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読書ログ 『「人の期待」に縛られないレッスン』

どんな本?

 期待されることはいいことである。他人が自分にむけてくれる期待は、往々にして努力するモチベーションを与えてくれる。一方で、「人の期待が重くプレッシャーを感じる」、「これをしないと相手の期待に反してしまうから、辛いけどやらなければ」など、こうした期待は時に自分を追い詰めたり、マイナスの気持ちにさせたりもする。
 本書では、臨床心理士の著者がこうしたプレッシャーに対する対処法や、そもそも人はなぜ期待に対してマイナスの気持ちを持ってしまうのかという疑問を心理学観点から解き明かしていく。

学びメモ

なんでマイナスの感情が生まれるのか?

出来事と感情の間には、
出来事・状況 → 認知 → 感情
という具合に「認知」が存在する。つまり、自分の認知がマイナスの感情を生み出している。

→ということは、認知のクセをわかってあげることで、マイナスの感情をコントロールできる。

認知の仕組みは?認知のクセとは?

  • 私たちの認知は、大まかには「スキーマ」と「自動思考」から構成される

  • スキーマは、自分が持っている強い思い込みのこと。例えば「私は〜だ」「他人は〜だ」「世の中は〜だ」など

  • 自動思考は、スキーマが引き起こす咄嗟の思考のこと

  • スキーマは、スキーマを裏付ける情報ばかり取ってしまう特徴があるので、認知はスキーマによって歪められやすい

  • 例えば、「自分は人に迷惑をかけてしまうんだ」というスキーマがある人は、「自分の列の後ろの人は”早くしろ”と思っているに違いない」と自動思考してしまい、必要以上に焦ってしまう

→こうしたスキーマが、「人の期待を極端に解釈」し、マイナスの感情を生む

認知のクセに負けないためにまずはどうすればいい?

私たちが「人の期待」だと思っているものは、自分が作り出している、スキーマが見せている幻かもしれない、ということに気づくのが、「人の期待に縛られる」という状態から抜け出す第一歩になります。

本文22ページ

つまり、メタ認知をしてスキーマの幻を自覚するのが第一歩。
その中でも、深くにあるスキーマよりも、そこから生まれる「自動思考のクセ」を修正するのが早い!

典型的な思考のクセは?どう乗り越えたらいい?

主に以下のとおり。これらを生み出すのは、大きく4つに大別されるスキーマの仕業である。

そもそもそうした思考を生み出すスキーマにはどんなものがあるの?

主に以下のとおり。Vodkaは完璧主義スキーマ、能力に自信がないスキーマが特に当てはまり、だからこそ「すべき思考」「自己の過小評価」に陥りやすい。また、愛されて育った反動で、「愛されてない」と感じる瞬間に急激に疎外感を感じ不安になる。これは「愛されないスキーマ」の一種だと思われる

スキーマに気づき、対処を始めるには?

自覚すること。自覚した上で、「今こうやって相手の期待に対して重い気持ちになっているのは、あのスキーマを持っているからだ」と、自分から少し距離をとって眺めること。つまり「俯瞰」

その上で、どうすれば克服できる?

  • ①まず、スキーマそのものを検証する。「どんな経験からそのスキーマが生まれた?」「どんな時にそれが強化された?」と振り返る。その時はスキーマが役に立っていたかもしれない(だから強化された)

  • ②次に、今そのスキーマによって生きづらくなっていることを自覚する

  • ③そして、手放すための自問をする。
    「そのスキーマによって幸せだった?」
    「そのスキーマによって、これから幸せになれる?」
    「そのスキーマに従うか否かの選択権は誰にある?」

  • ④その上で「行動実験」をする

行動実験とは?

  • あえてスキーマにそぐわない行動を取る実験のこと。

  • スキーマを捨てるには、スキーマに反する行動をとってその思い込みが事実かどうか確かめる”しかない”
    →スキーマに反する行動を取るのは不安だが、行動して大丈夫だったという経験を重ねるしかない

行動実験をする勇気がない場合はどうすればいい?

