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ブランド名で大学を選択することの是非

日本には非常に多くの大学が存在します。

2023年現在において、その数は800弱を数えるほどになっているようです。

その中には有名大学と呼ばれる大学が存在し、東京大学や慶應義塾大学など誰もが知っている大学もその中の一つです。

大学名というブランド

大学名にはある種のブランド的な価値が存在するものがあります。

先述の東京大学をはじめとした「旧帝国大学」(明治期に作られた旧制大学)はその筆頭でしょうし、慶應義塾大学や早稲田大学は「早慶」ブランドとして有名です。

同様に「国公立大学」や「MARCH」(明治、青山学院、立教、中央、法政大学の頭文字を組み合わせた東京の難関私立大学の括り)などもブランドと言えます。

こうしたブランドとなっている大学に対して、学生たちはこぞって出願をする傾向があります。

その人気によって優秀な学生が集まりやすく、その結果高い就職実績を誇っています。

しかし、そうしたブランドが実際の大学の価値や研究実績を反映しているとは限らないのも事実です。

研究実績とブランドの乖離

首都圏の高校生を中心に非常に人気のある大学の一つに明治大学があります。

受験者数ランキングでも毎年上位に入り、入学難度も高い大学です。

河合塾の偏差値ランク表では政治経済学部は偏差値で60.0、理工学部は57.5となっています。

しかし、この明治大学の「THE 世界大学ランキング 日本版」でのランクは41位です。特に教育リソースの項目が低いようです。

一方で、九州の国立大学である長崎大学を見てみます。

長崎大学の偏差値は経済学部で50.0、工学部に至っては45.0と明治大学と比較すると低い印象です(国立と私立を同じ数値では比較しにくいのですが、それでも2ランクほど難度に差があるといって差し支えないでしょう)

しかし、「THE 世界大学ランキング 日本版」でのランクを見た場合、長崎大学は30位となっています。

また、科研費についても同様に大きく差があるようです。
(もちろん医学部の有無は大きいとはいえその差は歴然としています)

就職予備校としての難関私大の価値は高い

ここから言えることは、研究力や大学での学びそのものに関して言えば明らかに地方であっても国立大学に分があると言えるということです。

一方で、就職予備校としての企業の学歴フィルターや、司法試験や公認会計士などの難関資格試験を受験する上では圧倒的に都心のブランド私立大学が有利と言えます。

また、理系に関しては大学院まで進学して研究を考えるのであれば、国立の方が格段に環境が整っているでしょう。

結局のところ、大学に何を求めるかという点をしっかりと考えて進学先を選択する必要があると言えます。

明確な進路目標を持つ重要性

都会のブランド私立大学に行くという選択は決して悪いことではありません。

むしろ上昇志向が強かったり、文系就職しか考えない生徒の場合はベストな選択とも成り得るでしょう。

上場企業やベンチャーに就職を希望していたり、起業を視野に入れて進学をする場合はなおさらです。

しかし、理系進学者などの場合も表面上のブランドや入学偏差値で大学を選ぶケースがあるようです。

そうした生徒に対し、実際に合格が確定した段階でアドバイスをしてもあまり意味はありません。

重要なのは継続的な進路指導と進路目標を本人の希望や資質に時間をかけてマッチングしていくことでしょう。

大学の価値や意義は複合的な要素でしか評価をすることは難しいのが実際のところです。

しかし、偏差値や就職実績という分かりやすいランキング指標によって一次元的な評価に落とし込まれてしまい、マッチングを無視した進学をするケースも少なくありません。

担任や進路指導担当者の仕事はそうしたブランドや偏差値とは異なる価値観を提供し、マッチングが適正に行われる手助けをすることではないかと思うのです。

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