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【第7回】ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的会話(読書感想文)

こんにちは! shuhigashiです。
第7回目の投稿は「ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的会話」という書籍の読書感想文です。この書籍から学べることを掻い摘んで簡潔に書いていきます。
※難しい単語は成る丈使わずに、わかりやすく簡潔に書いていきますよ!

それでは宜しくお願いします!

1.この書籍について

ROIC経営などのいわゆる資本コスト経営に関する書籍は色々と出回っていますが、今回扱う書籍の著者は次のように評価されています。

巷間では、資本生産性について取り上げた良書も多い。一方で、内容が専門的で高度なファイナンス知識を要するものも多く、ハードルが高いものも少なくない。また、資本生産性指標の解説はあっても、機関投資家の考える企業価値や資本生産性が論点になる背景などを解説した書籍は意外に少ない。

なるほど。
確かに本書を読み進めていくと、上記評価をも考慮した構成および内容を意識されているように私は感じました。

一つ一つの論点について順序良く且つ、初学者(初心者)に対しても易しくわかりやすい表現で根拠を説明され、それが体系化されてる点が、本書の最大の特徴だと感じました。この書籍もまた良書といえます!(上から目線!笑)読む価値ありありですね!
実際にROIC経営を推進する際に、いつも傍にいて欲しい存在です。一家に一台ならぬ「一担当者に一冊」ですね。

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2.本書の目次

第1章 機関投資家の資本生産性改善に対する期待
第2章 ROIC活用の必要性
第3章 ROICの導入に関する論点
第4章 ROIC経営による企業価値向上
第5章 資本生産性指標とバランスシートマネジメント
    ー最適資本構成の追求
第6章 投資家との対話と企業価値に関する説明力の強化

3.結論(本書から学べること)

結論を述べさせていただきます。書籍「ROIC経営 稼ぐ力の創造と戦略的会話」から学べることを厳選すると次の2点になります。

①投資家の期待に対する企業の応え方
➁ROIC経営をやりたくなる

それでは、1つずつ見ていきましょう。
※難しい単語は成る丈使わずに、わかりやすく簡潔に書いていきますよ!

4.投資家の期待に対する企業の応え方

持続的成長と企業価値向上――。
本書はこの言葉から始まり、投資家と企業の考える「企業価値」に乖離があるという点について解いていくところからスタートします。
(源流はココにありですね。「企業価値」がキーワードです!)

その中でも印象に残った(学べると感じた)内容を簡潔にまとめると次の3つになりました。

①グローバルな投資家のおよそ半数は日本企業に対して「中長期的な資本生産性の改善」を期待している。

➁①に関連し、グローバルな投資家の約8割は「コーポレートガバナンスと資本生産性の向上は関連付いている」と認識している。

③自社の株主資本コストを認識している日本企業は、半数にも満たず、多くの経営者が自社の株式に投資している株主の期待収益率を十分把握せずに経営に従事している

「ちょっと何言ってるか分からない」という方(私を含め)に向けて超絶簡単に書くと次の通りです。

①多くの日本企業は短期志向な経営を行っている。つまり、目の前の収支にばかり目を向けている

➁多くの日本企業は、取締役の機能が不十分であり、企業統治が効いていない。つまり、中長期的な(持続的な)企業の成長に注力していない。さらにつまるところ、投資家は中長期的な企業の成長に期待している

③企業は株主資本コスト(企業側としては主に配当のことで、株主側としては期待する収益のこと)に意識を向けることで、自ずと投下した資本(金融機関からの借入金や株主から調達した資金など)に対するリターンを考える経営に変わるはず。

どうでしょうか。言いたいことが伝わっていると嬉しいです。

全てを纏めて、もっともっと簡潔に述べると次の通りと認識しております。

基本的に、投下した資本に対するリターン(いわゆる費用対効果)を意識して、中長期的な経営を行う必要性がある。
※もちろん短期に意識すべき時はそれに対応する必要はある。

ごくごく当たり前なことに聞こえませんか?
そうなんです。当たり前のことを当たり前にやればいいのです。それが中々再現できていないのが多くの日本企業だそうです。

ものすごく考えさせられませんか?

小さな企業であれば、社長のハンドリングが軽快で、このような当たり前のことは日常茶飯事のように再現できているはずです。ここでいう”日本企業”は概ね上場企業をターゲットにしている(つまり、いわゆる大企業がほとんどの)ため、そのハンドリングが鈍いことにより、当たり前のことが当たり前に出来なくなっているのではないかと推測できますよね。

また、短期志向(つまり損益計算書であるP/Lに目が行く)のため、貸借対照表(B/S)をセグメントや事業ごとに管理できていない。といった仕組みの問題が資本コスト経営を阻む原因になっているとも推測できます。

書籍の中では、その具体的な根拠を小気味いいテンポで順序良く記載していますので、是非ご一読いただければと思います。見る方々の違う視点によっては、私が纏めた内容以上に価値の高いものを得られるかもしれません。

「いやいや、それでもイメージできません!」という方は、ご自身の家計に置き換えるともっとわかり易いと思います。以下に例えますね。

収入(給与所得≒手取り)は企業の「売上」に当たります。そして最低限の生活をするために必要な食費や家賃、水道光熱費などは「経費」に当たります。売上から経費を差し引いた「純利益」は余ったお金となります。
この余ったお金をどの「資産」に振り分け、貯蓄・運用(例:株式投資など)していけば、家計として成長していけるか(更なる収入に繋げていけるのか)、住宅ローンなどの「負債」は早期解消を図ることが望ましいのか・・・などなど。

はい。そうなんです。
結局、家計でやっていることを、企業経営においても実践していくことだけなのです。(簡単に言ってしまってるのでリアリティに欠けますが。笑)

最近人気のYouTuber(経営者・投資家)の両学長さんの書籍「本当の自由を手に入れるお金の大学」が、家計に置き換えた時の良い例ではないでしょうか?
この書籍非常に面白くわかり易いです。この書籍はどちらかというと個人向けの内容ですが、企業に置き換えることでも効果が出そうですし、個人向けとしても「稼ぐ力」や「増やす力」の対面にいる企業の経営企画にも役立つ内容になりますので、今後記事にしたいと思います!

