続・CHU♡LA Beach Garden LOVE~琉生、美海結婚へ~
◇登場人物
ヒーロー・宜保琉生(ぎぼりゅうせい・26歳)
ヒロイン・砂川美海(すながわみう・25歳)
CHU♡LA Beach Garden店長・仲村渠雄大(なかんだかりゆうだい・48歳)
CHU♡LA Beach Garden副店長・新垣夕凪(あらがきゆうな・36歳)
アトリエNARUMI社長・上江洲成巳(うえずなるみ・54歳)
アトリエNARUMI先輩リーダー・藤堂篤志(とうどうあつし・31歳)
アトリエNARUMI女性先輩・福田衣織(ふくだいおり・28歳)
なかまクリニック院長・仲間大雅(なかまたいが・44歳)
なかまクリニック先輩・比嘉琴乃(ひがことの・28歳)
Club JOKERキャバ嬢・リラ(24歳)
Club JOKERキャバ嬢・カノ(22歳)
ヒルトン沖縄北谷リゾートアドバイザー・有銘志帆(ありめしほ・36歳)
ヒルトン沖縄北谷リゾートコスチューム担当・玉城れん(たまきれん・26歳)
ヒルトン沖縄北谷リゾート牧師・リチャード=ボーア(80歳)
桃色のハイビスカス店長・翁長隆将(おながりゅうしょう・41歳)
那覇警察署警察官・外間弦太(ほかまげんた・45歳)
琉生の中学時代友人・與那覇海斗(よなはかいと・26歳)
琉生の弟達郎の彼女・池永莉那(いけながりな・23歳)
琉生の父・宜保晋一(ぎぼしんいち・56歳)
琉生の母・宜保由紀乃(ぎぼゆきの・52歳)
琉生の弟・宜保達郎(ぎぼたつろう・23歳)
琉生の妹・宜保詩(ぎぼうた・21歳)
琉生の母方オジー・平良照義(たいらてるよし・享年81歳)(回想、遺影のみ登場)
琉生の母方オバー・平良エツ子(たいらえつこ・79歳)
美海の父・砂川暁(すながわさとる・47歳)
美海の母・砂川那美(すながわなみ・47歳)
美海の妹・砂川碧(すながわあおい・20歳)
琉生の叔父(母・由紀乃の弟長男)・平良延年(たいらのぶとし・49歳)
琉生の叔父(母・由紀乃の弟次男)・平良智乃真(たいらとものしん・47歳)
◇登場人物端役
◎CHU♡LA Beach Garden
上原(うえはら・30代男性従業員)
池間(いけま・20代女性従業員)
松田(まつだ・20代女性バイト後輩)
石嶺(いしみね・20代男性バイト新人)
照喜名(てるきな・19歳女性バイト新人)
◎沖縄県立芸術大学
与那覇(よなは・男性友人)
島袋(しまぶくろ・男性友人)
◎沖縄歯科衛生士学校
仲宗根(なかそね・女性友人)
前川(まえかわ・女性友人)
仲田(なかた・女性友人)
◎アトリエNARUMI
岡田(おかだ・40代男性専務)
服部(はっとり・40代男性常務)
西原(にしはら・20代男性先輩、4月異動)
佐々木(ささき・20代男性後輩)
成田(なりた・20代女性後輩)
嶋(しま・20代男性新人)
◎なかまクリニック
宮里(みやざと・30代女性先輩)
又吉(またよし・30代女性先輩)
儀間(ぎま・20代男性先輩)
上地(うえち・20代女性後輩)
荷川取(にかわどり・20代女性新人)
◎ヒルトン沖縄北谷リゾート
比嘉(ひが・30代男性BGM担当)
赤嶺(あかみね・30代女性生花担当)
◎半グレ集団WALCIR
吉塚(よしづか・50代男性代表)
◎琉生の中学
津嘉山(つかやま・男性友人)
照屋(てるや・男性友人)
◇登場人物の性格等について
◎ヒーロー・宜保琉生(ぎぼりゅうせい・26歳)
那覇市出身でオリオン座の輝く12月生まれ。器用で優しく包容力もあるが一人の時間も大切にする傾向もある。元野球部(ポジションはセンター)で開邦高校卒。運動神経もあり、成績もわりと優秀である。宮古島で単身赴任中の父とあまり仲良くない。
◎ヒロイン・砂川美海(すながわみう・25歳)
宜野湾市出身で沖縄では梅雨明けする6月生まれ。おっちょこちょいだけど芯が強く一途。人を信じやすいところがある。家族と仲が良い。元陸上部(短距離)で中部商業卒。
◎CHU♡LA Beach Garden店長・仲村渠雄大(なかんだかりゆうだい・48歳)
明るい性格で歳にあわずわりとミーハーである。店名CHU♡LA Beach Gardenは開店当時小学生だったJKの娘の案をもとに名付けられた。店は今年で8年目。娘はこの作品には登場しない。
◎CHU♡LA Beach Garden副店長・新垣夕凪(あらがきゆうな・36歳)
仲村渠が立ち上げたCHU♡LA Beach Gardenに立ち上げ当初から在籍してる唯一の人物である。二人の息子の関係で休みをとる事も多いが、姉御気質で相談役に乗る事も多く、琉生や美海がバイトで在籍してた時は慕われていた。琉生と美海の結婚式場ヒルトン沖縄北谷リゾートアドバイザー有銘は高校時代の友人。
◎アトリエNARUMI社長・上江洲成巳(うえずなるみ・54歳)
沖縄の高校卒業後、大阪の大学に行きそのまま大阪のデザイン会社に就職。就職して5年ほどで退職し、大阪でデザイン会社アトリエNARUMIを立ち上げる。会社を立ち上げて25年で新社屋創設5年。渋い口調で沖縄弁と関西弁混じりに話すのが特徴。渋く見られがちだが結構おしゃれに気を遣っていておもしろい性格である。
◎アトリエNARUMI先輩リーダー・藤堂篤志(とうどうあつし・31歳)
琉生が所属する部署のリーダー。ややプライドが高く人によって態度を変える傾向が少し見えるが、琉生の事は非常に買ってる。キャバ嬢二人の前では知的で口達者なように振る舞う。4月から別部署から異動してきた福田にも好意を抱く。
◎アトリエNARUMI女性先輩・福田衣織(ふくだいおり・28歳)
琉生が所属する部署の女性先輩。4月から別部署から異動してくる。しっかり者で愛想も良く藤堂に好意を持たれている。一方、本人は琉生に好意を抱き、琉生が彼女(美海)が居る事を知ったり、その話を盗み聞きすると妬いてしまう場面も。
◎なかまクリニック院長・仲間大雅(なかまたいが・44歳)
高校卒業後、名古屋の大学で歯学を学びそのまま名古屋で就職。7年間名古屋の歯科で働いてたが、退職して沖縄に戻り、なかまクリニックを立ち上げる。明るい性格で学生時代は美海同様陸上部に所属していた。
◎なかまクリニック先輩・比嘉琴乃(ひがことの・28歳)
美海が特に世話になってる先輩。優しく気遣い屋、心配性な一面がある。若くして結婚し、幼稚園に通ってる娘が1人いる。
◎Club JOKERキャバ嬢・リラ(24歳)
あざと可愛い性格で藤堂をその気にさせ、藤堂に特に気に入られてる。
◎Club JOKERキャバ嬢・カノ(22歳)
ボーイッシュでさばさばした性格。リラとは違ったタイプだが、リラ同様藤堂に気に入られてる。
◎ヒルトン沖縄北谷リゾートアドバイザー・有銘志帆(ありめしほ・36歳)
CHU♡LA Beach Garden副店長新垣と中学時代の同級生であり友人でもある。学生時代はバスケをしており、学生時代から背が高くいろんな男性から告白された。落ち着いた性格で私生活では小学生の息子と娘が1人ずつ居る。
◎ヒルトン沖縄北谷リゾートコスチューム担当・玉城れん(たまきれん・26歳)
書類にプロフィールを書く時生年月日を書く欄があり、そこに琉生が書き込んだのを見て琉生と同い年だと分かる。琉生が気に入ったのか琉生と話す時はにこやかになる面が多々見られる。
◎ヒルトン沖縄北谷リゾート牧師・リチャード=ボーア(80歳)
元はアメリカ海兵隊として日本に返還された1972年に来日。その後日本人妻と結婚し二人の息子、5人の孫を持つ。60歳で退職し、この式場で牧師になる。
◎桃色のハイビスカス店長・翁長隆将(おながりゅうしょう・41歳)
