Social InterestはSelf-efficacyを促すのか?:4 周囲の人たちを信じ、尊敬する力 (2)

尊敬する力のもたらす心理的Benefitは何か?

ここ4日毎日この事ばかり考え、仮説を立て論文を読んんでいるが、いっこうに答えが出ない。なので、ここに書きながら考えを整理してゆこうと思う。

まず始めに先生から生徒への尊敬が必要なことは、「幸せになる勇気」にも説明されているように、子供達が安心して自分自身に自信を持って学び行動するために必要なことは良くわかる。この尊敬は子供のSelf-efficacyを伸ばすであろう。

しかし、生徒に他者を尊敬することを促す必要はあるのだろうか?

子供間のSocial InterestもSelf-efficacyを伸ばすのではないかと俺は仮説を立てた。なぜなら、他者の関心に関心を持つことが友人間の絆を強くし、より深い学びを実現すると言う経験を俺は何度も人生の中で経験しているからだ。

よくある例えで言えば、恋愛相談だ。恋愛こそ、個人の最も深い関心ごとの一つである。そして、その恋愛について語り合うことで友人間の絆は深まってゆく。こういう絆の作り方を意図的に作られたhlabという空間に俺は高校生の時に参加したことがある。

6人1組ほどのグループごとに分けられ2週間を共にするこのセミナーで、ある夜グループ間で個人の人生で最も辛かった経験などをシェアする時間が設けられた。今、振り返ってみると想像に易いことだが、次の日のアクティビティーからのグループの中の絆というものはすごいもので、最終日には多くの高校生が感極まって号泣し、何年も経た今でも連絡を取り合うほどだ。

こういう経験から、Social Interestを持つ子供は周りから受け入れられていることを実感し、Self-efficacyを獲得し、チャレンジをして行けるのではないのかという仮説を立てた。

しかし、実験によってこの仮説を証明した論文は見つからなかった。最もこの仮説に近似した研究が学校のメンターとメンターをやってない人のSelf-efficacyとSocial Interestを測った実験だ。結果は以下の通り、この二つに相関関係は見られなかった。

Mentor volunteers scored significantly higher in social self-efficacy than their nonmentor peers, t (67) = 2.98, p < .006. The relationship between being mentored and becoming a mentor was examined using a chi-square analysis, and was found to be statistically significant, χ2 (1, N = 69) = 4.18, p = .041. Females demonstrated higher levels of social interest than males, t (67) = 2.78, p < .006.

この実験を読んである例外の存在に築いた。それは俺自身である。俺自身が他者への関心がとてつもなく低いにも関わらず、Self-efficacyは圧倒的に高いのだ。これに気づいた時は少し自分のことがおかしかったが、これにもこれでロジックがあることに気づいた。

簡潔にいうと、他者の関心ごとに関心を寄せるということは、その人間の価値観に自分自身が引かれる、ということなのだ。こうすると、個々人が持つ多種多様の価値観に自分の価値観が揺さぶられ、自分の価値観に対する自信は下がり、自然とSelf-efficyも下がってゆくため、他者の関心ごとに関心を持つことを自然と避けてきたのではないかと思う。

しかし、このロジックはグループ間では持ち込まれるべきではないと、今のところは思っている(現在はいつ考えが変わるかもわからない不安定なものである)。上にあげた実験ではメンター同士の個人間の違いについて調査をしたため結果が出なかったのであると思う。

多種多様な価値観を受け止めるコミュニティーの下地がなければ、お互いがお互いにSocial Interestを持ち、絆を深めあって行くことはできないからだ。つまり、これを実験によって証明するなら大きなグループ(例えば学校)ごとの平均のSocial InterestとSelf-efficacyの値を比べなければならない。しかし、そのような大規模な実験は俺が調べる限り見つからなかった。

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そして、今にいたる。

心理学の論文で仮説を立て繋げてゆけば、この世の中だいたいのことは答えが出ると思っていたのだが、当たり前ながら学問は万能なものではないようだ。

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生徒間で尊敬する力を養うことを促すことを求めるか?という疑問に対して今持っている答えはYesだ。Hlabのようなコミュニティーではある程度似通った価値観の人たちが集まっていたため、Social Interestを強制的に持たせることによって、絆の形成を成り立たせることができたが、長期における学校教育ではまず多様な価値観を受け入れることができる下地から作って行かなければ、他者の価値観に興味を持ったとしても、それを善悪でジャッジするようではSocial Interestはむしろマイナスに働くであろう。これは尊敬とは真反対のものである。

では、多様性を享受できる力はどうやって身につけて行けるのであろう。おっと、偶然か必然か次のテーマに入った。次はJINISのCore Skillにも掲げられている「違いを受け入れ、認める力」を見てゆこう。

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考えがひとまずまとまった気がする。とりあえず書くっていいことですね笑