝ち負けがはっきりしました。テレワークの普及や、外出自粛による在宅時間の増加により、都市型立地に強かった業態は苦戦しています。
買い物の場所が消費者の自宅周辺に移行する中で、郊外に立地するスーパーマーケットやドラッグストア、ホームセンターは業績を伸ばしています。ドラッグストアは前年から6.8%増加しており、スーパーに次ぐ勝ち組でした。
コロナの影響が少なかったドラッグストア
上記のグラフはドラッグストアの売上前年比の推移を示しています。これを見ると、前年に増税前の駆け込み需要が発生した9月を除き、ドラッグストアの売上は比較的安定していたことが良く分かります。
ちなみに、1月~3月に大きくプラス成長しているのは、昨年のマスク特需によるものと考えられます。
巣ごもり消費で食品の売上が大幅増
売上の内訳を商品別に見てみます。すると、商品のカテゴリによって大きく様相が違っていることに驚きます。大きく分けると、食品、雑貨は上昇トレンドです。一方、ヘルスケア、化粧品は減少トレンドにあります。
ドラッグストア業界の中でも、食品に強みを持つ企業の業績は極めて好調です。同社の食品比率は約6割と圧倒的です。ちなみに、業界上位のツルハHDやウエルシアHDの食品比率は約2割です。
コスモス薬品が最近発表した決算によれば、純利益は49%増加しています。
食品が好調な一方で、化粧品の売れ行きは非常に悪くなっています。背景には、2つの要因があると考えられます。一つは、コロナ禍では外出自粛によるメイク需要の減少です。もう一つは、訪日外国人の激減によるインバウンド売上の減少です。
今回は、「ドラッグストアのスーパー化」とも呼ぶべき消費トレンドについて取り上げました。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?