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やさしく、深く、「ストレス」の正体を知る【糀本成美『気疲れしやすい人へ ゆるっと楽に生きるストレスと上手に付き合う方法』】

Amazonのペーパーバックという形で出版されているこちらの本。どこで知ったかといえば、以前HSPについてインタビューしていただいたなおさんが「この本おすすめですよ!」と言ってたから。ちなみにこの本では触れられていないが著者の方もHSPだそうだ。

さて、昨日書評を書いた『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』には、疲れの原因は主に脳の疲れであり、それは「マルチタスク」が引き起こしている。で、脳の疲れを防ぐためには逆に「シングルタスク」、つまり目の前の物事だけに集中するマインドフルネスが非常に効果的である、ということが論じられている。

そして今日紹介するこの本にも、明言こそないがやはり「ひとつのことに集中する」という共通点でくくれることが大事だということが記されている。それには味覚・触覚・嗅覚・聴覚・視覚の「五感」を活かすことがポイントで、第4章ではそれぞれの五感についてかなり深く掘り下げている(ちなみに著者の肩書のひとつが「五感セラピスト」だ)。

昨日の『「精神科医の禅僧」が教える 心と身体の正しい休め方』と照らし合わすために味覚を例に取れば、食事がいつもより楽しく感じたり、繊細な味覚をしっかりと感じられるならば五感が敏感で脳が冴えている証拠。しかし、濃い味じゃないと満足できなかったり、食事が楽しくないと感じるときは「脳が疲労している証拠」だという。この2つの本の結論をかけ合わせれば、食べているものの味を繊細に感じ取ることができないな、と感じたら、なおいっそうのこと食事の細かいところに集中することが、脳の疲れを取る第一歩なのかもしれない、と思った。

またタイトルにもあるように、この本のテーマは「ストレスと上手に付き合う方法」。ということで「ストレス」の基本についても知ることができる。おもしろいのは、ストレスには「快」「不快」の2パターンがあり、しかも人によって快ストレスと不快ストレスは受け取り方が違うという。たとえば、僕は風船が大の苦手、つまり不快ストレス以上の何者でもないのだが、この風船が割れる音が大好き!という人は風船を「快ストレス」として受け取っている、ということになる。

このように、この世の中のものはすべて「快ストレス」「不快ストレス」で分けられ、ストレスを感じることは当たり前のことなのだ、という。つまり、ひとくちに「ストレス」と言ってもみんながみんな悪いものではない、のだ。この考え方はなかなかできない。「ストレスと上手に付き合う方法」のタイトル通り、このストレスの基礎知識とうまく付き合う方法、がこの本のかなりのページを占めている。

やさしく、深く、「ストレス」というものの正体を知り、それとうまく付き合うこと。これはきっと、いまの自粛の雰囲気を仮に抜け出せたとしても絶対に必要なスキルだと思う。この本は昨年買ったものだが、いまこの時期に読み返してよかった。


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