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「こどもインターン」で見える、異年齢遊びの豊かさ、保育の“仕事”のおもしろさ──写真で知ろう!小規模保育【遊び】

夏休みの校外体験として、2023年8月に試験的に行った「こどもインターン」企画。訪れた「こども先生」と1日を共にするなかで、園児たちは新たな姿をたくさん見せてくれました。系列9園でも同様の取り組みを行うなかで、保育という“仕事”のおもしろさを皆で確かめ合えたり、小中学生がいる家庭での新たなコミュニケーションになったりと、さまざまな可能性を感じています。

<おうち保育園えいふく町/東京都杉並区>

【8/3に参加したこども先生】小学生1名、中学生1名
【準備物】導入資料、スタンプラリー用紙、ネームシール、感謝状、記念品(キーホルダー)、振り返りシート

■ ねらいと配慮

「長い夏休みに、小学生のきょうだいに何か体験をさせてあげたい……」そんな保護者の声をきっかけに、認定NPO法人フローレンスでは現場スタッフと本部スタッフが一緒になり、園での体験企画を考えました。

今回意識したのは、“仕事”として子どもたちにきちんと依頼をすること。今の日本では、就職を前にするまで、職業について考える機会がほとんどありません。あえて保育士として“働く”経験をすることが、いずれ自分のキャリアを考えることにもつながっていくと捉え、「こども先生」による「インターン」と位置付けました。

仕事なので、予め導入資料の「今日の目標欄」に記入してもらったり、感謝状や記念品などの報酬を設けたりしています。一方で、こども先生にとって参加のハードルが高くならないように、仕事の一覧が目で見てわかる「スタンプラリー」を用意しておくなど、1日を楽しんでもらえる工夫も。

法人としても初の試みだったので、まずは「やってみたい!」と手を挙げてくれた内部スタッフの子どもから、インターンの受け入れを行いました。

■ 振り返り

園児たちの期待も膨らむなか、迎えた当日。こども先生自身も「楽しみにしていた」といいますが、玄関をくぐる瞬間はものすごい緊張が感じられました。

そこで挨拶の後は、落ち着くまで別室で対話の時間をとり、1日の流れを説明したり、約束ごとを確認したりします。まず何より楽しんでもらうことを意識しながら、「危ないと思うことがあったら周りの先生に言ってね」「頑張りすぎてしんどくなったら、ガマンしないでね」といった点も伝えるようにしました。

普段は1〜2歳児さんと触れあうことがない、という今回のこども先生。実際に保育に入っていくと、何人かの園児がさっそく近づいてきます。最初は戸惑う姿もありましたが、「先生、たぶん今抱っこしてほしいんだと思いますよ」などと声をかけると、緊張しながらも子どもを抱きあげ、うれしそうな表情を覗かせるようになりました。
園児たちも、大人とはまた違う存在としてこども先生を見ていたようです。いつもより距離がちょっと近かったり、保育士とは違う「子どもならでは」の大胆な遊び方に、憧れのまなざしを向けたりする姿がありました。

すっかり打ち解け合った後、お昼寝タイムへ。園児たちがどんな反応をするか、ドキドキしながら見守っていましたが、こども先生がトントンとすると、嬉しそうにしながらすぐ寝てしまう子どももいました。子ども同士だからこそ、何か通じるものがあることを改めて感じさせられました。

またお昼寝中には、おもちゃ拭きや掃除などの業務を体験し、「保育」の中にいろんな仕事があることを感じてくれたようでした。

すっかり園児とも仲良しになった2人のこども先生の、仕事を終えての第一声は「とにかくかわいかった」「楽しかった」。見えないところでの仕事もたくさんあった、と驚きも見せましたが、疲れを感じさせることなく「やりがいがあった」「もっと居たかった」と話す姿に、こちらも驚かされました。
この日のことは、帰ってからもうれしそうに家庭で話してくれたといいます。今回、スタッフの子どもであったため、普段は見ることのない親の仕事や職場について語り合う、貴重なコミュニケーションの機会にもなってくれました。

■ 「小規模保育」としての視点

園児も職員も少ない小規模保育園という場は、こども先生にとって「園の1日」を体験しやすい環境だったように思います。スタンプラリーにある“仕事”の一覧を全員の保育士が知っているので、「あ、今からこれがあるよ。やってみる?」などと声をかけやすく、調理スタッフに呼ばれ、給食の検食をする場面もありました。「こうやって保育園はできているんだ」と、全体像で捉えてもらいやすいと感じました。

異年齢の園児と、同時に関われることもメリットです。水遊び一つとっても、座りながら黙々と楽しむ1歳児さんと、お友だちとダイナミックな遊びに挑み始める2歳児さんの姿から、子どもの発達の違いを肌で感じてくれているように思いました。

保育士にとっても、さまざまな角度でこども先生が関わってくれることで、「保育」という仕事の良さや楽しさを再発見する機会になります。今後は当初の声にあったように、在園児の保護者を含め地域での展開を広げて、より園で働く奥深さを知ってもらえたらと考えています。

【園情報】
おうち保育園えいふく町(認定NPO法人フローレンス)
https://mirai.florence.or.jp/ouchi/eifuku/
東京都杉並区大宮2-1-4 1階
定員12名
小規模保育事業A型・管理者設置あり


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