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人口減少を考えてみた

人口減少の影響は既に…

 人口減少の話題を聞いたことありませんか?人口減少は、話題ではなく統計上が示す現実。将来の「予想」ではあるが、現実の出生率からはじき出される将来の「現実」。受け止めるしかない。
いろんな場面で「人手不足」が叫ばれている。これは、大げさかもしれないが、人口減少の影響の一端。

IT、物流、建設…

 DX化が進む中DXを担う人材が不足し、取り合い状態になっている。これはバブルではなくデジタルがインフラ化した結果であること、大きな変革の基軸にデジタルがあるから。加えて既存のシステムをアップデートや保守のためにも必要だからだと思う。

 「自社カスタマイズされたシステム」が日本には多い。結果、アップデートも保守もすべて自社で抱えるなり、事情に精通したお抱えの委託先なりに頼まなければいけない。加えて、”つぎはぎ”を繰り返した結果、迷路のような世界になっていることもある。みずほ銀行のシステムトラブルは、典型的な例だと思うが、こうした自社カスタマイズ+つぎはぎ仕様のシステムが多い日本では、今後もみずほ銀行のような事例は大なり小なり起きるだろう。

 世界的にもDX化が加速し、世界中でDX人材は取り合いも相まって、極端には保守もままならず「維持」も困難な事態になる可能性も秘めている。これ、遠い未来ではなく結構近未来の現実だと思う。

 また、物流も良い言い方をすれば行き届いたサービス、悪く言えば過剰なまでのサービスにより、自分の首を絞める生産性の低い状態を生み出していると思う。物流を主に担うドライバーが、ネットの普及に伴う需要に追い付いていない。需要は便利さもあり今後も加速する。しかし、人口減少もあり、ドライバーへの過酷な負担解消に向けた動きと生産性を低下させるサービスもあって、頼んでも届くまで時間を要する世界は、もうすでに起きている。普通郵便の配送などは、ちょっと前に比べて本当に遅くなっている。今後も加速するのが現実だと思う。

 建設の世界も同様。建設に従事する人そのものが減少している。確かに肉体労働であることを忌避する人もいるのもあるであろうが。解体や新しい建物だけでなく、憂慮されることは道路や下水道といった生活に欠かせないインフラの「維持」。成長を前提に整備されてきたインフラも人口減少による担い手不足が加速すれば、インフラの老朽化に伴う維持すらもままならない事態に。既に、水道管の老朽化による破裂も多くなっている感じがするし、他のインフラも多くは高度経済成長期に敷設されたものが多いから老朽化によるこうした事態が次々と発生してくると思う。

有効策である生産性向上を阻む要因?

  この「現実」に対して有効な対策はないのか?これまでの当たり前を当たり前にするために。私は、「生産性向上」が重要な対策だと思う。今まで10人でやってきた仕事を5人でできるようにすることで、人口減少要因の人手不足の解消だけでなく、一人一人の給与も上げられるから。AIやロボットの普及は、人手不足を補う面でも生産性向上でも寄与すると思うし、期待したい。

 しかし、日本の企業の多くは、既に確立しているような技術であっても普及スピードが遅いのか?国も企業もお金がないからか、それも一理あるが、根本はそこではない部分の要因が大きいと思う。 

縮小する市場での無駄な競争

 グローバルな視点ではなく、日本という人口減少=市場が縮小することが現実起きているにも関わらず、未だに日本という市場の中だけで無駄ともいえるくらいの競争とそこからの疲弊により、結果グローバル市場での競争力を低下させているのではないかと思う。右肩上がりの時代は、鎬を削る競争は、良いサービスを生み出し、グローバル市場での競争力の源泉であったが、パイが減る中では同じパイの中での単なる消耗戦的要素が強くなっている。早くこのサイクルから脱しないと、皆沈没してしまう。

無駄な仕事の多さ

 これも、日本市場だけを見て仕事をすること、言うなれば既得権を守り内向きな思考が強まれば強まるほど、過去の成功体験ないしは慣習から抜け出ればくなる。これまではこうしていたからと、何ら意味のないような手続き、リスクを恐れるがあまりに、説得材料と納得するためだけに用いる無駄なくらい膨大な資料。ただでさえ人材不足が叫ばれているのに、生産性低下を脱する気配なく、コロナ禍でリモートワークが一般化しても、そもそも仕事の仕方が、職場に集まってすることを前提にすることの仕組みから変えていないので、単にやってる”風”の人にとってのおさぼりパラダイスを助長しただけ…すべてとは言わないが、ますます生産性は上がらない。

日本企業が生産性向上と競争力を持つには?

