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【1分解説】武田薬品が導入した「クローバック制度」とは何か?

武田薬品が国内の大手製薬会社で初めて「クローバック制度」を導入することを決めました。クローバック制度とは、ヒトコトで言うと「不正会計や投資に失敗したら役員報酬を返還する」制度です。

クローバック制度とはなにか?

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同制度は、問題が発生した場合に支給済みの役員報酬を強制的に会社に返還させるものです。

対象は業績連動報酬ですから、端的に言えば「もらったボーナスを返しなさい」ということです。

適用の条件としては、

① 投資に伴う巨額損失
② 大幅な業績下方修正
③ 不正会計など不祥事

などが想定されます。

実際に、アメリカの大手金融機関ウェルズ・ファーゴではクローバックが発動し、約150億円の役員報酬が返還されました。同社では不正営業問題がトリガーとなりました。

なぜクローバック制度を導入するのか?

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同制度の目的は「経営者が責任をとらず高額報酬を持ち逃げすることの防止」です。

役員報酬の業績連動部分が大きい欧米で導入が先行しています。アメリカでは製造業の9割(91%)が既に導入済みです。

業績連動報酬とクローバック制度

武田薬品は、19年1月に6.2兆円でアイルランドの製薬大手シャイアーを買収しています。株主は、この買収に起因する損失が将来生じた場合に、取締役に責任を問えるクローバック制度の導入が求めてきました。

近年は日本でも役員報酬に占める業績連動分の比率が高まっています。その分、株主の監視は厳しくなっていくものと思われます。

今回は以上です。

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