奥野衆英はパリにいます

マイム俳優。次回公演は6月6・7日パリ、6月29日から7月21日までアヴィニヨン演劇祭…

奥野衆英はパリにいます

マイム俳優。次回公演は6月6・7日パリ、6月29日から7月21日までアヴィニヨン演劇祭OFFです。 東京生まれ小諸育ち。もう短いとは言い難い時間をパリで過ごしています。 ÔBUNGESSHA by Shu OKUNO : https://www.obungessha.com/

最近の記事

いざ、作品の批評獲得合戦!アヴィニヨンOFF演劇祭は記事の祭典。

引き続きアヴィニヨンOFF演劇祭が続いています。 今年は前倒しで始まったせいで「あれ?さほど暑くない?」と思っていたら、とんでもない。相変わらず刺すような日差しで暑くなって来た今日この頃です。 そんな中アヴィニヨンOFF演劇祭にまつわるエトセトラ其の二です。 世界一の演劇祭の基準が参加作品数の数で論じたられたら、アヴィニヨンOFF演劇祭は間違いなく世界一の演劇祭です。今年は公式発表で、1666の公演があり、そのほとんどが3週間近くの日程を毎日演じ続けます。 もちろん、その話

    • 異例の年、劇場達の謀反。Avignon OFF 2024

      アヴィニヨン演劇祭OFF(以下OFF)も終盤に差し掛かりました。少しホッとしたところで、今回の僕のOFFの参加の仕方や、例年とは少し異なる2024年のOFFの特徴について、奥野衆英の視点からアヴィニヨン2024にまつわるエトセトラを、数回に分けて書き記しておこうと思います。 史上初?劇場の謀反編 今年のOFFは異例中の異例で、一週間強制前倒しで行われています。なぜならオリンピックがあるからです。 「オリンピックと演劇祭ってお客さんの層が違うから別にいいんじゃない?」と思う

      • 無事に初日が明けました。Le premier jour a pris fin.

        Incroyablement, l’un des grands acteurs que je respecte, Yves Marc, est venu voir ma pièce. Et malgré son emploi du temps chargé, il m’a donné plusieurs conseils précieux. Ces précieux conseils, c’est un secret. C’est l’une des meilleures r

        • L’Entrepôt(オントル・ポ)。資材もアイディアも、独占しない仕組みが芸術の都を作る。

          ※この投稿はひとつ前のnoteの続きになります。 6月6・7日のパリ公演、そしてアヴィニヨン演劇祭OFF2024の公演から、初の物販に挑戦しようとしています(アクスタじゃないよ!)。 ただのグッズ販売ではなく、私がこれまで経験してきた、舞台美術資材のリサイクルという考え方を生かした小さな草の根プロジェクトです。ちょっと話が続きます。 以前、日本から大きな助成金を得て来た、ある2つの団体のパリ公演を手伝う機会がありました。数回の公演後、1000万円以上はするであろう美術資材

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          「FLOW」―再生と活動。クリエーションが物質を循環させ、生活と舞台に春を呼ぶために。

          空間デザイナー・山本大介氏の作品が、僕のパンタンにあるアトリエに程近いギャラリー『GSL Gallery (THE GUILD OF SAINT LUKE)』で展示されているということで、観に行ってきました。山本氏とは2022年のパリファッションウィークで『beautiful people』のデフィレの振付に関わったことが縁の始まりです。 今年は、私が大学時代に自然科学を学ぶ上で必読とされていたレイチェル・カーソンの「沈黙の春」が出版されてから、ちょうど50年目に当たります

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          その喜びや悲しみは、有形か無形か、あるいは人生かマイムか?マイム芸術と文化について。

          形ある文化、あるいは形のない文化について。 僕たち人間は、地球上の他の全ての動物と同じく一生物でありながら、逆に他の動物の、たった一つの種族も成し得なかったものを生み出した。 それが「文化」である。 僕は、有形の文化も無形の文化も、同様に好きです。 無形の文化には、ちょっと大袈裟に言うと、まるで宇宙の摂理を全て素直に受け入れたかの様な風情を感じることがあります。対して有形の文化には、どこかにまだ一抹の人間らしい煩悩がちょっとくすぶっている、そんな感じがします。 どちらの文

