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【AIを使いこなすツール】自動化の阻害要因とは?『予測マシンの世紀 第三部』#12

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
 第十二章 ワークフローを分解する
 第十三章 決断を分解する
 第十四章 仕事の再デザイン
第4部 戦略(経営層にとってのAI;AIがあなたのビジネスを変容させるとき ほか)
第5部 社会(AIと人類の未来) 

第三部、ツールに関してです。昨日の記事は以下です。

■仕事を再デザインする
昨日はコンピュータ登場時を振り返りました。算術が安価になったおかげで、数字を使った解析、そこからの判断の価値が上がりました。では、AIによる仕事の再デザインを本をもとに見ていきます。

予測マシンを導入する際、完全な自動化を目標にする場合があります。AIによるタスクは自動化に向かうことが多いです。完全な自動化できるタスクは簡単に思われますが、実は回避できない一連の作業があります。本では、チャレンジャー号の話が出てきます。

1986年のスペースシャトル・チャレンジャー号の事故では、ロケットブースターの中の1つの部品が故障たが、それは直径0.5インチ以下のOリングシールでだった。このたった1つの故障が、シャトルの飛行不能を意味した。タスクを完全に自動化するためには、1つの部品の故障が全体の作業を狂わせる可能性がある。すべてのステップを考慮する必要がある。それらの小さな作業は、自動化における非常に困難なミッシングリンクである可能性があり、仕事の改革方法を根本的に制約するものだ。したがって、これらのミッシングリンクに対応するAIツールは、実質的な効果を発揮する。

自動化の際に、1つの作業が全てに影響を与えるミッシングリンクがあるので、そこをAIツールで対応すると。

本ではさらに、発展すさまじいフルフィルメント業界を取り上げています。フルフィルメントは、EC・通販においては商品の受注を起点とするいわゆるバックヤード業務全般のことを指します。

フルフィルメント業界について考えてみよう。フルフィルメントは、一般的な小売業、特に電子商取引の中心的なステップである。注文を受けて、それを実行して、目的の顧客に配送できるようにするプロセスである。電子商取引の場合、フルフィルメントには、大きな倉庫のような施設で商品を探し、棚から商品を取り出し、在庫管理のために商品をスキャンし、商品をトートに入れ、箱に詰め、箱にラベルを貼り配送するといった多くのステップが含まれる。

まさに自動化できそうな部分ですね。どの商品が売り切れるか、需要が少ないために再注文の必要がない商品はどれか、予測タスクが非常に重要です。機械学習が、これらの予測をより良いものにしました。

過去20年の間に、フルフィルメントプロセスの残りの部分の多くが自動化された。例えば、フルフィルメントセンターの従業員は、商品を探してトートに入れるために倉庫内を歩き回ることに、半分以上の時間を費やしているという調査結果がある。その結果、いくつかの企業は、作業員が歩く時間を減らすために、棚を作業員のところに持ってくる自動化プロセスを開発した。アマゾンは2012年にこの市場のリーディングカンパニーであるKiva社を買収した。その後、自社フルフィルメントセンターとサードパーティロジスティクス企業の市場拡大に伴う需要を満たすために、他のプロバイダーが登場した。

Kiva、以前も取り上げましたが、すごいです。動画を見るとわかりやすいです。

サードパーティーロジスティックスに関しては以下に詳しいです。

一方、フルフィルメントセンターではまだ多くの人間が働いています。人間は何をやっているでしょうか?ピッキングです。把持、というのが日本語ですたぶん。

基本的には、ロボットが物を取って人の元に運べるが、人は「ピッキング」、つまり何がどこにあるかを把握し、物を持ち上げて移動させる作業が必要だ。把持することは非常に難しいため、この作業が最も困難だ。このような役割を人間が担っている限り、倉庫は自動化の可能性を十分に生かすことが出来ない。なぜならば、人間に優しい環境、室温、歩行スペース、休憩室、トイレ、盗難防止のための監視などが必要だからだ。それにはコストがかかる

ピッキング、自分もずっと謎でしたが、マシンには難しいみたいです。そのため人間を雇う必要があり、それにはコストがかかります。

人間がオーダーフルフィルメントの分野で活躍しているのは、手を伸ばして何かを拾い、どこかに置く「把持」の能力が高いからだ。この作業は、今のところ自動化されてい。

結果的に、アマゾンだけでも4万人の人間ピッカーをフルタイムで雇用しているそうです。当然、自動化したいですよね?

大量のフルフィルメントを扱う企業の多くは、ピッキングを自動化したいと考えている。アマゾンは過去3年間、世界中の優秀なロボットチームに、長年研究されてきた「把持」の問題に取り組んでもらうため、構造化されていない倉庫環境での自動ピッキングに焦点を当てた「アマゾンピッキングチャレンジ」を開催してきた。本稿執筆時点では、産業用として満足のいく問題解決には至っていない。

難しいみたいです。なぜでしょうか?社会人1年目の時に、トヨタの車工場の見学に行きましたが、そこではロボット完全自動で車の生産をしていました。かなり精密な作業も。飛行機はほぼ自動で飛んでいます。それなのに、なぜアマゾンの倉庫で物を拾い、箱に入れることができないのでしょうか。

これはまた明日。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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