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【AIと戦略】予測を買うか?自分の仕事の本質は?『予測マシンの世紀 第四部』#12

こんにちは。シンラボ共同代表の草場です。

AIとの共同に関して、『予測マシンの世紀 AIが駆動する新たな経済』をまとめていきます。推理小説のようで、ドキドキワクワクです。

目次
はじめに―機械知能
安さはすべてを変化させる
第1部 予測
第2部 意思決定
第3部 ツール
第4部 戦略
 第十五章 経営層にとってのAI
 第十六章 AIがあなたのビジネスを変容させるとき
第5部 社会(AIと人類の未来) 

いよいよ第四部、戦略です。どう戦略に組み込むか、一番大事な部分です。昨日の記事は以下です。

■AIがあなたのビジネスを変容させるとき
不確実性によるジレンマがあり、その不確実性を解決する予測マシンが出来れば、ビジネスの境界が大きく変わります。引き続き、不確実性が特定され、不確実性を減らすAIが登場した場合、何が起こるか、3つの観点で見ていきます。

1.AIのインパクト:資本
2.AIのインパクト:労働力
3.AIのインパクト:データ

昨日は、予測とデータの関係がトレードオフを引き起こすことを見ました。例えば広告データを取り上げました。広告データを購入するかどうかは、必要に応じて考える必要があります。

本日は、予測を買うかどうか、見ていきます。昨日議論した通り、GAFAMは、オンライン上の消費者の嗜好に関する有用なデータを持っています。さらに彼らは予測を行っています。

彼らは単にデータを販売するだけではなく、広告主のための予測を行ってる。例えば、グーグルは、検索やYouTube、広告ネットワークを通じて、ユーザーのニーズに関する豊富なデータを持っている。しかし、そのデータを販売せず、データが生み出す予測を、バンドルサービスの一部として広告主に販売している。Googleのネットワークを利用して広告を出せば、その広告に影響を受ける可能性が最も高いとネットワークが予測したユーザーに広告が表示される。FacebookやMicrosoftで広告を出しても、同様の結果が得られる。広告主はデータに直接アクセスすることなく、予測を購入する

予測を購入しているという自覚はありませんでしたが、大事ですね。データを保有するにしても、そのデータが貴重かどうかが大事になるからです。

戦略的優位性を生み出すためには、ユニークなデータが重要だ。データがユニークでなければ、予測マシンを中心としたビジネスを構築することは困難だ。データがなければ、学習への真の道筋がないので、AIは戦略の中核とはならない。

貴重なデータがないと予測マシンの活用が難しいと。

広告ネットワークの例で述べたように、予測はまだ役に立つかもしれない。それらによって、広告主は最も価値の高い顧客をターゲットにすることが出来る。このように、データや予測が戦略的優位性の源泉となる可能性が低い場合でも、予測が優れていれば組織に役立つ可能性がある。データも予測も組織の境界の外にあるが、予測を利用することは可能だ

予測が使える例は、Mastercard Advisors社のコンサルティングサービスだそうです。以下をご参考に。

データが無くとも、予測さえあれば役に立ちます。

ここでの主な意味合いは、データと予測マシンは補完関係にあるということだ。したがって、AIを調達したり開発したりしても、それに必要なデータがなければ意味がない。もしそのデータが他の人にあるなら、それを得るための戦略が必要だ。

その通りですね。Googleばりのデータは用意できません。ではどうするか?データの取得方法を考える必要があります。

データが独占的に提供されている場合には、AIの価値をすべて奪われてしまう危険性がある。競合他社にデータがある場合、競合他社からデータを調達する価値のある戦略が存在しない可能性がある。消費者にデータがある場合は、より良い製品や質の高いサービスと交換することが出来る。

逆に、自分が良いデータを持っている場合は、データの交換も可能かもしれません。

あなたと他の人がお互いに価値のあるデータを持っている場合もあるため、データスワップが可能かもしれない。また、データが複数のプロバイダーに存在する場合は、データと予測の組み合わせを購入するという、より複雑なアレンジが必要になることもある。

では、データ収集までするか、他社から購入するか?どう判断すればよいでしょうか?

自社でデータを収集して予測を行うか、他社から購入するかは、自社にとっての予測マシンの重要性による。予測マシンが棚から取り出せるインプットであれば、AIが自社の戦略の中核でない限り、多くの企業がエネルギーを扱うように扱い、市場から購入することが出来る。対して、予測マシンが自社の戦略の中心になるのであれば、マシンを改良するためのデータをコントロールする必要があるので、データも予測マシンも自社内にある必要がある。

予測マシンを戦略の中心とするか、これを考える必要があります。ここでこの章の冒頭に戻ります。

本章の冒頭で、医療診断を提供することを目的とした機械学習のスタートアップが、代わりに予測を販売することを提案した。なぜ医師は診断結果ではなく予測結果を買おうとするのか?また、医師はなぜ予測マシンとデータを所有したくないのか?その答えは、これまで述べてきたトレードオフの関係にある。

そうです、医師の仕事の重要な部分は診断であり、予測を購入することは医師の中核的な戦略的決定ではありません。
医師は、情報が追加されても、これまでと同じように行動します。それが重要な戦略的意思決定でなければ、データや予測を所有する必要はなく、予測を買うことができるのです。

しかし、スタートアップは違います。

スタートアップの本質はAIであり、予測は顧客に価値を提供するものだ。そのため、スタートアップがデータと予測マシンを所有していれば、診断を所有する必要はない。スタートアップと医師の境界線は、AIが戦略的でなくなり、代わりに別のプロセスへのインプットに過ぎなくなる境界線だ。

自分の仕事の本質はなんなのか?考えます。

草場壽一
https://sinlab.future-tech-association.org/


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