美海が追突事故を起こした時の相手方。事故当時は穏便に済ませるものの、後日むちうちになったと偽り慰謝料と称して美海に100万円をふっかけてくる。マッサージ店桃色のハイビスカスの店長ではあるが、その店は違法マッサージ店でバックにはWALCIRという名古屋に本部がある半グレ集団がついている。
◎那覇警察署警察官・外間弦太(ほかまげんた・45歳)
美海が翁長の車に追突事故した時の担当する警察官。親切な人柄で同僚からも慕われている。
◎琉生の中学時代友人・與那覇海斗(よなはかいと・26歳)
中学時代琉生と同じ野球部でポジションは投手。沖縄尚学に推薦で合格し野球続けるも、琉生が断念する事になったのがきっかけでお互い疎遠になる。今も社会人野球続けているがが辞めて一般企業に就職を考えてる。琉生の父晋一との和解への鍵を握る人物でもある。
◎琉生の弟達郎の彼女・池永莉那(いけながりな・23歳)
北九州市出身で福岡市の西南学院大学卒業後、達郎と同じMARUDAI不動産に就職。達郎とは同期で同級生だが配属先は別々の店舗になる。達郎とは就職活動を通じて知り合い意気投合し、9月から付き合い始める。母性本能があり歳のわりにしっかりしている。
◎琉生の父・宜保晋一(ぎぼしんいち・56歳)
やや厳格な性格だが、学生時代は野球部(ポジションはショート)で多くを語るタイプではないが風格があってモテた。銀行員で当時同じ職場で働いてた妻・由紀乃にアピールされた。琉生が大学生になった年から勤務先の関係で宮古島で単身赴任中。支店長をしている。琉生とあまり仲良くない。
◎琉生の母・宜保由紀乃(ぎぼゆきの・52歳)
旧姓平良。おしゃべりで世話好きな性格。若い時はわりとミーハーな一面もあった。学生時代はバドミントンをしていた。弟が二人居るが、二人の弟は親元を離れたのもあり、由紀乃がオバー(亡くなる前のオジーとも)と共に暮らしている。
◎琉生の弟・宜保達郎(ぎぼたつろう・23歳)
琉生に比べたら不器用な一面もあるが、優しい性格で大学に入るとおしゃれにも目覚め始めた。兄琉生と同じ開邦高校に進学後、福岡大学に進学し、親元を離れる。沖縄空手をしていた。4月より福岡市のMARUDAI不動産で働く。
◎琉生の妹・宜保詩(ぎぼうた・21歳)
年頃で少し強がりな一面もあるが、好きな人、物に対しては結構一途である。小禄高校卒業後、沖縄大学に進学し栄養士を目指している。母同様、中学、高校はバドミントン部だった。
◎琉生の母方オジー・平良照義(たいらてるよし・享年81歳)(写真、遺影のみ登場)
沖縄戦争経験者。若かりし頃は電力会社で働いていた。口数はやや少なめで優しい一面もあるが、発した言葉には重みがあり、取っ付きにくさを感じさせるところもあった。
◎琉生の母方オバー・平良エツ子(たいらえつこ・79歳)
優しくて涙もろく、ややお節介な一面もあるが、琉生を含め孫三人から非常に慕われてる。沖縄民謡を趣味で習ってる。
◎美海の父・砂川暁(すながわさとる・47歳)
優しくて気さくな性格。旅行や食べ歩きが好みで娘の美海や碧と三人でスイーツ食べに行く事もある。沖縄市のビジネスホテル勤務。
◎美海の母・砂川那美(すながわなみ・47歳)
少し気が強くざっくばらんな性格だが美海や碧が岐路に立ってる時はわりと背中を押してくれる。暁とは同級生で宜野湾市内の同じ中学校に通い、同じ陸上部で短距離をしていた。口喧嘩になると夫の暁より強い。
◎美海の妹・砂川碧(すながわあおい・20歳)
おしゃべりな性格でツボにはまるとしゃべりながら笑ったりすることろも結構ある。姉美海と同じ中部商業に通ってて陸上部で中長距離をしていた。現在は美容師を目指し専門学校に通っている。家族仲は良いがどちらかというとファザコンである。
◎琉生の叔父(母・由紀乃の弟長男)・平良延年(たいらのぶとし・49歳)
琉生と美海の結婚式のみ登場。現在は鹿児島で沖縄物産展の店を経営している。やや強面だが正義感が強い。高校に通う娘が1人居る。
◎琉生の叔父(母・由紀乃の弟次男)・平良智乃真(たいらとものしん・47歳)
琉生と美海の結婚式のみ登場。現在は長崎で運送業の配車業務をしている。ガタイは良いがウチナンチュ特有ののんびりした性格である。中学生と小6の息子が居る。
◇あらすじ
~8月、両家に結婚挨拶と職場への結婚報告~
6月、梅雨明けした沖縄の美浜アメリカンビレッジの観覧車で琉生は美海の誕生日の日に美海にプロポーズし、婚約指輪をプレゼントしました。
その2ヶ月後の8月、琉生は会社アトリエNARUMIの盆休みを利用し、再び沖縄に帰省。
そして、二人は両家で挨拶をしました。
美海の実家砂川家には、父暁、母那美、妹碧が揃っており、
琉生「お義父さん、お義母さん、美海さんとはビーチガーデンのアルバイトしてた時からお付き合いしていて、6月僕の方から美海さんにプロポーズさせていただきました。どうか美海さんと結婚させてください。」
と美海とともに頭を下げると、
父・暁「琉生くんの事はずっと美海から聞いてたさ。好青年だと伺ってるさ。美海の事ゆたしく頼んだよ!」
母・那美「私も琉生くんなら美海を預けても良いと思ってるさ。よろしくお願いします。琉生くん今大阪居るんでしょ?仕事はどうさね?」
琉生「はい、遅くなで残業する時もありますけど、順調に出世して、リーダー(藤堂)が担当してた仕事も僕が一部担当するようになりました。」
父・暁「そうそう、美海は琉生くんと結婚して仕事はどうするつもりさね?」
美海「りゅうちゃんと大阪住むから、式の終わったらなかまクリニックは辞めようと思ってるさ。大阪での仕事は向こうの生活に慣れてからまた探すさ。」
父・暁「そうか。美海が大阪行くのは寂しくなるけど琉生くんが順調ならなんくるないさね。」
母・那美「あお(碧)はどう思ってるさ?」
妹・碧「あおもねえねえが大阪行くのは寂しくなるけど、琉生さんあおにも会ったら気さくに話してくれたりしてたし、ねえねえには琉生さんと幸せになってほしいと思ってるさ。」
琉生「お義父さん、お義母さん、碧ちゃん。ありがとうございます。」
といった感じで砂川家は琉生と美海の結婚を認めてくれました。
それから琉生の実家宜保(平良)家での挨拶になります。
琉生の実家宜保(平良)家はオバー平良エツ子、母由紀乃、妹詩が居ましたが、宮古島で単身赴任の父晋一と福岡の大学に通う弟達郎は不在でした。
美海「お義母さん、お婆さん、りゅうちゃ…(りゅうちゃんと言いかける)ごめんなさい。琉生さんとはビーチガーデンでのアルバイトの時からお付き合いさせていただき、6月にプロポーズを頂きました。琉生さんと結婚させてください。」
母由紀乃「美海ちゃん。プロポーズの事はりゅうちゃんからも聞いたさ。りゅうちゃん連絡なしに突然ただいまって帰ってきてさ。平日なのに仕事は?って思ってさ。」
琉生「母さん恥ずかしいからやめてほしいさ。」
その場に笑いが起こります。
オバーエツ子「で美海ちゃんは結婚したらりゅうちゃんの居る大阪に行くの?」
美海「はい。式を挙げてから退職して琉生くんと大阪でって考えています。」
母由紀乃「そう。ここには居ないけどたっちゃんも良いよって言ってるさ。うたちゃんは?」
妹詩「私も美海さんとりゅうにいにい結婚して大丈夫さ。お似合いだし。」
美海「ちなみにお義父さんは何か言ってました?」
母由紀乃「ああ、お父さんも宮古に居ないけど二人が良いなら美海ちゃんに嫁に来てもらいなさいってさ。(琉生との不仲を察して言葉を濁すように)」
美海「そうですか。ありがとうございます。ちなみに私も琉生くんの事、お義母さんお婆さんの前でもりゅうちゃんで良いですか?普段はりゅうちゃんなので。」