「観察法」を使う。観察法とは、自分とは逆のタイプで、自分が克服したいスキーマを持たない身近な人の行動を観察することで、「スキーマに反する行動をとっても受け入れられるんだ」と気づく方法

スキーマも思考のクセもわかった。その上で他人の目を気にしちゃうのはどうしたらいい?

理由①:自分と相手の境界線を引けていない

  • 人の期待に縛られやすい人は、自分と相手との境界線が曖昧であることが少なくない

  • 問題を「自分の問題」「相手の問題」「二人の問題」に分けるとうまくいく

  • これができないと、自分に変えられない相手の思考の特徴まで、自分で背負い込んでしまうことになり危ない

  • これに必要なのが「俯瞰」。俯瞰して自分を客観的に見つめることで、どこまでが自分の感情で、どれが相手の感情かの区別がつきやすくなる

理由②:自尊感情が低い

  • 自尊感情とは「ありのままの自分を大切だと思える感情」のこと

  • そのために、何が自尊感情を高め、何が低下させているかに気づく

  • 1日の行動を振り返り、何がどのくらい影響したか、なぜかを振り返るのが大事

  • 特に「自分をコントロールできていること」は自尊感情にとって重要。お金、食事、勉強など、自制できず理想状態から離れてしまうと自尊心が失われやすい

自尊感情のベースとなる自分らしさを取り戻すには?

  • 「好き」を大切にしよう!自分を幸せにする物事を後回しにしない。「今は仕事が忙しいから」「社会人として半人前なのだからこんなことしてる暇はない」と後回しにすると。心はエネルギーを失ってしまう

  • そのために、自分の「好き」を理解しよう

  • 最後に、「自分が自分の味方でいる」こと。「このくらいでいいや」とハードルを低くして生きよう。人間らしい自分を許して、そこにいさせてあげる。

感想・Next Action

 これまで読んできた機嫌本、EQ本、明るい本、メンタル脳、運がいい人など、多くのメンタル本から学んだこととのつながりが非常に深まったと感じる。

 一番大事なのはメタ認知・俯瞰であることは間違いない。まずは自分の心がマイナスに動いていることを、自分から少し離れて認識すること。認識するだけでも大きな一歩。

 その上で、「なんでそうなってるんだろう?」「その不安感じなくても良くない?」などと自問自答する。自問自答することで客観視は深まり、感情に流されない合理的な判断を取りやすくなる。

 そして、めざしたい方向に自分を持っていく。そのために必要なのが、自分を幸せにする物差しの理解。ゴールが幸せである以上、「何があれば幸せなのか」「何が得られなくても幸せなのか」を理解しておくことで、幸せに向けた最短ルートを歩むことができる。

 最後に、自尊感情の維持。上記のサイクルをスムーズに回す原動力になるのがこれ。「自分をコントロールできる感覚を持てるような生活を送る」「自分に自信を持つためにルーティンワークをこなす」「モチベの三大要素であるつながり・効力感・自律性を持てる活動を最低限する」など。これができないと感情のぶれが大きくなって、適切なメタ認知や自問自答を阻害してしまう。

 本書はこれらのサイクルを総合的に説明してくれているが、他の本との違いは特に「認知」の部分の引き出しを広げてくれたことにある。つまり、毎度おこる定番の不安や不機嫌に対し、それを生み出す真因としての「スキーマ」「思考の癖」の存在および対処法を知れたので、これからはより、自分の人間らしさと前向きに向き合っていけることだろう。

Next Stepは、現在やっていることの継続に近いと思う。

  • 今やっている毎日のルーティン、感情のブレと対処の振り返りを続ける

  • 振り返り時に、スキーマの存在を意識する。よく出るスキーマについては、手放す行動実験や観察法を試してみる

  • 特に出やすい「すべき思考」「過小評価思考」「完璧主義・能力に自信がないスキーマ」は唱えるように意識し、出てきた時にすぐ「すべき思考でてる!」などと気付けるまでにする

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