対処策①共創・協調・競争

 互いを消耗するような競争(価格のダンピング合戦、既得権を守るための参入障壁を同じ国内に向けて高くしたり等々)はやめて、協調領域と共創領域と競争領域の再編を官民一体となってやるべきだと思う。グローバル市場での競争に生き抜くためには、ライバル同士も手を取るところは手を取り合わなきゃ、双方ともに沈むしかなくなる。実際に、そうした動きは出ていると思うが、進みは遅い。

 なぜ、進みが遅いのかは、これまでの成功体験やビジネスモデルから脱却できない点もあるが、優位性を持つ既得権を守ることに執着して、市場の新陳代謝を生まないからではないかと思う。

 戦略的協調や共創をすることで、ライバルは国内ではなく海外と一致し方向性にしていくことが、日本全体で沈むことや追い込まれての日本企業内のライバル会社同士の統合やリストラといった悲惨な状況を回避できると思う。

対処策② 無駄な仕事の排除

 生産性向上を阻む、無駄な仕事(意味のないくらいの手続き、説得と納得させるためだけに用いる資料作成等々)をやめることも重要。この無駄な仕事の多くが、慣習や自身や組織の責任回避のための自己弁護材料を構築するためだけに用いられているといっても過言ではない。そんな悠長なこと言ってる暇はない。

 こうした仕事の排除は、トップが英断しないと動かいないというのも現実。これまでも「業務の棚卸し」とか掛け声はあったが、棚から降ろすも、再度戻す人や、別の場に収納するだけで、一向に効果を生まない現実もあっただろう。「業務の断捨離」といえば、別収納とかも回避できたかもしれません(笑)

 そうした意味では、経営者が最も気にかける市場からの評価に「生産性」に関する項目をフォーカスすることも大事かもしれない。生産性向上に向けて何をし、どんな投資をして、結果どうなっているか?
 そうした目が強くなれば、場当たり的な施策も排除し、無駄な仕事の排除に向けたイニシアティブが働くかもしれません。

対処策③ 評価

 長らくの終身雇用に伴う年功序列。もう既に終身雇用は幻想と化しているにも関わらず、年功序列は今も存在。責任ある立場やアウトプットの多寡に関わらず、年月とともにポジションや給与が上がるのは不合理な時代になっている。そうした意味では、評価の在り方も重要であり、ただただ長く勤続していて、生産性の低いやおさぼりな人の処遇の在り方をどうするか。

 確かに、アウトプットとしての売り上げや結果だけを見て判断するのもあるが、労働集約型産業などは、一人の成果とは言い切れない部分もあり、必ずしも適しているとは言えない。加えて、短時間労働含め働き方の多様化が当たり前の中では、投下時間による結果の差異も出てきてしまう。

 そこで、結果とともに過程系指標としての「挑戦した事項÷投下時間」を見てみるのも良いと考えている。いかに時間を有効に使ったのか、アウトプットにつなげる工夫をしてきたかも見て評価することは多様化する働き方と産業特性にも関係なくマッチするのではないか。

自分事として

 冷静に考えてください。人口減少は既に起きていて加速します。これは逆らえない現実です。そうなると、会社は人の確保に躍起になります。ということは、個人の立場が優位になるとも言えます。ましてや一芸のように秀でたスキルなりをもっていれば尚の事。

 でも、特定技能実習制度とか外国人労働者が増えるとなれば、必ずしもそうはいかなのではという意見もありそうです。一面的にはそうでしょう。でも、経済成長が鈍化している日本と成長著しい他国、例えばアジア各国、どちらに大勢は向かいますか?治安や物価が安い、何より日本が好きという方もいますが、海外に出ての労働の目的は収入です。ですので、現実的には日本より成長著しい国に向かうのではないでしょうか。

 むしろ、日本人が海外へ就労目的でどんどん出ていくことは、既に円安の流れで起きていますし、今後も続くのではないかと思います。

 決して、会社よりも優位な立場ということを振りかざしてはいけません。ただただ、イタイだけです。そうした構造の変化を理解し、自身の市場価値を高めて、自身の気持ちに正直になること、それが人口減少下における自身の対処法にもつながるのかなと思う今日この頃です。

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