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2022/5/2週|中道であること、柔軟性をもって見直していくこと

マーケティングの仕事に10年以上携わっていると、経験により役に立てることがあると感じられる反面、同じ方法・考え方の提案が増えていることにふと気づくことがあります。知らず知らずのうちに自分の中に積み上がっている「 あ た り ま え 」。

慣れや経験により反射的に答えが出るようになると、そもそもは考えなくなるような性質が僕ら人間にはあるようです。
そりゃそうだ、毎度毎度深く考えていたらスピード的にもエネルギー的にももたないですものね。数学の公式を覚えて使えるようになったら計算のスピードは上がりますが、公式の証明方法を確認するところからやっているかというとそんなことはないのと一緒です。


『THINK AGAIN』アダム・グラント は、ある意味「思い込みモード」から自分を解放する方法について述べている本です。

本書は4つのパートで構成されています。

  1. 自分の考えを再考する方法

  2. 相手に再考を促す方法

  3. 学び、再考し続ける社会・組織を創造する方法

  4. 結論

以下では本書で印象的だった箇所をいくつか引用も交えてピックアップします。

ダニング-クルーガー効果

人は能力が欠如している時、自信過剰になる傾向がある。(中略)それがフットボールであれば、フットボールに関する知識が欠けているファンこそ、アームチェア・クォーターバックである可能性が高い。そう、自宅のアームチェアにどっかり座り、ゲームの流れや監督にやり方に難くせをつけ、もっとよい作戦をもっともらしく講釈する人のことだ。

アームチェア・クォーターバック症候群で厄介なのは、この思考回路に陥っている人は再考しようとしないことだ。

人が自信過剰になりやすいのは、ど素人からワンステップ進み、アマチュアになった時だ。

ダニング-クルーガー効果について読んでいると、物事に対する自分の態度について、もう少し敏感になった方が良いな、と思わされます。
自信と謙虚さのよいバランスでいることが、自分自身に再考を促し、新しい観点から見つめ直す時の質をもあげてくれますし、なによりアームチェア・クォーターバック、ちょっとかっこわるいです。笑

ジェフ・ベゾスが言う「正しい判断ができる人」の条件

「多くの正しい判断ができる人は、よく耳を傾け、よく自分の考えを変える人だ」
「自分の考えを頻繁に改めなければ、間違うことも多くなる」

このベゾスさんの言葉は非常にこの本の主張を捉えていてわかりやすいです。
後書きに出てくる以下の「大統領の偉大さは何で決まるのか?」というエピソードにも共通したものを感じました。

大統領の偉大さを説明する変数は一つの人格特性だけだったという。それは野心や説得力、魅力、ユーモア、落ち着き、知性、親しみやすさ、策略性のいずれでもなかった。「知的好奇心と寛容さ」こそが大統領の偉大さを一貫して説明していた。偉大な大統領は、国内外の政策の他にも広範な分野に関する書物を読み、知識を深めることに熱心だった。新しいアイディアに喜んで耳を傾け、古い見解を改めようとした。

予測確率を上げる際に最も重要な要素は「見解を頻繁に改めること」と言います。好奇心を忘れず、新しい有力な情報を探し出しては、それに基づいて予測を改めることが肝要、と。

トンネル・ビジョン

誰でも幼い頃から、未来図を思い描く。将来どこに住むのか。どの学校に行くのか(中略)こうした生き生きとした想像が、私たちに大胆な目標を設定しようと思わせ、目標を達成するまでの道のりを照らしてくれるのだ。
その一方で、目標をいったん決めてしまうと、視野が狭まり、他の可能性が目に入らなくなると言う「トンネル・ビジョン」に陥るリスクがある。
将来何を望むか、どんな人物になりたいかは時と共に、そして状況によって変わっていくものだ。人生のGPSを一つのルートで設定してしまうと、方角は正しくても間違った目的地にたどり着くこともある.

職場でも人生でも、今後一〜二年で何を学びたいのか、何に貢献したいのかを考えること、そして次の可能性のために心を開いておくことが、私たちにできる最良の取り組みだろう。

本書の最後の結論で、アダム・グラントは上記のような目標を決めてコースを外れないことのリスクと、そこに対する対処法を書いています。
「立場固定」に固執しないように、と。

本書でも少し触れられますが、この辺の話はいわゆるGRIT(やり抜く力)と反対の考えにもなりうるわけで、世の中複雑です。笑

自分としては、中道であること、柔軟性をもって見直していくこと、がキーになりそうだなと感じました。

冒頭のような日々の仕事においても過信しすぎず、人生について考える際にも、目標はありつつ、でも常に見直すことにオープン・前向きである。
そんな態度で向き合えたら再考ですよね。(「ジョブ・クラフティング」というらしい)

この記事について

株式会社タイミーで執行役員CMOを務めている中川が、マーケティング関連の仕事をしている中で感じたことを綴り、コツコツと学びを積み重ねる『CMO ESSAY』というマガジンの記事の一つです。お時間あるときにご覧いただければ幸いです。オードリーのオールナイトニッポン 📻 で毎週フリートークしているのをリスペクトしている節があり、、自分も週次更新をしています。

タイミーは、すぐに働けてすぐにお金がもらえるスキマバイトアプリです。


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