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世界史の「点」がここにたくさんある。世界史超超初心者に向けた入門書の最高峰がついに出た!【山崎圭一『一度読んだら絶対に忘れない世界史人物事典』SBクリエイティブ】

毎回発刊してすぐに手に入れ、読んで即こうして書評を残している、先ごろYouTube登録者数10万人を突破した「ムンディ先生」こと山崎圭一先生の『一度読んだら絶対忘れない』シリーズ。忘れもしない、自分の誕生日に3作目の『世界史経済編』が届いたと思ったら、もう4作目の『世界史人物事典』も発刊された。

さて今回の『世界史人物事典』。結論から先に書いてしまおう。

『一度読んだら絶対忘れない』シリーズ第1作『世界史の教科書』が「線」の本ならば、今作は「」の本である、と言える。

たとえば「ハールーン・アッラシード」という、アッバース朝第5代のカリフ(最高指導者)がいる。この人、実はドラえもんの映画『のび太のドラビアンナイト』にそこそこ重要な登場人物として出てくる。つまり、アニメのキャラクターであると同時に、世界史上に実在していた人物なのだ(ちなみにハールーン・アッラシードの項で映画のエピソードも出てくる)。

もしかしたらこの本で前から聞いた記憶のあった「ハールーン・アッラシード」が実在の人物だったことを知る人もいると思う。そんな人がハールーン・アッラシードが実在のアッバース朝でどういう業績を残したのかを今作で知る(点)。そしてハールーン・アッラシードが、今度はドラえもんではなく世界史の物語の登場人物として、どんな役割を果たしてどう貢献したのかを『世界史の教科書』で学ぶ(線)。

この流れ、完璧すぎないか。

あたらしいドラマにはたいてい「人物相関図」だったり、直前スペシャル!みたいな感じで主人公の人となりやヒロインの性格、周囲の人間関係を解説したものが何かしらある。それを事前に頭に入れておけば、この主人公はおっちょこちょいだから、超しっかり者のこの先輩に惹かれてるんだな・・・みたいなことが、なんとなくわかる。それが物語の大きなカギを握っていることだって、よくある。

そういう意味では、今作の『世界史人物事典』は、世界史の超超初心者の人がいの一番に手に取るべき一冊なのかもしれない。233人とものすごく大勢の登場人物はいるが、ひとりひとりの登場人物の人となりと言う名の「点」を打っておけば、あとは『世界史の教科書』で「線」として結ぶだけだ。この読み方をすれば、めちゃくちゃ世界史の理解が深まると思う。233人すべての点を打つのが大変なら、たとえば中国史の部分だけ点を打って、『世界史の教科書』で線を結べばいい。

動画授業を含めて、複雑な歴史を「わかりやすく」見せることにとことんこだわるムンディ先生。この本はその真骨頂であると言えよう。索引まで含めて目を通して本を閉じたあとで、「これは是非日本史版もお願いしたいなあ」とハッキリ思ったことを、最後に白状しておこうと思う。


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