母由紀乃「全然大丈夫さ。気にしないで。」
オバーエツ子「りゅうちゃん、美海ちゃんもあそこにオジー(平良照義)の仏壇あるから拝んできて。結婚するよってさ。」
と言い、琉生と美海はオジー平良照義の仏壇と遺影に結婚が決まった事を報告。
その後、宜保(平良)家は和気あいあいとした雰囲気に包まれました。
ただ美海は顔では笑っていましたが、琉生の父晋一と顔合わせしてなかったのが心残りなようにも映りました。
両家への結婚の挨拶も終わり、琉生も仕事のため大阪に戻り、ともにそれぞれの職場で結婚報告を行いました。
美海の職場なかまクリニックでは、
仲間院長「美海ちゃんおめでとう!プロポーズの報告受けた時も嬉しかったけど正式に結婚決まって嬉しいさ~。今度は式が決まったら報告して、また心機一転ちばっていこうさ。」
比嘉「美海ちゃんおめでとう。一時期琉生くんとうまくいかないって落ち込んでた時は心配したけどプロポーズ受けて結婚も決まってから美海ちゃんイキイキしてる感じがして私も嬉しいさ~。」
と祝福ムードに包まれていました。
琉生の職場アトリエNARUMIでは、
藤堂「そうか宜保、おめでとう!仕事はまだまだ俺の方が先輩やけど、プライベートは俺を先越したな(笑)。」
福田「宜保くんおめでとう。宜保くん機転も利くしウチが思うに彼女の事も大事にするタイプやと思う。宜保くんなら大丈夫。」
と福田は満面の笑みで琉生を祝福しますが、琉生の姿が消えると寂しそうな表情を浮かべていました。
琉生は上江洲社長にも結婚を報告。
上江洲社長「宜保くんおめでとう!私の故郷沖縄から後輩が入社してきて、こうやって仕事でもプライベートでも出世していくのを我が子のように見られるのは私も嬉しいさ。これからも頼むで、宜保くん!」
と渋い声で言い、どや顔のような表情で琉生を祝福しました。
~9月、琉生の周りの恋愛事情~
そして、9月になりました。
9月のとある木曜日、琉生の職場アトリエNARUMIでは、
藤堂「衣織ちゃん後でちょっと良い?」
福田「あ、はい。何ですか?」
と言い、琉生の女性先輩福田は琉生の先輩リーダー藤堂について別室に行きます。
藤堂「衣織ちゃん、俺ずっと前から衣織ちゃんの女性として事好きだったんや。俺と付き合ってくれへんかな?いや、付き合ってください。」
福田「藤堂さんごめんなさい。気持ちは嬉しいんやけど、この部署に来て仕事も楽しいですし、藤堂さんの事は男としてより先輩として見たいので。」
藤堂「そうか。一つ気になっててんけど、衣織ちゃんまだ宜保の事好きやったりするの?」
福田「宜保くんの事は…好きやけど男としてってより仕事仲間として…なので…。ほんとごめんなさい、藤堂さん。」
と言って福田は別室からうつむき気味に出ていきました。
藤堂は自分がフラれた事よりまだ福田が琉生を思い続けてる事に対して歯がゆさを感じていました。
その翌日、琉生が5分程度ではあるが、珍しく遅刻して来ると、
琉生「おはようございます。今日は地下鉄が混んでてすいません。」
藤堂「宜保、言い訳するなよ!最近のお前見てると結婚するからどっか浮かれてるところがあるようにしか見えんのや。3日遅刻したら1日欠勤やからな!」
琉生「すいません。」
と言うものの、普段はあまり琉生には怒る事がない藤堂が福田にフラれたせいもあるのか、声を荒らげていて琉生も困惑気味でした。
昼頃、琉生が福田に、
琉生「藤堂さん今日機嫌悪いですね。1回5分遅刻しただけでキレられて。」
福田「宜保くん、気にしないで。」
福田は自分が昨日藤堂に告白されてふった事もあったのか、福田も今日はいつもよりテンションが低めな感じでした。
そして、その日の夜、藤堂は1人で行きつけのキャバクラ店、Club JOKERに向かい、いつものようにキャバ嬢のリラとカノを指名します。
ただ、いつものような明るさが藤堂にはありません。
リラ「あっちゃん今日元気ないねんな。何かあったん?」
藤堂「まあね、いろいろと。何ヵ月か前俺、琉生って後輩連れてきたやろ?その琉生が結婚するし何か先越されたなとかその他諸々あって、俺今日そいつに八つ当たりしてもうたしな。」
その後も会話は続き、藤堂は福田に告白した事は口に出さないものの、酒を飲んでほぼ泥酔状態になり、カノにキスしかけます。
カノ「あっちゃん、キスはあかん!キスするならセクキャバでもデリでも行って!」
藤堂「カノたんごめんね~。」
カノ「あとあっちゃん前から気になっててんけど、リラちゃんが他のお客さんな指名されてヘルプがついた時とか明らかにヘルプの女の子に嫌そうな顔してるのか横目で見とって、指名されてる私らでもなんか感じ悪いねん。こないだあっちゃんが連れてきたその琉生くん…りゅうちゃんって人、女の子によって態度変えるとかみたいな事してなかったよ?そういう所にりゅうちゃんに先越されたとか出てるんやないん?」
この日は泥酔して普段とはあからさまに違う藤堂に対し、堪忍袋の緒が切れたのか、カノは藤堂を一喝しました。
リラも含め、その場だけは静まり返り、藤堂はうつむきながら帰宅。
琉生や福田を含め、部下の前では涙を見せない藤堂も部屋で1人泣いていました。
そして、土日休みで月曜日。
琉生は始業の20分前には出社し、その5分後に藤堂が来ると、
藤堂「宜保、今日は早いな。」
琉生「はい、金曜遅刻してしまったんで、それを取り返すべく今日は早めに来ました。」
藤堂「そうか、でも金曜日は俺も悪かった。いろんな事が積もりに積もって八つ当たりしたのもあっててん。今日は新規の仕事ももらえそうやし、気持ち入れ替えて頑張ろうや!」
と言い、福田に対しても、
藤堂「衣織ちゃん、こないだの事やけどなかった事にしてくれて良いから。衣織ちゃんは一緒に働いてくれる仲間やし仲間皆で力合わせて頑張ろうや。」
福田「大丈夫ですよ。藤堂さんの事は変わらず尊敬してますし、あまり気にせずいつも通りでいきましょう。」
とわだかまりも解けた感じでした。
同じ頃、福岡大学に通う琉生の弟達郎は、就職活動してた時、内定が決まった不動産会社MARUDAI不動産の説明会を通して知り合い、同じ会社に内定をもらった西南学院大学に通う池永莉那(いけながりな・当時22歳)と付き合う事になりました。
説明会の時、池永が座った席の隣が空いていて、
弟達郎「すいません、横良いですか?」
池永「はい、どうぞ。」
と言い、達郎が横に座ったのが出会いの始まりでした。
説明会が終わり、
弟達郎「就活どうですか?」
池永「今年はどこも厳しいみたいですね。私お父さんが不動産会社経営してて、お兄ちゃんが後を継ぐから私には好きにして良いって言ってたけど、不動産に会社に興味があってそれで私も不動産に絞って探してるんですよ。ちなみにお名前は?」
弟達郎「俺宜保達郎って言います。」
池永「宜保って珍しい苗字ですね。もしかして沖縄の方ですか?」
弟達郎「そうです、高校卒業するまで沖縄に居て大学で福岡に来たんですよ。名前良いですか?」
池永「私、池永莉那って言います。」
そんな感じで会話が弾んでいき、LINEも交換してお互いタメ語で話すようになり、お互い切磋琢磨して同じ会社から内定をもらう事になりました。
弟達郎「莉那ちゃん内定もらったさ。」
池永「私も内定やよ。一緒に内定とか嬉しいっちゃ。」
弟達郎「莉那ちゃんお互い内定もらったしさ。どっかカラオケでも行こうさ。」
池永「そうっちゃね。折角就活でたっちゃんと仲良くなったしたっちゃん一緒にカラオケ行こうばい。」
と言い、一緒にカラオケ行き、そこでさらに距離感が縮まって何回かデートを重ね、
