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2023/2/27週|マトリクス組織で発生する課題への対処方針

今週はマトリクス組織について調べてみたことの備忘録です。
マッキンゼーの記事やハーバードビジネスレビューに記載の記事から、一般的に言われるメリットと課題、そこに対して深掘り考察など学びがあったので書き起こしておきたいと思います。

参考文献
Revisiting the matrix organization
Managing Effectively in a Matrix
Making Matrix Organizations Actually Work

まず、マトリクス組織とは、職能、事業、製品、顧客、地域など、単一としても成立する組織構造をミックスし、指揮命令系統を多次元的に持つ組織の形を指します。

状況に応じて動きを変えることで複数の目的を叶えることに近づけると言われますが、下記のように課題が発生することもわかっています。

一般的なマトリクス組織の課題


役割分担の明確化さが不足する(上司が2人いる)

ある社員がファンクショナルマネージャー(縦)とプロジェクトマネージャー(横)の両方に報告し、優先順位が衝突した場合、その社員はどうすればいいのか?育成責任をどちらが持つのか?などマネジメントをする側、される側の間にボールが落ちる可能性が高まります。

上司2人の対立と、優先順位の不一致が業績に与える影響

複数のマネジャーが関わる場合、コンフリクトが発生する可能性があります。セールスマネジャー(縦)が次の四半期の売上拡大の目標を設定しても、プロジェクトマネジャー(横)がチームに対して異なる優先順位を設定する可能性がある。その結果、ミーティングや話し合いで対立が解消されても、最終的な決定が下されるまで、チームは宙ぶらりんになってしまう可能性があり非効率が発生する。

従業員(メンバー)のパフォーマンスを測定するのはもっと難しい

マトリクス組織では、チームメンバーが複数のマネジャーに報告し、複数の役割を果たす可能性があるため、プロジェクトに対する従業員の貢献度を測ることが難しい場合があります。結果として、モチベーションの低下や自己啓発の不足につながる可能性があります。

マトリクス組織に対してのマッキンゼーやHBRの考察


過去のスタディから発生する主な事象

  • 横と縦から情報が集まるので、判断が遅くなる(スピードが遅くなる)

  • マトリクスに所属する社員は、マトリクスに所属しない社員に比べて、「自分に何が求められているのかが明確でない」と感じていることが調査などで示されている

  • 縦の上司と横の上司の対立

  • マネージャーに求められる要件がヒエラルキー型の組織と異なるので、対応ができない

対策

  1. 誰が役割期待を設定するのかのオーナーシップを明確にしつつ、各社員の役割を明確にすること

    • 組織の健全性、ひいてはパフォーマンスにとって、各社員の役割の明確化と説明責任が重要であることを考えると、マトリクス企業に蔓延する役割の曖昧さに対処することは、そのリーダーにとって重要な優先事項

      • リーダーは、ビジネスの方向性に沿った明確な期待を継続的に設定することで従業員を支援しなければなりません。

      • この明確さは、会社の目標を達成するために各人が果たす具体的な役割について、マネージャーと直属の部下との間で頻繁に話し合うことにつながっていくはずです。

  2. 日常的なコミュニケーションラインを整備し、都度すり合わせる癖をつける

    • 曖昧さを払拭し、全員が同じ方向を向いていることを確認するために、日常的なコミュニケーションラインを維持することが必要不可欠です。これは、組織レベルでも、チームレベルでも同じです。管理職は年に一度の人事考課で重要な話をするのではなく、社員が定期的に自分の進歩について実用的なフィードバックを受けることでエンゲージメントを高めることができる(ギャラップ社の調査より)

    • マネジャーは、すべての従業員が自分の責任と担当する職務を理解していることを確認する必要があります。

    • マトリクス組織では、仕事の要求が変化するたびに、定期的な話し合いで期待値を明確にすることが重要。

  3. 本質的な対立を排除するために、縦と横の組み合わせを吟味する

    • ヨアヒム・ウォルフとウィリアム・G・エゲルホフの研究によると、マトリクス構造における組織内対立の可能性は、関係するグループによって異なることが分かっています。 例えば、地域と機能を組み合わせとするマトリクスは、地域と製品の組み合わせとするマトリクスよりも対立のレベルが低くなる傾向がある。

    • その理由は簡単で、地域と機能は、地域と製品に比べ、より補完的な役割と目的を持っているからである。地域と製品の両方がPLの責任を持ち、パフォーマンスを最適化するために同じ要素(人材、顧客関係、価格水準など)を管理することが期待されている場合、マトリクスにはコンフリクトが発生する

    • したがって、マトリクスの2つの次元の役割と責任を定義するとき、それらが競争するのではなく、協力する本質的な理由があることを確認する。

  4. 縦と横のマネージャーに必要な行動特性(コンピテンシー)を定義し、育てる仕組みを導入していく

    • ハーバードビジネスレビューの記事によるとリーダーが成果を上げることができたシナリオと、そうでなかったシナリオを比較した結果、マトリクス型の役割で成功したリーダーは、一貫して次の4つのコンピテンシーを使用していることが分かりました。

      • すなわち、共感力、対立管理(コンフリクトマネジメント能力)、影響力、自己認識力

        • 共感力:リーダーが相手の視点や顧客の考え方をよりよく理解する力

        • コンフリクトマネジメント能力・影響力:リーダーが共通の目的に対してコンセンサスを形成し、マトリクスが必要とする協調的なソリューションを提供するのを実現する力

        • 自己認識:リーダーは複雑なマトリクスに対応するための忍耐力

    • 育む仕組み

      • 企業レベルの研修プログラム:

        • 例:若手リーダーを対象に、トップレベルのエグゼクティブをシャドーイングする機会を設ける。たとえCEOのブリーフケースを持つ機会しかなかったとしても、全社から選ばれたビジネスリーダーに接することで、全社的な視点を身につけることができるのです。

      • ローテーション配属:

        • 例. 高い潜在能力を持つ新星には、社内のさまざまな機能領域で働く機会を与えましょう。単一の機能または事業部門に留まってキャリアを過ごすリーダーは、偏狭な視点を持ち、マトリクスのニーズや課題とは相容れない。

📓この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、自分も週次更新をしています。
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