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北米(カナダ)で体操は女子のスポーツである

カナダやアメリカでは体操競技(器械体操)は女子のスポーツであるという意識が非常に高いというのをカナダで体操の指導を行っていて感じました。

詳しい例をあげると

1、レクリエーション教室(週に1時間の教室)の男女比は女子95%、男子5%

2、競技用の教室の男女比は女子70%、男子30% (体操を本格的に練習したい女の子は多いですが、女子のコーチが足りないため)

3、体操競技を行っている男子が学校でいじめられるケースがよくある

などがあげられます。

なのでこれがカナダで男子の体操競技が盛り上がらない状況が続いている原因の一つにもなっているのではないかと思われます。

アメリカの男子体操競技ではまだ実績を残しているのでマシだと思いますが、この体操競技は女子のスポーツといったコンプレックスを持っているのを感じられます。


日本とカナダ(北米)の違いはなんなのか?


なぜ日本ではそのようなことが起きずに、北米だけでそのようなことが起こっているのでしょうか?

それにはいろいろな要因が考えられます

1、文化ら考え方の違い

2、アメリカの影響力

3、スポーツへの考え方


1、文化や考え方の違い

まずは北米の考え方では体が大きい、強い、男がかっこいいといった考え方があります。よくハリウッドのアクション映画に出てくる主人公みたいな感じ(ターミネーターのアーノルド・シュワルツネッガーさんみたいな感じです。)

なので学校でモテるのもフットボールやバスケットボールなどをしている長身で強い男子(マッチョ)がモテるらしいです。

なのでそう考えると体操選手は

1、マッチョだが身長が小さい

2、毎日練習で忙しい(遊びにいけない)

3、多くの女子が体操を行っている

といったイメージがあり、学校の中での地位(スクールカースト)の下の方になってしまうことが多いらしいです。

日本でも身長が大きい方がいいとは思いますが、体操に限らずいろいろなスポーツ、習い事などにもっと多い割合の子供達が学校以外の時間を使っていると感じます。そして男子、女子の比率にそれほど差があるようには見えません。

これらが北米との違いだと思います。


2、アメリカの影響力

カナダはアメリカの隣にある国なので様々なことでアメリカの影響を受けます。

例えば今現在、アメリカでは女子体操競技の勢いが凄まじく、近年ではアメリカが最強の時代が続いています。その中で男子体操競技は中々結果を残すことができずにいるのが現状です。

今のカナダを見てみると女子体操競技に関しては東京オリンピック出場を決め、2017年のモントリオール世界選手権ではカナダ代表のエリー・ブラックが個人総合2位などの成績を残しています。このようにカナダ女子は近年どんどんと力をつけているのがわかります。

このように強いアメリカに引きずられるようにして今のカナダ女子も強くなっているのではないかと思われます。

どのようにアメリカの中で女子=体操のイメージが根付いて行ったのかは分かりませんが、それがカナダに影響しているのは間違いありません。

日本に関しても様々な事柄においてアメリカの影響を強く受けていますが、この女子=体操競技のような考え方はありません。

やはりこれは文化の違いによるものが大きいと思います。


3、スポーツへの考え方

実力主義なアメリカではオリンピックなどに出場すると尊敬されますが、カナダでは少し違った考え方があるように思えます。


オリンピック選手であっても普通の人のように扱います

「え?オリンピックいったことあるんですか?へ〜すごいですね。」

くらいな感じです。オリンピックに行っていようが自分みたいな普通の体操コーチと同じような給料で雇うところもあります。

というかスポーツ自体にあまり力を入れている国ではないので、ビジネスマンや会社の社長の方がもっと尊敬される感じに思いました。


日本では、オリンピックの存在の大きさが尋常ではないと思います。オリンピックに出場すればマスコミも注目したりたくさんの人に尊敬される対象になります。私も体操競技をしていたのでこれはいいことだと思います。むしろオリンピックに出場するぐらいのレベルの選手であればもっと尊敬されたり、評価されてもいいと思います。

しかしこれは文化や考え方の違い、カナダではオリンピックに出としてもそれほど注目されません。そしてその中でどのように選手のモチベーションえお高めるかが非常に大きな課題だと思います。


まとめ


生まれてから日本で体操を習っていた私としては自分のカナダの選手(12歳)が学校でいじめられていることを知ったときにはびっくりしました。他の体操コーチも若いころにそのような経験があるらしいです。

これは日本にいた時では考えもしなった事で体操をしているせいでいじめの対象になるだなんて悔しくてなりませんでした。

それと同時に体操王国日本と言わせるような成績を残してきてくださった日本の歴代体操選手の方々に感謝する気持ちでいっぱいになりました。もし日本の体操が弱かったら自分にも同じようなことが起こっていたかもしれません。

ですが世界中の国を見てみるとカナダのように男子体操が見下されているような状況になっているような国があるかもしれませんし、もし数十年後、日本の男子体操が低迷するようなことになったときに、このようなことが日本で起こるかもしれません。


これはカナダの東側での指導の経験、アメリカのコーチからの話などを元にしています。カナダは非常に大きな国なので場所によっては違う場合があるかもしれません。しかし男女ともに体操選手であることにプライドが持てるような環境作りが必要であると思いますし、それを作る手伝いができればいいと思います。


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