弟達郎「俺MARUDAIの就活で莉那ちゃんと仲良くなってからずっと好きだったさ。莉那ちゃんでーじしっかりしてるし同じ会社に就職する事になるけど、同じ会社で切磋琢磨して頑張って行きたいと思ってるし、良かったら俺とお付き合いしてほしいさ。」
池永「私で良ければお願いします。たっちゃんの沖縄弁にいつも癒されとぉし、同じ会社で一緒に頑張ろうばい。私もたっちゃん大好き。」
と言い、福岡では琉生の弟達郎と池永が付き合う事になりました。
~12月、式場と式日取り決定。そして弟達郎の交際報告~
それから3ヶ月が過ぎ12月、琉生は仕事納めして沖縄に帰省しました。
休みに入り琉生が帰省する前に、美海は琉生とともに学生時代バイトしてたCHU♡LA Beach Gardenの副店長新垣からLINEをもらってたみたいで、
新垣「美海ちゃんはいたい。そろそろ宜保くん沖縄帰ってくるんでしょ?帰ってきたらまたビーチガーデンおいでよ。あとこのタイミングで式も決めないとね。私の友達がビーチガーデンから近いヒルトンでアドバイザーしてるけど、どうさ?」
美海「夕凪さんこんばんは。りゅうちゃん仕事納めした翌日帰ってくるそうですよ。その式場の夕凪さんのお友達のアドバイザーの名前教えてください。またりゅうちゃんにLINEしとくので。その時ビーチガーデンも寄らせてもらいます。」
と返信。
その後、美海は琉生にその事をLINEし、琉生が沖縄に帰省した翌日、ヒルトン沖縄北谷リゾートのアドバイザー有銘志帆(ありめしほ・当時35歳)を訪ねて行く事になりました。
そして、琉生が沖縄に帰省し、当日。
美海「すいません、砂川ですけど結婚式の事でお伺いしたのですが、アドバイザーの有銘さんはいらっしゃいますでしょうか?」
ホテルのロビーで待機してたところ、アドバイザーの有銘がやってきます。
有銘「いらっしゃいませ。宜保さんと砂川さんですね。夕凪からもお伺いしてます。こちらへどうぞ。」
とテーブルに案内されます。
アドバイザーの有銘は背が高くスレンダーなスタイルが際立っていました。
そして、有銘から二人に名刺が渡され、さらに渡された用紙に琉生と美海はプロフィールを書いていきました。
有銘「新郎さんは今大阪にいらっしゃるのですね。で、今は帰省していて式も故郷でって感じですか?」
琉生「はい。夕凪さんから紹介されたってのもありますし、今は大阪に居ますが、紹介される前から式は地元沖縄でって考えてたので。」
有銘「やはり内地に出てる方も、式は地元でって言ってここで式挙げる方も多くいらっしゃいますね。ちなみにこういった日にちが大安でおすすめではありますが、ご希望の日にちはありますか?」
琉生「(6月の美海の誕生日の日付を指差し)ここが彼女の誕生日なので、ここでって考えているのでですが。」
有銘「新婦さんの誕生日良いですね。こちらでも新郎さんもしくは新婦さんの誕生日にって方結構いらっしゃいますよ。(タブレットでスケジュール確認して)あ、この日ちょうどお昼から空いてるので大丈夫です。」
美海「ありがとうございます。そしたらこの日でお願いします。」
有銘「新婦さんのお誕生日に決まって良かったです。きっと良い式になると思います。それでは今度はコスチュームの玉城が参りますので少々お待ち下さい。」
そして数分後、今度はコスチューム担当の玉城れん(たまきれん・当時25歳)が来ました。
玉城「新郎さん新婦さん、この度はご結婚おめでとうございます。私、こちらでコスチュームの担当をしてる玉城と申します。本日はよろしくお願いします。」
と挨拶し、二人に名刺を渡しました。
そして、玉城は二人のプロフィールを確認し、
玉城「新郎さん25歳なんですね。私も25歳なので同い年ですね。新郎さんは今大阪に居るけど那覇の方なんですね。私はうるまの与勝です。ちょっと余談でした。」
そこから琉生と玉城は少し雑談し、そこからはタキシードやドレス、カクテルドレスなどの打ち合わせ、衣装合わせなどの打ち合わせを玉城と行い、夕方頃、式場を後にしました。
その後は二人が学生時代バイトしてたCHU♡LA Beach Gardenに。
すると、副店長の新垣が出迎えます。
新垣「宜保くん、美海ちゃんいらっしゃい。久しぶりさね。打ち合わせどうだったさ?しーほー(有銘)でーじスレンダーだったでしょ?」
美海「打ち合わせ無事終わって来年の私の誕生日に式挙げる事になりました。有銘さんスタイル抜群で羨ましいです。」
すると店長の仲村渠もやって来ました。
仲村渠「おー、ギーボー、美海ちゃんはいさい!久しぶりさ~。式場行ってたの今日夕凪からも聞いてたさ。これ今月のコースメニューだからさゆっくりして行って。」
琉生「夕凪さんも店長も元気そうですね。ありがとうございます。」
と言って席に案内され、二人は二時間近く食事会しながら仲村渠店長や新垣副店長らとの再会の余韻に浸りました。
そして、お互い年末なのもあり、良いお年をと言い合い琉生と美海は琉生の運転するハリアーで帰路へ。
その車内で、
美海「りゅうちゃん一つ聞いて良い?」
琉生「えっ?急に何さ?」
美海「うん、そういえばりゅうちゃんと付き合ってる時も結婚の挨拶もそうだったけどさ、りゅうちゃんのお父さんと一度も顔合わせてないさ。」
琉生「あー、親父なんだけどさ、実は…(続きがあるが場面切り替わる)。」
美海「そうだったの…。知らなかったさ。でも折角式の日にちも決まったんだしさ、それまでには会っておいた方が良いかなと思ってさ。でも式までにだからさ…焦らなくても良いんだけどさ…。」
琉生はうんとだけ頷き、そこからはほぼ沈黙になりました。
美海「りゅうちゃんありがとう。急に変な事言っちゃってごめんね。では良いお年を、おやすみなさい。」
琉生「うん、大丈夫さ。美海も良いお年を。おやすみ。」
と美海のアパートまで送り、琉生は実家に帰宅しました。
翌日、今度は弟達郎が福岡から帰省してきました。
帰省して一息つくと、
弟達郎「なんか昨日にいにい式の日にち決まったみたいだけどさ、俺もついに彼女できたさ。」
琉生「おー、達郎彼女できたの?どんな子なの?写真見せてほしいさ。」
と言って、弟達郎は父晋一を除く家族の前で携帯の写真を見せ、
母由紀乃「へぇ~、なんかちゅらかーぎーな子だね。名前何って言うのさ?」
弟達郎「莉那、池永莉那って言って西南学院大学の子で、就活で知り合ったけど同じMARUDAI不動産に就職するさ。」
と答え、そこからさらに弟達郎は琉生や母由紀乃中心に質問攻めにあっていました。
そして、今度は妹詩が、
妹詩「あー、でもなんかりゅうにいにいは結婚するしたつにいにいも彼女できて何かうらやましいさ。私なんかバイトでもゼミでも全然出会いないしさ~、ゼミの友達はPARCO(浦添市)のフードコートのバイトで彼氏出来たって言うしさ。ハァー。」
母由紀乃「詩ちゃんそんなに焦らなくても良いさ。うちの中でも一番若いんだしさ、そのうち自然と良い人は見つかるさ。」
オバー平良エツ子「ゆきーの言う通りさ。オバーがテルちゃん(故オジー平良照義)と付き合ったのも23過ぎだし、ゆきーが晋一さん紹介してきたのもたしかゆきーが23の時さ。詩ちゃんはまだそれより若いしなんくるないさ~。」
妹詩「だと良いけどさ~。」
と妹詩は少し顔をしかめていましたが、父晋一を除く家族5人で水入らずの年末年始を過ごしました。
~いよいよ琉生と美海の結婚イヤー突入し、2月~
いよいよ琉生と美海が結婚する歳を迎えました。
琉生は父晋一との確執が未だ続き美海も顔合わせができてないものの、3月には式場での衣装合わせも決まり、5月には前撮りとスケジュールは着々と決まっていきました。
そして、2月のバレンタインを迎えます。