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両学長のYouTubeいいですよ。ラジオみたいに聞けるし、なによりも両学長のテンションの高さで元気が出ます。笑


5.ROIC経営をやりたくなる

ROIC(Return on Invested Capital)は日本語で「投下資本利益率」と言います。このROIC、実は計算式の定義が無いという面白い指標なのです。

えぇ~~~~って思いませんか?
「ROIC経営をやりたくなる」って言うてる傍で、いきなりどうした?って

そうなんです。この”定義が無い”という先入観によって、ROIC経営に足を踏み込めていない、頓挫する企業が多いそうなのです。

では、なぜ「ROIC経営をやりたくなる」って思えるのでしょうか。
それは・・・

”本当の意味”で、自社をしっかりと見てあげる必要があるから

というロマンが溢れるところではないでしょうか。笑

「精神論かい!」って思ったあなた。朗報です。

”本当の意味”で、自社をしっかりと見てあげたこと、ありますか?

そうです、ほとんどの場合、”本当の意味”では見れていないはずなんです。

その”本当の意味”については、書籍を読んでいただくとしっかりと載っていますので、この記事では割愛しますが、少しだけ載せますね。

例えば・・・

東証一部上場企業の業種別の各指標を眺めて、”本当の意味”で自社をしっかりと見てあげたことがありますか?

ROE、ROICと財務レバレッジの関係、利益率と投下資本回転率の関係など、自社の業種に近い業種の状態を参考にしながら、自社を”本当の意味”で見てあげて下さい。

すごく、ワクワクしてくるはずです。
財務諸表などを引っ張り出して、早く数字を見たくなるはずです。

ただ、世の中は不条理なのです。そう簡単にはいかないのもまた、ROIC経営の面白さなのです。

冒頭でも述べましたが、ROICには計算式の定義が無いという時点で、かなりオリジナリティが求められることが推察できますよね。

つまり、自社に合った、数字の使い方を模索する必要があるのです。でも、これは裏を返せば、”本当の意味”で自社をしっかりと見てあげる必要があるということに繋がってくると考えられる訳なのです。

以前の記事でも記載しましたが、ROIC経営の先駆者といわれるオムロンの取締役である安藤氏はウェビナーにおいて次のように言われていました。

・ROICは万能ではない。手段である。
・ROICは経営管理のルールである。

この言葉は、ROIC経営を真剣に考えている方にとっては非常に刺さりますよね。

ROICの数値ばかり追うのではなく、各企業ごとの特性を十分に理解し、オリジナリティに(ある意味そこで差別化をして)資本コストを意識した経営を推進することが望ましい

このように捉えると、ホッとしませんか? しかもわかりやすいですよね。

TTP(Tettei Tekini Pakuru)という言葉もありますが、自社の現状にしっかりと目を向けて、自社にFitするものを導入していくことが、本当に重要なことだと思います。

6.余談(簿記検定について)

株式投資をする上では「簿記検定の取得は不要」という意見は多いと思います。
簿記検定では仕訳の作成から始まり、財務諸表を作成するための技術を養うことはできますが、これらは全て"過去の数値を扱う技術"に過ぎないため、株式投資で重要といわれる"未来の情報(予測)"にはほぼ結びつかないという点がその所以と私は捉えています。もちろん、株式投資をする上で簿記の知識はあったに越したことはないと思われますが。

今回取り上げましたこの書籍の中では著者の方が独自で作成された図表をふんだんに用いられていますが、その図表のほとんどが、いわゆる「T字勘定」の考え方で表現しているのです。簿記経験者にとっては「T字勘定」は基本の"き"ですから違和感なく読むことができますが、簿記未経験の方にとっては「?」という状態だと思います。言わずもがなな事実ではありますが、企業側の立場としては「簿記検定の取得は必須」は明白ということです。

私は商業高校出身ですので、高卒レベルといわれる簿記検定(日商簿記検定2級・建設業経理士2級)は取得しているため、その点には困ることはありませんが、この記事を読まれている方の中には簿記検定を取得されていない方もいらっしゃると思います。簿記は人が生きる上で必要といわれるFP(ファイナンシャルプランナー)に次ぐ?それと同じレベル?で必要になる知識だと私は個人的に捉えていますので、この機会に勉強することを強くオススメします!

私が高校時代に日商簿記検定2級を取得した際は、TAC出版の書籍を活用しました。(活用しました。と言うよりかは、学校側が用意してくれたので、活用させられました。が正しい表現ですが。笑)わかりやすく使い易かった書籍ですので紹介しておきます。

また、社会人になってから建設業経理士2級を取得しましたが、その際も高校時代にお世話になったTAC出版の書籍を活用しました。検定自体が異なるため中身は違いますが、相変わらずわかりやすく使い易い書籍でした。(ちなみに検定試験本番では自己採点で100点を取ることができました。それだけ私には相性の良い書籍(出版社)だったということですね。笑)

簿記検定の取得を目的とする場合は、問題を解きまくる(しかも"書きまくる")必要があるので少し大変なのですが、目的を「検定の取得」にしない場合は、このテキストを読書するだけでも知識の習得には十分だと思います。


~行動は今日からはじめる!~
それでは頑張っていきましょう!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
以上です。


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