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After Taste

   道宮正(32)が道宮智(29)のいる家
へ話があるとやって来る。  
正「このままでは石垣のコーヒー園が衰退し
てしまうんじゃないか」
智「兄ちゃん、いきなり戻って来てそれはな
いんじゃないか。最初から農園の改革は。
時間がかかるんだよ』
正「早く最先端技術を取り入れて、スペシャ
ルティコーヒー生産を始めないか」
智「石垣島では従来からの伝統的な手法を守
っている生産者が多いんだ」
正「知ってるのか。日々進歩する世界の的な
スペシャルティコーヒーの流れから石垣の
コーヒー取り残されてること」
智「ああ。ここは国内の良質な生産地と言う
こともあって、伝統を守っていれば、今は
ビジネスが成り立つ。ここのコーヒー園も
そんな伝統から抜け出せないでいる農園の
一つなんだよ」
正「じゃあなぜ?」
智「基準はそれぞれにあると思うけど、本当
においしいコーヒーってなんだろう?」

   正が一人、家で下手くそなギターを弾き散
らす。

   正と道宮七海(30)が休憩し、農園
を見ながらコーヒーを飲んでいる。
七海「もともとコーヒーが苦手だった私にと
って、コーヒーのよくない部分はイヤな苦
味が残ることよ。正ちゃん、貴方は柔軟で
意欲的な若きリーダーだね」
正「近い将来、コーヒービジネスへIT技術
を活かしたいと思っているんだ」
七海「智くん、スペシャルコーヒーの可能性
には惹かれていて、新しい手法を取り入れ
ようとしているよ。やっぱりいい生産者な
のよ」
   智が農園から戻ってくる。
智「村の生産者たちは みんなモチベーショ
ンが高くやる気に満ちているよ」
正「進化した栽培方法や生産処理方法を目の
当たりにした事で意識が変わったんだな」
智「みんな、豆の品質向上に努力を惜しまな
いんだ」
正「そうだな」
智「兄ちゃん、普通に美味しいという価値の
コーヒーを地道に作っている生産者もい
る。ただ農園のスペック、流行りの味かど
うかだけで豆の価値は決まらないことは理
解して欲しい」
   
   青田忠徳(55)が農園へやってく
る。智がコーヒーを一杯出す。
青田「伝統派の弟と柔軟なな兄のBROTHERS
COFFEE FARM、話題なっていますよ」
智「最新の技術を見て、衝撃を受けました。
ありがとうございました」
青田「それはよかった。良い豆を使い、適切
な焙煎と抽出方法で淹れるとイヤな苦味が
無いだけではなく、自然の甘味さえ感じま
す」
智「後味の事を気にせず、おしゃべりをして
いる間にいつ位の間にか飲み切っている。
そんな一杯が、本当に美味しいコーヒーだ
と思います」

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