琉生は実家からも母由紀乃、妹詩、オバー平良エツ子から郵送でチョコをもらい、美海からも郵送でGODIVAのチョコをもらいました。
職場アトリエNARUMIでも女性先輩の福田から義理チョコをもらい、福田はリーダー藤堂らにも同じチョコを配っていました。
ただ、福田は琉生にチョコ渡した後は浮かない表情を浮かべており、藤堂はそれを横目で見てその時は何も言いませんでしたが、心の中では察していました。
そして、部署が藤堂と福田の二人になった時、藤堂は福田の肩を慰めるように軽く叩いていました。
すると福田は、
福田「藤堂さんちょっと良いですか?」
藤堂「何や?宜保の事か?」
と言うと、
福田「ごめんなさい。もうほんとは忘れないとあかんのやけどまだ宜保くんを思い続ける事があって。」
藤堂「宜保には本命あげたかったんやな?」
福田「はい。宜保くん結婚するのにほんとは宜保くんの幸せ願わなあかんのやけど、未練がましくずっと思い続けるっておかしいですか?宜保くんを忘れるべく、私部署変わった方が良いですか?」
藤堂「そんな事あらへん。好きになってしまうんは仕方あらへんし、納得いくまで宜保を思い続けたらええ。それで諦めついたら新しい恋愛探しても遅くはないし、衣織ちゃんはこの部署に必要な仲間やから別の部署に行く必要もあらへん。」
と9月には自身が告白してフラれた福田に対し、藤堂は献身的に慰めていました。
思えば藤堂はキャバクラでのカノに一喝された件から自分を見つめ直し、相手を思いやる心がけができるようになってきていました。
そして、藤堂に慰められた福田は定時を過ぎ、琉生らも帰り藤堂と二人きりになった部署で藤堂の胸を借りて泣いており、藤堂も福田の頭を撫でて慰めていました。
~3月、美海まさかの追突事故~
そして、月日は流れ3月になりました。
琉生は結婚式の衣装合わせのために再び沖縄に帰省する事になっていたのですが、その一週間前の休日の出来事でした。
美海が一人暮らししてるマンションに妹・碧が泊まりにきており、美海と妹・碧は美海が社会人一年目から乗ってるピンクのパッソで碧とドライブに行きました。
ニライカナイ橋や斎場御嶽、浜辺の茶屋などで和気あいあいと楽しみ、
妹碧「ねえねえ、私こないだ友達と果報バンタ行ってきたさ。」
美海「へぇ~。私果報バンタ気になってるけど、まだ友達ともりゅうちゃんとも行った事ないさね。どうだったさ?」
妹碧「もうね、景色とか波の音とかでーじ神秘的でさ~、心が洗われたさね。さっきの斎場御嶽とはまた違った感じさ。」
美海「そんなの聞いたら私もでーじ気になってきたさね。写真見せてよ。」
妹碧は写真を見せ、
美海「ほんとだ、凄いさね。わあ、この写真なんかもうインスタ映えって感じさね。」
と浜辺の茶屋で二人盛り上がりました。
そして、帰路につく頃も車内で二人盛り上がっていたのですが、その時でした。
マンションに入ろうとする二車線の道路で前を走ってた白のクラウンアスリートに美海の運転する車はドーン!と音を立てて追突してしまいます。
美海は慌てて車を止めると、相手方も車から出てきます。
美海「す、すいません。大丈夫ですか?お怪我の方はないですか?」
相手方(翁長)「ああ、軽い追突程度だし大丈夫さね。俺が警察に電話するんで警察に行きましょう。」
と相手方(翁長)は言い、翁長の後をついて美海と妹は警察に向かいました。
そして、那覇警察署の外間弦太(ほかまげんた・44歳)に、
外間「先ほど事故でお電話された方ですか?こちらにお座りください。」
と言い、相手方(翁長)と美海、そして妹碧は椅子に座ると、
外間「事故の状況を詳しくお聞かせください。」
と言うと、美海と相手方(翁長)は状況を説明し、
職業を聞かれて免許証も提示。
そして、
外間「わかりました。それではこちらで取り調べは終わりますのて、後は双方で連絡先を交換してあとは保険屋さんを通すなりしてください。」
と言い、美海と相手方(翁長)は名前と連絡先を交換。
交換したメモには相手方の名前には翁長隆将(おながりゅうしょう・40歳)と書かれ、翁長はマッサージ店の店長をしており、連絡先の記載もありました。
そして、警察署を出ると、
美海「ご迷惑おかけして申し訳ありませんでした。」
と妹碧とともに頭を下げると、
翁長「いえ、大丈夫です。あとは保険屋にお任せしてお互い気を付けましょうね。」
と言い、それぞれの家路に。
その車内では、
妹碧「ねえねえごめんね。私が運転中でもいろいろ話しかけるばっかりするからこんな事になったてさ。でも相手の人クラウン乗ってて怖そうなイメージあったけど、優しそうで少し安心したさ。」
美海「あおのせいじゃないさ。私の不注意さ。相手方の翁長さんも強面だけど親切そうだったし、あとは保険屋さんに任せて、もっと命どぅ宝の意識を一層持たないとダメさね。」
と言い、この日の夜、妹碧は実家に帰宅しました。
美海の車と相手方の車は保険屋の保険で直る事になり、この日も美海は休日で美海はディーラーに車を持って行ったのですが、夕方頃、相手方の翁長から電話がかかってきました。
翁長「もしもし砂川さん。翁長です。あの、昨日事故があって今日首が痛くて病院行ったんですけど、そしたらむち打ちで3ヶ月の通院が必要と言われてね~。で、今から口座言うんで保険金として100万円振り込んでいただきたいのですが。」
美海「すいません。むち打ちになってしまったんですね。で、100万円ですか?」
翁長「ええ。100万円。俺もここまで重症になるとは思わなくてね~。よろしくお願いします。」
と言い、電話を切りました。
翁長の口調は昨日の優しそうな口調とは違い、穏やかながらも嫌味っぽさがあり、何か変だなと思い、週末琉生が沖縄に帰ってくる事もあり、琉生に電話しました。
美海「もしもしりゅうちゃん。あのね…(続きがある)。」
琉生「うーん、まあ起きてしまったのは仕方ないけどさ。美海、それきっと騙されてるさね。事故した時よくがらの悪い人は昔から持ってる持病とか使ってどこどこが痛くなったとか理由つけてふっかけてくる人とかいるさね。だから絶対振り込んだらだめさね!」
美海「わかった。相手方の翁長さんの喋り方も昨日となんか違う感じしたしさ、絶対振り込まないさ。ほんとごめんね。りゅうちゃん帰ってくる前に。」
(しばらく話続き…)。
そして、最後はおやすみと言い合って電話を切りました。
その後、美海の話をもとに琉生は翁長隆将とSNSや掲示板サイトなどを検索していき、
琉生「翁長…そうか…。」
と携帯を見つめながら1人震え声で呟いていました。
そして、数日後、翁長を着信拒否してなかったのもあるのか、翁長から何度か電話があり、美海は電話に出ないため、
翁長「砂川さん。俺が振り込めって言った100万円はどうなってるのかな?明日までに振り込み確認できなかったらどうなるかわかってんだろうな!」
と翁長は声を荒らげて伝言メッセージを残していました。
仕事を終え、自宅で伝言メッセージを確認した美海は、事故当時と豹変した翁長を着信拒否するのですが、
美海「何で私がこんな事になるさね?斉場御嶽行ってパワーもらったあれ何だったさ?りゅうちゃん、あお!」
と1人自宅で叫び、そして1人泣き崩れていました。
数日後の金曜日夜、美海は仕事を終え帰宅すると、突然相手方の翁長がやってきます。
マンションの入り口のインターホン越しに、
翁長「美海ちゃん電話出ないから100万円徴収しに来たよ。」
美海「えっ!?何でここが?」
翁長「実はねえ、美海ちゃんがこのマンションに入っていくの偶然見てしまったさね(どや顔で)。」
美海はパニックになりますが、この日琉生が半日有給で沖縄に帰省してる事にふと気付き、琉生に電話。
