「夜天を引き裂く」を絶賛したい。
_夜天を引き裂く_を絶賛したい_

「夜天を引き裂く」を絶賛したい。

しゅげんじゃ

というか、する。

なんだろうな、乏しい僕の語彙力では「素晴らしすぎる」「これはヤバい」という言葉しか浮かんでこないわけですが…。今、全話を読み終えて猛烈に感動しているので、その勢いで書いてみようと思います。

圧倒的な筆力

作者のバールさん。この人は明らかにただ者ではない。この間、逆噴射小説大賞参加者の作品は大量に読んできましたが、バールさんの筆力はその中でも抜きん出ている。これは敢えて断言してしまいましょう。この人の筆力は抜きん出ている!(ちなみに筆力という点では他にも「この人やべぇな」と思っている人がいて、それは深瀬ねむみさんです。)

そう、圧倒的な筆力。

僕がバールさんの文章を読んでいて「おぉっ!?」って思った一節があります。

 愚かな畜生に悪戦苦闘する奴隷の横を、シャエニは悠然と通り過ぎた。
 かに見えた刹那、青年の腕が掻き消えた。閃光が闇を疾り抜け、奴隷の頭を通過していった。ベシュメル語の口汚い悪態が、唐突に止む。白人奴隷の頭から細く優美な剣が生えていた。その柄はシャエニが逆手に握っている。
 抜剣、順手から逆手への持ち替え、刺突。三つの動作が切れ目なく連続し、抜く手も見せぬ瞬撃を繰り出したのだ。アンバアンの無慈悲な斜陽のごとき切っ先が奴隷の頭蓋に対して垂直に突き立っている。

これ、物語の中ではどうってことない場面なんですが、僕はちょっと衝撃を受けたんですよね。人の動きの描写って難しくないですか。それがここまで流麗にテンポ良く、そして何よりも美しく修飾されて描かれている。

すっげー!!

って思いましたね。ヤバっ!

特に三つの動作に関する描写のテンポが素晴らしい。そして「切れ目なく連続し、抜く手も見せぬ瞬撃を繰り出した」、この説明自体がバールさんの文章を適切に現しているとすら感じました。

バールさんの文章の特徴はまさにここにあると思います。読みやすくテンポの良い文体。そしてバールさんはそのテンポを損なわずに豊かに荘厳する語彙のバリエーション、これも凄い。

これ、もし仮に僕が同じ場面を描こうとしたらめっちゃダサダサになるでしょうね。いや本当に。

そして「夜天を引き裂く」ですが、このバールさんの圧倒的筆力が遺憾なく発揮されています。

特に圧巻は十三話、主人公の変身シーン。それから十五話、十六話、十七話の戦闘描写。これが凄い。明らかにバールさんの気合いも乗っていて、非常にエモく、そしてアツい。

個性的な登場人物たち

そして凄いのは筆力だけではありません。登場人物、そのキャラクター造形が素晴らしい。なんだろうな、登場人物に対するバールさんの愛を感じる。

正しく主人公ムーブを繰り広げる、ライバル的立ち位置の橘静夜。その背景、生い立ち、想い、行動、すべてが「普通はこいつが主人公だろ」というそれ。橘静夜、僕はかなり好きです。

それに対してひたすらラスボスムーブを繰り返す主人公の久我絶無。主人公なのにラスボスムーブ。これが面白い。

そして二人の激突のその先に「夜天を引き裂く」、このタイトルの意味がはっきりと見えてきます。そして久我絶無の抱く熱い想い。それがその過程で露になってくる。あぁ、なんと素晴らしい 。。

爽やかな読後感

けっこう凄惨な描写もあるこの物語ですが、読後感は非常に爽やかです。登場人物たち、そして作者のバールさんとともに「ひとつの物語を走りきった」という達成感、 爽快さを感じさせるラスト。

もちろん世界観的には「物語はまだまだ続くぜ!」って拡がりも持っています。恐るべき強敵たちの存在も示唆されています。

その世界観の拡がりゆえに、いつかまた、絶無たちの物語の続きを読めるかもしれない。それだけでも読者としては幸せなものです。

なお本作は十三話以降、文章の後半を読むには100円の課金が必要です。全部読むのに合計500円。しかーし! 絶対に損はしません。それは僕が保証します。間違いなく、それ以上の価値があります。

最後に。

連載開始から17日間、本当に良い時間を過ごさせてもらいました。楽しかったー。バールさん、ありがとうございました!

【おしまい】

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