          その喜びや悲しみは、有形か無形か、あるいは人生かマイムか?マイム芸術と文化について。

          夜通しのオープニング公演「ジェストの夜」:第5回ジェストとマイム芸術のビエンナーレ

          第5回ジェストとマイム芸術のビエンナーレ 5ème Biennale des Arts du Mime et du Geste フランスの街中で、一ヶ月間繰り広げられるマイムの祭典、「ジェストとマイム芸術のビエンナーレ」。オープニング公演は「第4回ジェストの夜」と銘打たれていました。 舞台は20時から4時まで、夜通し楽しめるという大胆な企画。この大胆さ、裏を返せばパリという都市が深夜や早朝などのいかなる時間でも、どうにかこうにか帰宅する手段を提供しているコンパクトサイズの都

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          Autoportrait:『私達は、どうしたら人が呼べるのかを作り手としてもっと真剣に考える必要がある』―豊岡演劇祭2023での公演を終えて

          豊岡演劇祭11日間連続、全16公演を無事に完走し、パリに戻りました。 重い体をなんとか動かして、フランスから持って行った美術や道具の一つ一つを、次回のチェック項目づくりをしながら(これが意外と大事)、アトリエに戻しています。 豊岡演劇祭2023 改めて、豊岡演劇祭までご来場いただいた皆様、遠方から駆けつけてくれた旧知の方々、サポートしてくださった皆様、そしてテキパキ働いてくださった優秀な我がスタッフの皆様、そしてフェスティバル運営の皆様、本当にありがとうございました!おか

          Autoportrait:『私達は、どうしたら人が呼べるのかを作り手としてもっと真剣に考える必要がある』―豊岡演劇祭2023での公演を終えて

          『BLANC DE BLANC -白の中の白-』9月14日からの豊岡演劇祭公演に寄せて、パリを発つ前に。

          私は奥野衆英と申します。マイム俳優として、もう短いとは言えない期間を、パリで過ごしています。 先日パリでの公演を終えて、嬉しいメッセージをいただきました。 レイモンドさんは、50代の男性で、俳優のマット・デイモンに似た風貌をお持ちです。彼の穏やかな話し方からは予想もつかなかったのですが、「若い頃、自転車で一ヶ月かけて日本を旅したことがあるんだ。その当時は外国人も行く人が少なかった、九州まで足を運びましたよ」と、無邪気に笑うような、冒険心あふれる一面も持つ方です。 そのレイ

          『BLANC DE BLANC -白の中の白-』9月14日からの豊岡演劇祭公演に寄せて、パリを発つ前に。

          Festival de théâtre et moi:フランスの演劇祭、演じたり観に行ったり。

          奥野衆英は現在パリにいますが、通常夏はアヴィニヨン演劇祭に足を運んでいます。私は2004年、2008年、2009年、2012年に参加し、その他の年は通常1週間ほど観劇に訪れていました。 アヴィニヨン演劇祭といえば、アヴィニヨンの城壁に囲まれた旧市街を中心に、毎日1000公演近くが24日間連続で演じられる世界最大規模の演劇祭です。 この演劇祭に何度も参加している者として、観劇している者として、またこの9月は日本で豊岡演劇祭に参加する者として、アヴィニヨンの悲喜こもごもを書き

          Festival de théâtre et moi:フランスの演劇祭、演じたり観に行ったり。

          Demi-plié, merci ! : ドゥミ・プリエ、メルシー!

          『バレエから歌と台詞が徐々に排除され、踊りと身振り(マイム)によって物語が語られるようになった』。 僕自身が最も足を運んでいる舞台芸術はバレエで、主にパリのオペラ座の公演を観ています。 今住んでいる場所は、ガルニエにもバスチーユにもアクセスが良く、アクセスが良いと思っているのは僕だけではなくて、気付けばオペラ座のエトワールまで同じ駅から出勤していることがわかりました。舞台で観ている彼や彼女たちと、同じ野菜屋さんの列に並んでいるのは、何ともシュールなスペクタクルです。 今と

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          「ゲラッシムへ」。 「元気ですか?アメリカでの活躍の様子は、僕の耳にも届いています。 さて、僕は9月に日本で公演をするのですが、それについて質問があります」。 ゲラッシムはマルセル・マルソーのアシスタントで、マルソーのテクニックを教える専門家。マルソーが世界ツアーなどで不在時は、彼が学校で代講を請け負っていた。 どこまでもカリスマの「ムッシュ・マルソー」に比べると、 「『先生』って呼ぶのは止めてくれよ」 「もっとお互い、親しく呼び合おう(フランスで言うところの"tuto

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