美海「もしもしりゅうちゃん!もう帰ってきてるよね?早く!早くきてほしいさ!相手が!」
琉生「落ち着け美海!もう俺もこっち帰ってきてるさ。翁長が居るのか!?すぐ向かうから絶対鍵開けるな!」
電話の後ろではインターホン越しに
翁長「さっさと金出せ!」
と声を荒らげる翁長の声もチラチラ聞こえましたが、
琉生「ちょっと美海のところ行ってくるさ!相手方に因縁つけられてて。俺のメシは後でいいさね!」
と言い、
オバー平良エツ子「りゅうちゃんどこ行くさね?因縁って何の事さ?気をつけてさ。」
と言い、オバー平良エツ子とともに母由紀乃もきょとんとする中、琉生はハリアーの車で美海のところに向かいました。
約10分ほどで美海のマンションに到着し、近くに車を止め、
琉生「あなたですか!俺の彼女に因縁つけてるのは。」
翁長「お前があの女の彼氏か。あの女が治療費100万円出さないからこっちから直接しに来てやったさね。」
琉生「嘘だろ!?どう見てもむち打ちには見えないさね。金ほしさに事故のむち打ちと称して100万円ふっかけてるだけですよね?」
インターホン越しに琉生の声が聞こえたのもあるのか、美海も降りてきて壁からちらりと二人のやりとりを聞き始めました。
そして、琉生と翁長の言い合いは続き、
翁長「お前もあの女と同様にやられたいのか!」
と言い、琉生の顔面を殴りました。
琉生は歯茎から出血し、頬も内出血するのですが、空手の型をしているのかのように翁長にやり返し、翁長が再度殴りかかったのも振り切って翁長に蹴りを入れ、倒れた翁長の胸ぐらを掴み、
琉生「俺を舐めないでください。小学生の時空手で県大会に出場しましたし、辞めた今でも体が覚えてるんすよ!お前はむち打ちと称して美海に100万円ふっかけに来ただけだろ!車は保険屋で直すから二度と美海の前に現れるなよ!」
と言うと、翁長は琉生に胸ぐら掴まれたその手を振り払い、少し目を潤ませ、琉生を睨みながら黙ってその場を立ち去りました。
翁長が立ち去った後、美海が出てきて、
美海「りゅうちゃん。」
琉生「美海、居たのか。」
美海「りゅうちゃん、今日沖縄帰ってきたのにいきなりごめんね。」
琉生「気にしなくて良いさ。ただ事故の相手が悪かったさね。」
(その後、美海の自宅に)
琉生「実は俺、電話の後あの翁長の事いろいろSNSとか掲示板サイトとかでいろいろ調べたさね。翁長は那覇市の違法マッサージ店桃色のハイビスカスの店長してるさね。そのバックには名古屋を拠点にしてる半グレ集団、WALCIRがついててその代表が吉塚って男さ。その吉塚って男は岐阜出身で中学の時から札付きのワルで、岐阜のワルでは知らない人がいないほどだったさね。今回は事故の相手が悪かったけど、もう後は保険屋に任せとけば大丈夫さね。」
美海「りゅうちゃんほんとありがと。でもりゅうちゃんでーじ強いね。野球して空手も小学生の時してたの?」
琉生「実は黙ってたけど小学生の時空手もしてたさ。小5の時沖縄の県大会でベスト4まで進んで黒帯だったさね。中学から野球一本になったけど。」
美海「初めて知ったさ。でもりゅうちゃんが居なかったら私今頃どうなってたか。」
と目を潤ませて泣き出すと、琉生は美海を抱き寄せ、美海の頭を撫でて慰めていました。
そして、マンションの入り口まで琉生を見送りに行き、お互いおやすみと言って琉生は車で実家まで帰宅しました。
その後、美海は翁長に100万円ふっかけられた経緯と琉生が翁長を撃退してくれた事を妹碧にもLINEで報告すると、
妹碧「ねえねえ大変だったね。パパとママもずっと心配してたさ。でも琉生さんが助けてくれたし結婚相手も琉生さんでほんと良かったさ。またパパとママにも報告しとく。」
と返信しました。
琉生は翁長に殴られて頬に青たんができ、家族や、式の衣装合わせでもコスチューム担当の玉城に心配されますが、
琉生「美海の事故の相手方は撃退したからもう大丈夫さね。」
琉生「ちょっと金属系のものにぶつけたのですが大丈夫です。この日が前撮りじゃなくて良かったですね。」
と心配ない事を強調していました。
~5月、前撮り後に旧友與那覇と再会。そして父・晋一の過去明らかに~
3月には美海の追突事故、式の衣装合わせとドタバタの帰省になった琉生。
今度はゴールデンウィーク期間中に、結婚式の前撮りで再び沖縄に帰省する事になります。
コスチューム担当玉城の案内の下、和装や白無垢、琉球王国などの衣装にも着替え、琉生や美海は撮影に臨みました。
コスチュームの玉城はやや琉生に気があるのか、
玉城「新郎さん、和装の刀を持った姿も決まってましたね~。」
などと琉生に声かける姿がやや目立ちました。
この日の前撮りや打ち合わせなども夕方過ぎまであり、琉生はハリアーで美海を自宅マンションまで送り、実家に帰宅。
すると、実家の玄関前には高校生になってから疎遠になっていた中学時代の友人、與那覇海斗(よなはかいと・26歳)が居ました。
與那覇「りゅう、久しぶりさね。」
琉生「よーなー、何でお前がここ居るさね?」
與那覇「実はりゅうのお母さんから家電に電話あってさ、お前結婚するのに親父さんと仲悪いらしいしさ、俺に中学の時親友だったし私の代わりに親父さんが野球辞めた経緯とか話してやってくれないかってってさ。」
琉生は家に入り、母由紀乃を呼びます。
琉生「母さん。どういう事さね。何で俺に黙ってよーなー呼び出したりするさね。」
母由紀乃「母さんが話しても良いけどさ、りゅうちゃんと與那覇くんが疎遠になったのも母さんずっと心配してたさね。きっと父さんの事もあっただろうしさ。りゅうちゃん折角だからどっかで與那覇くんと二人で話してきたらどうさね?」
與那覇「りゅう、折角だから久しぶりの再会だしさ、またすぐ大阪帰るんだろうしちょっとドライブでもどうさね。」
と言い、與那覇は琉生を白のカローラツーリングに乗せ、浦添市の牧港店に連れて行きました。
與那覇「りゅう、エンダーで良いか?」
琉生「ああ。」
と言い、店に到着して食事しながら與那覇は口を開きました。
與那覇「りゅう、親父さんの事話して良いか?」
琉生「ああ。」
與那覇「お前の親父さん沖尚で野球してたのは知ってるかもしれないが、あれはりゅうの親父さんが高2の時さ。俺の親父も同級生で友達同士で糸満高校行ってたのもお前知ってると思うけどさ、夏の県大会で沖尚と糸満が対戦してさね。ベスト8かな。親父は控えでベンチに居たけど、りゅうの親父さんはレギュラーでショートしてたさ。その時ショートに打球飛んできて親父さんファインプレーでアウトにしたけど、横っ飛びする時靭帯切っちゃって、そのまま親父さんは担架で運ばれてそしたら靭帯断裂したみたいでさ、それは沖尚だけでなく、親父が居た糸満ナインにも衝撃が走ってお前の親父さん相当ショックだったみたいで、親父が見舞いに行った時もずっと病院のベッドで泣いてたらしいさ。それまではプロも注目するほどのショートでそれがこの大怪我によってプロも諦めて銀行員になって。お前もプロ目指して俺と一緒に沖尚行きたかっただろうけど、親父さんに野球は諦めて美術目指せって言われてそれが親父さんとの確執につながったと思うさね。」
琉生「親父が大怪我でが野球辞めたのは初めて知ったさ。でも親父が俺に野球諦めさせたのもなんか強制的な感じがしてさ、それが納得いかなかったさね。それで沖尚で野球続けるよーなーを妬んで親父だけでなくよーなーとも距離置くようになって。」
與那覇「りゅうの気持ちもわかるから仕方ないさ。俺もあれから沖尚で野球続けたけど、結局背番号も10で控えの投手が関の山だったさ。その後社会人行って野球続けてるけどさ、給料なんて普通のサラリーマンと同じ程度で多分お前の方が良い給料もらってるさね。おまけに俺も去年肘壊してさ、もう野球辞めて一般企業に就職考えてるさ。」
