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母の歌がきこえる


おふくろさんよ♪


「モツ焼きでホッピー飲みたいなぁ」


下宿先の近所にある、飲み屋で先輩、後輩とよく飲んだ。同じカウターには、近所のおじさん鶴さんが


「このあとスナックに行くか?」


と誘ってくれた。鶴さんにはお世話になった。
カウターだけで、10人も座れないぐらいの小さなスナック。


「ママ、焼酎のウーロン割3つ」


ママさんが鶴さんのボトルを出してウーロン割を作る。


「カンパイ」 


ゴクッといただく。


「一曲歌えよ」


「えっ、何歌うんすか?」


「森進一のおふくろさん」


おふくろさんよ おふくろさん


空を見上げりゃ 空にある


雨の降る日は 傘になり


お前もいつかは 世の中の


傘になれよと 教えてくれた


あなたの あなたの真実


忘れはしない♪


作詞 川内康範


鶴さんは、新潟県出身で集団就職で東京に出て、働いた。

もうずっと、新潟には帰っていない。


「いい歌だなぁ。そう思わないか」


いい感じに酔っ払って、そう呟いた。


「そうっすね」


学生の頃はわからなかったが、いまは、
この歌詞がしみる。


日本を代表する母の歌がきこえる。






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