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日進月歩 ~Road to MBA~#121

2021/6/4:デザイン経営➀
 金曜日は、公益財団法人日本デザイン振興会の寄付講座であり、春学期2から始まった講義です。新しい経営といわれている「デザイン経営」を職員でもあります秋元氏から学ばせていただいており、1回目の講義としてどんなことをするのか楽しみでした。

■GOOD DESIGN AWARD(グッドデザイン賞)

 1957年に「グッドデザイン商品選定制度」として開始し、毎年開催されている日本を代表とするデザイン賞となっている。
※2020年度は受賞件数1,395件(受賞企業数974社)、審査対象数4,769件

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■経営デザインとデザイン経営の違い

 まず「デザイン経営」と「経営デザイン」の違いを考えていく上で、”デザイン”とはどういったものであるか、という概念から確認させていただいた。

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 この意識調査結果から見ると、”デザイン”とは「=ものの色・形・印象をつくるもの(意匠・造形)」ということが考えられる。本講義ではGOOD DESIGN賞の受賞作の変化から、年代におけるデザインと世の中の変化の親和性について学ばせていただきました。

1950~1960年代:生活の利便性の追求、大量生産と普及に関する商品
1970~1980年代:人々の暮らしをもっと豊かに(自己実現の追求)
1990~2000年代:環境問題などの課題、情報化の進展
2010年以降:新しい生活モデルの構築、「所有」から「共有」への変化

 そこから考える”デザイン”とは「=ものごとの筋道を立てて実行に移す(構想・計画)」という意味があると学ばせていただいた。人がより良い状況になるための機能を担い、あらゆる創造力を駆使して目的を達成しようとする。これこそがあらゆる”デザイン”に共通する基本要素であり、「経営デザイン」と「デザイン経営」の違いをまとめていった。

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デザインとは?
人が目的を達成するために、構想から計画・実践に至るまでを創造力を駆使して進めることによって、人に良い成果をもたらすこと
※多義的:意匠、構想、計画、展望、創造、創作、造形などを含む
◉経営デザインとは? =経営の構想・考案・計画・運用
◉デザイン経営とは? =デザインを基軸にした経営実践

■デザイン経営が生まれた背景

 このような新しい経営手法が生まれた背景にあるのは、日本経済の行き詰まりによるイノベーションの必要性、グローバルに向けたブランド構築の必要性、人々の価値観念が変化したことによる新しいエコシステム確立の必要性があげられている。ようは前例で踏襲できない、正解のない舵取りが必要になってきたということである。
 このような時代背景にある中で、企業や経営者は改めて「事業の目的や企業の在立目的」を考えることが必要になっているのだ。「なんのために・誰のために企業(事業)しているのか、自分たちには何ができるのか」といった経営価値の再構築が求められていることがあげられる。
 デザイン経営とは「何が人にとって望ましいのか」といった、対象となるユーザーや消費者などの「人を基軸」に経営することが前提となっており、人に対する洞察力や想像(創造)力が求められている。これをいかに経営に落とし込めるか、人のために創造的な営為としてデザインできるか、

➀ビジネス領域との親和度の高さ
②人間を尊重した思考・方法を伴う
➂産業のサービス化への合致
④デザインを活かした経営成功のロールモデルの存在

 などのポイントから考えていくことになる。デザインを利用した考え方の方法(理論)としてご紹介いただいたのは、「ヒューマンセンタード・デザイン」と「ユーザーエクスペリエンス・デザイン」となる。 

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※ヒューマンセンタード・デザインの事例:富士通東京都市大学
※ユーザーエクスペリエンス・デザインの事例:UXデザイン実践の4ステップ

■デザイン経営とは?

 経済産業省・特許庁も発表している『「デザイン経営」宣言』の中で、経営デザインは定義されていることも講義いただいた。

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 ここから導かれる答えとしては、経営推進の基本要素に”デザイン”をインプットし、経営フローに”デザイン”を意識した組織構築をし、社会課題の解決やイノベーション達成などを経営の主目的に据えることで、結果として強いブランド構築ができることだ。この考え方が基本的要素となり、「デザイン経営」を定義づける重要なポイントとしては、以下のようにあげられる。

(a)デザインの経営資源化:経営資源の根幹にデザインを位置づける
(b)創造的役割を担う人材の重用:「意匠」としてのデザインと「構想」としてのデザインを担う人材を擁する(経営に参画する)
⇒(a+b)合わせることで創造的アプローチを必然的に伴った経営を実施
※創造的アプローチとは、体系化された方法論としての「デザイン思考」

 デザイン経営を定義する上での重要なポイントとして、デザイン思考として体系化されたプロセス(「ストーリーメイキング:仮説」⇒「リサーチ:対象を観察」⇒「プロトタイピング:可視化」⇒「フィードバック:反応を次に活かす」)として設計され、既存のアプローチとは真逆の発想になる。

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 ここまでの内容から分かる「デザイン経営」という新しい経営の概念は、①エコシステムの構築(人を重視する姿勢)、②イノベーションの誕生(創造手的なアプローチ)、③ブランディングの達成(ぶれない企業姿勢)を軸として結実したものと考えることができる。経営の目的を達成するための様々なアプローチ方法のひとつであることも分かり、デザイン経営の志向を基に経営革新を実施するための考え方と手法を学んでいく講義となる。
 次回以降は、GOOD DESIGN賞の事例を基に、デザインを経営に組み込むためのアプローチ方法や考え方を学ばせていただくことになっている。

平岩 宗(ひらいわ しゅう)
1986年12月14日生まれ(34歳)/愛知県出身
【サッカー】春日井JFC/FC.FERVOR/中京大中京高校/駒澤大学/横河武蔵野FC(JFL)/エリースFC東京(関東)/ラスタサッカーファミリー(埼玉)
※U-12日本代表候補/愛知県国体選抜(高校)/JFL108試合・天皇杯7試合(通算115試合1得点)
※https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B9%B3%E5%B2%A9%E5%AE%97
【ビジネス】株式会社ビーコンインフォメーションテクノロジー/コムテック株式会社/株式会社ミスミグループ本社/独立行政法人日本スポーツ振興センター(西東京市スポーツ推進委員)
【学校】中京大学附属中京高等学校/駒澤大学経済学部/立教大学大学院ビジネスデザイン研究科

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