琉生「そうか。お前の事高校卒業するまでずっと妬んでたけどお前もいろいろ大変なんだなって思うとなんけ済まなかったな。」
與那覇「俺はもう気にしてないさ。りゅうが親父さんの事はどう思ってるか知らないが、俺達また中学の時みたいに友達に戻りたいさ。」
琉生「そうだな。」
と言い、高校から疎遠になってた琉生と與那覇の間でのわだかまりは解け、二人はまた友達に戻りました。
そして、また與那覇は琉生を実家まで送り、
與那覇「りゅう、今日は俺に付き合ってくれてありがとう。あと結婚おめでとう。」
琉生「ああ、こちらこそさ。俺もよーなーと会えて良かった。じゃあ気をつけて。」
と言い、琉生は家の中に入っていきました。
~結婚式まであと二週間、琉生、父・晋一との確執の行方は~
GWも終わり、大阪に戻った琉生は、結婚式まで二週間半となった仕事終わりに、社長室を訪れます。
琉生「失礼します。」
上江洲社長「うん、ああ、宜保くん。突然やがどうしたさね。」
琉生「すいません、社長。ちょっと話がありまして。」
上江洲社長「話って何や?」
琉生「はい、僕、今月結婚するにあたって、実は、父と高校入る前から確執続いてるんですね。」
と言い、そこから琉生は父との確執の経緯を話します。
そして、
琉生「こういう時どうするのが良いのか、社長として、同じ沖縄の大先輩として意見が聞きたいです。図々しくすみません。」
と言いました。
上江洲社長「図々しい事なんてあらへん。宜保くんのお父さんもケガするまではプロ目指してたやろうけど、お父さん、きっと宜保くんに自分と同じような目に合って挫折するのを見るのが辛かったと思うねん。でもお父さんはきっと生真面目やから宜保くんに美術を活かした仕事の方が堅実やからプロは諦めろみたいな不器用な言い方したできひんかったかなと思うわけさ。私もね~、宜保くんと同じくらいの歳の息子が居て、息子は建築会社に入社して、いずれは設計士として独立して自分で建築会社立ち上げたいとか言ってるんやけど、違う業界でもいずれは私を追い抜けって思ってるから、自分より出来が良いと気に入らないみたいな妬みは、きっと琉生くんのお父さんも持ってないと思うさね。」
と琉生のアドバイスしていました。
そして、琉生と上江洲社長の話は終わり、
琉生「社長、この度は私事ではありますが、貴重なご意見ありがとうございます。是非、参考にさせていただきます。それでは失礼します。」
と言い、琉生は社長室を後にしました。
そして、その夜琉生は、母由紀乃にLINEし、
琉生「急だけど親父に次の土曜日那覇に帰ってきてって言っててほしいさ。」
母由紀乃「りゅうちゃんほんとに良いの?母さん嬉しいけど與那覇くんとこの前帰ってきた時話したから?」
琉生「余計な事はいいからとりあえず親父に言っててほしいさ。」
と言い、母由紀乃もスタンプでOKといった返信をしました。
そして、金曜日の夜、琉生は飛行機で沖縄に帰省。
翌日、結婚式の打ち合わせで美海と式場に行き、この日はアドバイザーの有銘と披露宴の打ち合わせ。
そして、最終確認し、司会はCHU♡Beach Garden店長の仲村渠、乾杯の発声はアトリエNARUMIの上江洲社長、スピーチは新郎側が中学時代の友人與那覇、新婦側がなかまクリニックの先輩比嘉に決まりました。
そして、有銘アドバイザーとの打ち合わせが終わり、美海は、
美海「しばらくビーチガーデン行ってないけどりゅうちゃんどうさ?」
琉生「うん、言ってなかったけど今日親父が帰ってくるさ。話あるから美海も実家についてきてほしいさね。」
美海「えっ?お父さん宮古から帰ってくるの?ついにって感じだけど、りゅうちゃん大丈夫?」
琉生「ああ、美海も俺の親父と会ってなかっただろ?」
琉生はやや機嫌悪そうな感じで話し、車内でも口数は少ないまま、琉生の実家に到着しました。
そして、実家で美海や弟達郎を除く家族と待機して約30分後、父晋一も実家にかえってきました。
母由紀乃「父さん。」
妹詩「お父さん。」
オバー平良エツ子「晋一さん。」
と出迎え、美海も緊張の面持ちですが、琉生は不貞腐れたような顔で、
琉生「親父、美海。」
と琉生は下から手招きし、
父晋一「琉生何さ!その態度は!」
といきなり琉生を怒鳴りつけますが、母由紀乃とオバー平良エツ子になだめられながら、父晋一は琉生と美海とともに別室へ。
そして、母由紀乃、オバー平良エツ子、妹詩は居間で戸は開けたまま待機しました。
美海「お義父さん、初めまして。琉生くんと結婚する事になりました砂川美海です。」
父晋一「美海さん初めまして。宜保晋一です。」
と父晋一は琉生の父のを入れず自分の名前だけで自己紹介しました。
不穏な空気が流れる中、美海はガチガチに緊張していました。
そして、琉生が口を開きます。
琉生「おい、親父!野球辞めたの靭帯断裂ってほんとなのかよ?」
父晋一「だから何だその口の聞き方は!」
琉生「聞いてんだから答えろよ!」
琉生と父晋一は一触即発になり、またオバー平良エツ子が止めに入りかかりますが父晋一はわかったみたいな感じでオバー平良エツ子を制しました。
琉生の隣に座った美海は怖さのあまりきょとんとします。
父晋一「ああ、そうだ。」
琉生「この前よーなー(與那覇)と会ってから聞いたさね。高校の時ファインプレーしてから靭帯切って野球辞めたって。それがトラウマになったから俺に高校入る時野球諦めさせたのかよ?」
父晋一「そうだ。與那覇くんのお父さんが行ってた糸満高校での試合だ。」
琉生「何でそれ俺に言わなかったさね!親父があの時本当の事言ってたら今のようにはなってなかっただろ!」
父晋一「俺も沖尚野球部の時はプロも注目しているショートと言われてた。しかし與那覇くんのお父さんが居る糸満高校との試合で靭帯断裂してそれが絶たれて野球は諦め、一般入試で大学行って銀行員になった。そして母さんと結婚して琉生、達郎、詩が生まれた。平良のオジーとオバーは居たが、父さんは一家の大黒柱。強い父であるべきだというのが俺の中で強くあって、大怪我で野球辞めたとか琉生らに弱い部分を見せられなくなってしまった。それで琉生に得意の美術があるしプロ野球の道は遥か険しいから、沖尚での野球は諦めて開邦に行って美術を極めたらどうなんだと言ってしまった。琉生の夢を奪うような事をした事はほんとに申し訳ないと思ってる。琉生、済まなかった。」
と今まで琉生の前で泣いた事のない父晋一は涙ながらに琉生に頭を下げました。
琉生「親父。家族なんだから父親だからと言って必要以上に強がる事なんてないさね。何で俺らに弱み見せねんだよ!会社ではまだしも、家族なんだから良いだろ!?」
横に座ってる美海はもうぼろぼろ泣いていて、琉生も目を潤ませていました。
その時、美海も泣いた真っ赤な目で何か言いたそうな表情を浮かべていて、
琉生「美海、何かあるのか?言いたかったら言って良いさね。」
美海「さっきの話聞いてさ、お義父さんも怪我して野球やめちゃったけど、父親としてのプライドがあってりゅうちゃんに強く言ってしまったと思うし、りゅうちゃんもお義父さんが怪我したのを知らなかったから野球を奪われたみたいな感じでお互い疎遠になっちゃったと思うさ。でもお義父さん、過去の事こうやって謝罪してくれたしさ、りゅうちゃんもう許しても良いんじゃないかな?って思うさね。りゅうちゃんが美術の道に進まなかった私と出会う事もなかったと思うしさ、まだりゅうちゃんがお義父さんの事許せないなら、私達の結婚は破談にしても良いかなと思って。」
