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志×技能×高等教育=新しい職人学校創設プロジェクト

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大きな社会問題となっている建設業界の職人問題と、高等教育からドロップアウトする若者の増大の両方の課題を解決する新しい学校創設プロジェクトの歩みを書き溜めて行きます。
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#京阪神木造住宅協議会

2つの課題を解決する新しい職人養成学校の胎動① 〜出逢いこそが宝〜

2つの課題を解決する新しい職人養成学校の胎動① 〜出逢いこそが宝〜

私が代表を務める株式会社四方継はいわゆる大工工務店で、社員大工による施工ができる分しか工事を請け負いません。なので、若者の採用を積極的に行い、育成に努めてきました。現在も、3年生、6年生の若手大工が目覚ましい活躍をしてくれており、今後の成長が本当に楽しみです。翻って建築業界全体を見渡すと圧倒的な高齢化が進んでおり、あと10年もしないうちに深刻な職人不足になるのが目に見えて明らかな状況です。建築現場

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教えるとは希望を語ること。 学ぶとは誠実を胸に刻むこと

教えるとは希望を語ること。 学ぶとは誠実を胸に刻むこと

昨年に引き続き、今年度も私が副会長を務める京阪神木造住宅協議会主催の事業の一環で職人起業塾の受託事業として若手大工向けの育成研修を行っています。7月からスタートを切り、オリエンテーションや視察研修などを終えて、昨日からは実際に建物を作る実践研修に入っています。昨年からの継続事業ということで今年度のカリキュラムは大工見習い3年目までの若手にとっては少々難易度の高い内容にしましたが、悩み苦しみながらも

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大丈夫です!の怖さとリスク

大丈夫です!の怖さとリスク

私が大工見習いとして建築業界に飛び込んだ30年ほど前から、木造住宅の業界では効率化と省力化、工期短縮を目指す流れが一気に加速して、プレカットと呼ばれる大型機械による柱や梁などの構造物の加工が一気に普及しました。それまで大工が墨付けをして鋸や鑿を使って手刻みをしていたのがほとんど行われることがなくなり、工事期間の短縮と引き換えに大工の技術は随分wr失われました。現在では新築の木造住宅の97%はプレカ

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失敗は成功のもとなのか?

失敗は成功のもとなのか?

昨今、深刻化を増す職人不足問題解消への対処の一環で国からの予算を使って若手大工育成の研修事業を全国の工務店団体が主体となって行っています。その取り組みの一つで私が副会長を務めているJBN京阪神木造住宅協議会の主催でも研修事業を行なっています。今年はその2年目で、入職3年未満の若手大工達を集めて、昨年、研修で建てた小さな小屋をリメイクして構造を組み直し、材を刻み直して更に小さな小屋を作る実務研修を行

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大工の醍醐味 〜誇りと自信と志〜

大工の醍醐味 〜誇りと自信と志〜

大工上がりの経営者である私は、国土交通省の大工育成事業の若手大工向けの技術実習の研修講師を務めています。現在行っている2年計画の研修事業では昨年建てた2階建の小さな小屋を改築して小さな平家の建物にリノベーションする実務研修を行っています。就業3年以下の若手大工見習いを集めての研修は懇切丁寧に技術を伝える研修を行う講師が多いのですが、私は少し考え方が違っており、技術研修にもかかわらず、違う部分に焦点

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計画嫌いの計画ベタから脱却する方法

計画嫌いの計画ベタから脱却する方法

人や組織の螺旋的成長を促すにはPDCAではなくSECIモデルへのシフトが必要だと先日のnoteに書きました。それには人が持つ野生を目覚めさせる事が大事だと書かれた野中郁次郎先生の著書「野生の経営」を紹介しました。同じ文脈で職人の育成についてのケースを以下に書いてみます。

職人は計画嫌いの計画ベタこのノートに書いたように、人は基本的に縛られるのが嫌いで、自分自身を縛ることになる計画を立てるのが苦手

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ダメなものはダメと言える職人は宝 〜和の住まいシンポジウム②〜

ダメなものはダメと言える職人は宝 〜和の住まいシンポジウム②〜

昨日の記事では京阪神木造住宅協議会主催の全国リレー和の住まい推進シンポジュウムin兵庫での建築家堀部安嗣氏の基調講演の内容について書きました。和の住まい、暮らし方についての堀部氏独自の視点は大変刺激的かつ住宅事業に携わる者として深い学びがありました。パネルディスカッションでは会場に参加されていた方からの質疑の時間を少しだけ設けて、施工者の代表として塾生の永谷大工にマイクを渡しました。永谷大工からの

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根拠なき自信と認知なき実力 〜若手大工育成Pの意図〜

根拠なき自信と認知なき実力 〜若手大工育成Pの意図〜

国土交通省の協力を得て、半年間に渡って研修を行い実際の建物を建てるJBN(全国工務店協会)若手大工育成プロジェクト2022も終盤を迎えました。今回で「作る」工程は全て終わって、神戸市から借りていた土地を元通り、何もない廃墟の中の通路に戻す解体作業を残すのみ。終わりを迎えてみれば本当に半年って短い期間です。研修の終わりに際して、悩み、迷いながら自分たちで考え、刻み、組み立ててきた若手大工大工達にささ

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裸踊りがムーブメントに変わる瞬間 〜マイスター高等学院立ち上げの軌跡〜

裸踊りがムーブメントに変わる瞬間 〜マイスター高等学院立ち上げの軌跡〜

この4月に新しく開校する職人育成の高校、マイスター高等学院の生徒募集を2月から本格的にスタートさせました。ホームページもまだ公開できておらず、プレスリリースもかけていない状態ですが、早速各方面から多くの問い合わせをいただいており、驚くとともに、本当に嬉しく思っています。

若き匠によるワークショップ今日は早速、若手職人による未来の職人に向けてのワークショップの申し込みをいただきました。フリースクー

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マイスターへの道 分かったつもり、出来るだろうを排除する

マイスターへの道 分かったつもり、出来るだろうを排除する

今年度も国交相の若手大工不足問題への取り組み、若手大工育成塾の事業がスタートしました。昨年までに引き続き、私と関西の断熱気密設計施工のカリスマ、有限会社ダイシンビルド清水社長の同い年、中卒経営者コンビで半年間12回の実践研修の講師を務めます。今日はその第一回目の開講日で株式会社四方継の本社3階のセミナー室で講義、テラスでカレーランチ、そして作業場で伝統工法の四方蟻継の墨付けと刻みのWSを行いました

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