話せるエンジニアになりたい
とある会社のCTOから「話せるエンジニアですね」と言われ、とても嬉しかったのでそのことを記しておきます。
話のわかるエンジニアですねという文脈ではなく、対話やうまく説明のできる、という文意での「話せるエンジニア」というように言われました。本人としては、どの程度の気持ちでいったかまではわかりませんが、私自身としては最上の褒め言葉です。
わたしの目指すエンジニア像は、エヴァンジェリストにずいぶんと近い立場です。ただ、特定固有のサービスを伝導することを目的としているのではなく、さまざまな技術を多くの人たちに伝えていくことです。ITの技術は千差万別な科学によりなりたっています。電気・電子に明るくない小さな子どもたちをはじめとする多くの人々にとって、ITはとても難しいものです。これらを正しく、容易に、立場に合わせて説明・紹介のできるエンジニアになりたいと日々考えています。
ITを使わずに生きていくには、ずいぶんと難しい時代になってきました。今の子どもたちはデジタルネイティブと呼ばれ、ITを駆使することに長けてきています。しかし、抽象概念化したITは魔法に近く、それらが何故動作しているかを理解することが難しくなってきました。Node.jsやRubyをカンタンに学んで、ちょっとコピペをすればWebサービスを公開できてしまいます。aPaaSやPaaSであれば、インフラのレイヤーを一切気にすることがありません。端末もブラウザも簡単に手に入ります。Internetにつながっていない端末を探すほうが大変です。
ITを使う側にとっては、容易に使えるようになること自体がとても望ましいものです。しかし、それを利用して提供する側になる場合、その理屈を知っている場合と知らない場合とでは、ずいぶんと結果が変わってきます。ネットワークやコンピュータで、今実現できることは何か。プログラムがどのように動いているか。あまに何も考えずに、プログラムをちょっとコピペすれば動いてしまうような世界です。嬉しい反面、ちょっと危険だなとも感じています。
ITに限らず、仕組みを理解せずに動作させることにはリスクが伴います。未だクラウドへ移行せず、オンプレを信じている人たちも多くいます。彼らはクラウドの仕組みを理解できていないために、不安を持っている、エンジニアとしては一部正しい防衛反応です。ただ「わからないから不安」で止まっている場合ではありません。どのように実現されているかを理解して、自分が今どのみちを進むべきかを、正しく判断できるのがエンジニアとしてあるべきです。
エンジニアに限らず、今の世の中、学び続けて成長することが期待されています。少しでも、学習するための道のりの役に立てるよう、わたしは話のできるエンジニアになりたいと考えています。わたしが日々学び、研鑽するのは自分のためだけではなく、自社のためでもあり、その外にもいるエンジニアのためでありたいと考えているからです。
だから「話せるエンジニア」と言われることが、わたしにとって一番栄誉あることだったのです。
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