一旦シーンと静まり返ります。
そして、
琉生「わかったよ。俺も親父の気持ちにずっと気づけなくてごめん。そして、今さらだけど、美海と結婚させてください。」
父晋一「俺も結婚に対しては反対するつもりは全くなかった。美海さん、琉生の事をよろしくお願いします。」
と美海に対して頭を下げ、美海も泣きながら父晋一に向かって頭を下げました。
こうして琉生と父晋一は10年ぶりに和解。
別室に待機してた母由紀乃、オバー平良エツ子、妹詩も目に涙を浮かべていました。
そして、深夜になり、琉生の父晋一は亡くなったオジー平良照義の遺影と仏壇に手を合わせていました。
そして、休み明けの月曜日、美海の職場なかまクリニックの朝礼では、
仲間院長「美海ちゃんが結婚する事によって、7月末で寿退職する事になったさ。美海ちゃんがここで働くのはわずかになるけどさ、美海ちゃんを快く送り出せるよう皆でちばっていきましょう。」
と訓示。
美海は、
美海「院長の言う通り私がここで働くのはあとわずかですが、残りの間も頑張りますのでよろしくお願いします。」
と挨拶し、
比嘉「美海ちゃんも大阪に行っちゃうのか。寂しくなるけど何かあったらいつでも変わらず言ってきてね。」
などとねぎらいの言葉を伝えていました。
~美海の25回目の誕生日に琉生、美海、結婚へ~
琉生と美海はついに結婚式当日を迎えました。
琉生と美海は結婚式のため、前日からヒルトン沖縄北谷リゾートに泊まり込みのため、婚姻届は早朝に代理で母由紀乃が那覇市役所に提出し、受理されました。
その時、琉生と美海の結婚式に出席するアトリエNARUMIのリーダー藤堂と福田も二人揃って関西国際空港へ。
まだほとんど人もいない空港のロビーで、
福田「ついに宜保くんの結婚式ですね。」
藤堂「せやなー。まだ宜保に心残りとかあるんか?」
福田「もう大丈夫です。」
藤堂「そうか。」
福田「あ、藤堂さん。まだ去年藤堂さんが私に告白したの覚えてますよ。で、今さらやけど、藤堂さんがまだ大丈夫なら藤堂さんとお付き合いしたいなって。」
藤堂「えっ!?良いんか!?俺もあれからもずっと衣織ちゃんの事好きやからよろしく。」
福田「ありがとう。じょあよろしくお願いします。で、もう私達付き合うんやからキャバクラとか行っちゃあかんよ、あっちゃん。」
藤堂「えっキャバクラ知ってたん?」
福田「宜保くんとキャバクラ話してるの盗み聞きしちゃったもん。あかんからね、キャバクラは。」
藤堂「わかった、約束する。」
と言い、藤堂と福田はキスしました。
そして、その時港内で那覇空港行きのアナウンスが流れ、
福田「じゃあ行こうかあっちゃん。」
藤堂「せやな。」
と言い、藤堂と福田は腕を組んで那覇空港行きの飛行機に乗り込みました。
そして、式場では、琉生と美海の楽屋にアドバイザーの有銘やコスチュームの玉城らが挨拶に訪れ、それから美海の家族が訪れます。
妹碧「ねえねえ、琉生さんとお幸せにね。」
と言い、妹碧は美海に泣きながら抱きつくと、
美海「あおまだ早いさね。でもありがと。」
と言い、美海も妹碧をそっと抱きしめました。
そして、
父暁「琉生くん。これから美海の事ゆたしく。」
琉生「ありがとうございます。お義父さん、お義母さん、碧ちゃんこれからもよろしくお願いします。」
と挨拶しました。
そして、今度は琉生の家族も訪れ、そこには父晋一と弟達郎の姿もありました。
弟達郎の薬指に指輪があるのを見ると、
琉生「たっつ(達郎、達郎と呼ぶが時々たっつと呼ぶ事がある)、お前も結婚するのか?聞いてなかったさ。」
弟達郎「にいにい、違うさね。前話した彼女(池永)とベアリング買っただけさ。2月の彼女の誕生日に。」
琉生「何だよ、でもお前生意気なやつだな。」
と言いながらも、周りは美海も含め和気あいあいとした雰囲気でした。
その後さらに二人の男の人が琉生と美海の楽屋を訪れます。
琉生の叔父であり、母由紀乃の弟でもある鹿児島に居る弟長男平良延年(たいらのぶとし・49歳)と、長崎に居る末っ子次男平良智乃真(たいらとものしん・47歳)でした。
琉生「のぶおじさん、ともおじさんさ。」
叔父延年「りゅうちゃんおめでとう!あの小さかったりゅうちゃんが結婚するって思うとほんと早いさね。」
と懐かしみ、
叔父智乃真「りゅうちゃんおめでとう!こんなめでたい事で沖縄帰ってこれておじさんもでーじ嬉しいさ。」
と言っていました。
そして、結婚式が始まり、まず琉生が一人でバージンロードを歩き、そして、バージンロードの入口で母那美にベールを被せられた美海が父暁と腕を組んでゆっくり琉生のもとへ。
そして、琉生と暁は会釈し、琉生は美海の手をとり、琉生と美海は階段を上がり牧師と対面。
牧師はリチャード=ボーア(80歳)。
式場には両家の家族だけでなく、二人がバイトしてたCHU♡LA Beach Gardenの仲村渠店長や新垣副店長らバイト仲間数人、琉生の職場アトリエNARUMIの上江洲社長、リーダー藤堂と福田、美海の職場なかまクリニックから仲間院長と比嘉、さらには琉生の友人與那覇ら双方の友人も結婚式に参列しました。
また、琉生の弟達郎は亡くなったオジー平良照義の遺影をしっかりと手に持っていました。
リチャード=ボーア牧師「宜保琉生さん、あなたは今、砂川美海さんを妻とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝(なんじ、健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合いその命ある限り真心を尽くすことを誓いますか?」
琉生「はい、誓います。」
リチャード=ボーア牧師「砂川美海さん、あなたは今、宜保琉生さんを夫とし、神の導きによって夫婦になろうとしています。汝(なんじ)健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、敬い、慰め遣え、共に助け合い、その命ある限り、真心を尽くすことを誓いますか?」
美海「はい、誓います。」
そして、讃美歌を歌い、琉生と美海は結婚指輪を左手薬指にはめ、そして、リチャード=ボーア牧師の指示のもと、琉生は美海のドレスベールを取り、琉生と美海はキスしました。
そして、フラワーシャワー、美海のブーケトスと続き、美海のブーケを取ったのはアトリエNARUMIの先輩福田。
福田は美海が投げたブーケを受け取った時、新郎(琉生)側の自分で良いのか戸惑っているようでしたが、琉生と目が合った時、琉生は微笑んでおり、それから福田は横にいる藤堂を見ると、藤堂もうんうんと頷いていて、その後福田は受け取ったブーケを見つめながら藤堂と寄り添っていました。
それを見て琉生と美海も見つめ合い、お互い微笑みました。
そして、披露宴。
CHU♡LA Beach Garden店長の仲村渠の司会のもと、琉生の友人與那覇やなかまクリニックの先輩比嘉のスピーチ、アトリエNARUMIの上江洲社長の乾杯の発声と続き、ケーキ入刀、ファーストバイト、お色直し、余興、美海へのサプライズハッピーバースデー、皆でカチャーシー踊ったり、会場全体が盛り上がります。
そして、最後は美海が両親への手紙を読み上げて花束やプレゼントの贈呈、琉生の父晋一による両家代表挨拶、琉生による謝辞があり、二人の笑いあり、涙ありの結婚式、披露宴は幸せムードいっぱいで終了しました。
エンドロールのスクリーン、砂川美海と映し出された文字は少しずつ宜保美海に変化し、琉生と美海は正式な夫婦となりました。
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