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【続・感染症後の世界】ニューノーマル時代に大変革を迎える分野#6 市場の調整(あるいは新たな見えざる手)

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

昨日は記事を書きながら、異常な焦燥感にさいなまれました。

引き続き、感染症後の世界で必要なテクノロジーについて書いた本、「21 Technologies for the 21st Century」の第二部、「New Normal」についてまとめています。

7. 私たちが知っているようなオフィスの終わり
8. クラウドコンピューティング
9. アジャイル、スケーラブル、レジリエンスの高いデジタルインフラと運用
10. 働く人としてのAIとアルゴリズム
11. 市場の調整
12. センサーとモノのインターネット
13. ロジスティクス

本日は、「市場の調整」についてです。

※経済学のことをよく理解していないため、正確でない可能性が高いです

11. 市場の調整
ここで、始めにまとめから入ります。

まとめ
現代のアルゴリズムシステムの能力の一つは、お金以外の要因に基づいて協調的な意思決定を行うことである。同時に、価格シグナリングとそれに続く経済交流に基づいた現在の経済モデルが反撃している。今後数十年の間に、私たちはこれが様々な形で展開されるのを目にすることになるがでが、それはおそらく、自由市場と広範な経済の調整に関する私たちの基本的な考え方に挑戦することになるだろう。


アダム・スミスの「見えざる手」の話はよく聞くと思います。「見えざる手」の話はバーナード・マンデビルの『蜂の寓話』にも出てくるそうです。社会的利益は個人の自己利益の追求から得られるかもしれないと主張しています。

アダム・スミスは、『国富論』の中で、同じ考えを定型化している。"私たちが夕食を期待しているのは、肉屋、醸造業者、パン屋の博愛からではなく、彼ら自身の利己心への配慮からである。私たちは、彼らの人間性ではなく、彼らの自己愛に関心を持ち、彼らに自分たちの必需品のことではなく、彼らの利益のことを決して話さない。"

フリードリヒ・ハイエクの本により、この考えが広まったそうです。

ハイエクは、見えざる手の調整力、意欲的な買い手と意欲的な売り手のそれぞれの自己利益は、価格を介して表現されたことを、事実上、主張した。
価格は、実質的に、人々が最もほしいものを生産する方向に経済を運転する分散された知識の形態であった。

価格により自己利益が表現される、というのがポイントですかね。

しかし、始めのまとめで書いたように、この価格以外の要因が出てきました。

1998年以来、グーグルは独自の「見えざる手」を構築した。伝統的な市場の「見えざる手」とは異なり、価格は調整の役割を果たしていなかった
グーグルは、生産者と消費者をマッチングするために使用できる暗黙的・明示的な知識の他の形態を何百も発見した。その中には、アンカーテキスト、誰がリンクしているかを再帰的に識別するページランクと呼ばれる引用尺度が含まれる。

経済学的な視点からグーグルを考えたことがなかったため、価格以外に、生産者と消費者をマッチングで形態の発見、という視点は初めて持ちました。デジタルマーケティングを専門にしている方々にとっては当たり前なのでしょうか。
グーグルからすると価格は要因の一つに過ぎない、となりました。

以前の広告オークションでは、最高入札者に販売されていたところ、グーグルは、そのような広告をクリックするユーザーの可能性などの他の要因を考慮に入れた。検索と同様に、グーグルは広告市場を設計するために情報経済学の他の多くの革新を使用した。

情報経済学、勉強します。以下の記事はわかりやすそうです。

アマゾンも、独自の「見えざる手」を構築しました人々が本当に探しているものを予測するために、さまざまなシグナルを使いました。
この、「人々が本当に探しているものを予測する」技術は、人が欲しいものを予測するためにも使われ、人が欲しいものに影響を与えるためにも使われています。

Prediction Machines』という著書で、AIの本当の影響は、予測のコストを根本的に低下させることであると主張されている。

同じようなことを、孫正義さんも話されていましたね。ものごとの予測に、AIを使う。

では、このような「見えざる手」をどう発見するか?もちろんテクノロジースキルが必要ですが、他にマーケットデザインと呼ばれる、より効果的な市場の設計に関係する経済学のサブフィールドもあるそうです。
このマーケットデザインに関しては、『Who Gets What (フー・ゲッツ・ホワット) ―マッチメイキングとマーケットデザインの新しい経済学 』がお勧めされています。

この本を読むと、私たちが「市場」の仕組みを当たり前のように考えている多くのことが、実際にはデザインの決定の結果であることがよくわかる。シリコンバレーの企業はこのことを骨の髄まで知っている。標準的な経済モデルを買う企業は、自分が引く手の確率を知らないポーカープレイヤーのように、彼らの餌食となるのだ。

今回の話は、感染症以前からグーグルらが先行して行っていたことですが、新たな「見えざる手」を見つけることにします。

明日は「センサーとモノのインターネット」について書きます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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