ツナ缶の生産シェア97%!!「缶詰王国静岡」の秘密に迫る!
静岡のオープンファクトリー「ファクハク」実際に皆様に工場を見学してもらう前に、ぜひ知ってもらいたいことがあります!なぜこの静岡の地で様々な産業が発展しているのか、考えたことはありますか?今回も、執筆担当である「伊豆川飼料株式会社」に関係のある水産業、その中でも「ツナ缶」の製造について迫ります!!
静岡県の生産シェア97%
この記事を読んでくださっている静岡好きの方はもちろんご存知かと思いますが、静岡県のツナ缶(マグロ)の生産シェアは、2021年の調査ではなんと97%なんです!
ちなみに、カツオを原料とした缶詰も「ツナ缶」の仲間になるのですが、カツオのツナ缶の生産シェアは驚異の100%・・・恐るべし、缶詰王国静岡!!!
では、いつから缶詰の生産が始まり、なぜここまで盛んになったのか歴史を紐解いていきたいと思います。(資料ばかりなので文字多めです・・・すいません・・・)
国内第1号のツナ缶
ツナ缶、正式な名前で言うと「マグロ油漬け缶詰」は、1903年にアメリカ合衆国のアルバート・P・ハーフヒルによって発明されました。そして1914年アメリカにChicken of the seaというマグロの油漬け缶詰会社が誕生しました。
日本では1929年に静岡県の水産試験場の村上芳雄が焼津水産学校(現在の静岡県立焼津水産高等学校)で開発した製品が、国内の最初のツナ缶の成功例です。そして同じ1929年に最初に商品化してアメリカへ輸出したのは清水食品でした。
当時は清水港にビンチョウマグロが多く水揚げされ、その有効な利用方法としてツナ缶に注目が集まりました。昭和恐慌真っ只中で失業者も多かったという清水の町の景気対策として、国内への販売でなくアメリカへの輸出をターゲットとして始まった事業だったのです。ちなみに清水ではマグロの獲れない時期にみかんが取れたため、夏はツナ缶、冬はミカン缶の製造を効率よくできたということも発展のきっかけにもなったようです。
清水食品(現在はSSKやモンマルシェなどのブランドで販売)に続いて製造をリードしたのが後藤缶詰所(現在のはごろもフーズ)、清水水産の「清水御三家」と呼ばれる3社でした。1933年以降には静岡県内には次々と缶詰メーカーが設立されますが、1942年に戦時統制による静岡県下の約60社の缶詰工場が合併され静岡県缶詰(株)が発足することになります。輸出が中心だったツナ缶は戦時中は主に軍需品としての産業に転換していたのでした。
戦後のツナ缶
終戦後、各社が再び缶詰の製造をそれぞれ開始、1948年に静岡県缶詰(株)は解散し、群雄割拠のツナ缶戦国時代が始まるのです。戦前は輸出をメインターゲットとしていたツナ缶は戦後の成長期は内需をターゲットにする会社も多く、各社がブランド化を図ります。こうして1958年に生まれたのが、今日本で一番有名なツナ缶「シーチキン」なのです。(※シーチキンははごろもフーズ社の登録商標ですが、世界的有名なツナ缶「チキンオブザシー」に名前が似ているという点は国内において問題ないとの結論が当時当局により出たそうです。)
ツナ缶の国内生産量は、1950年の約2万トンから、1960年には約6万トン、1980年代には最大約13万トンにまで一気に増加しました。スゴイ時代があったものです。
現在のツナ缶業界の情勢
数十社あった静岡缶詰協会の正会員は2023年現在では17社になり、実際にツナ缶の製造を行う業者は8社となっています。国内で流通するツナ缶の内、輸入のツナ缶の割合が半分以上を占めるなど厳しい状況にあります。世界的な人口の増加による魚価の高騰、缶などの資材代の高騰、マグロの解体を行う職人のなり手不足、深刻な問題がたくさんあります。
しかし、戦前から続く静岡ならではのこの産業を、再び静岡の元気の源となるようにすべく、ツナ缶の業界をどんどん盛り上げていきたいと思います。知れば知るほど応援したくなりますし、きっとファクハクでツナ缶の工場も見学できる時が来るはず。みんなでツナ缶産業を守っていきましょう!!
最後に
(余談)ちなみに伊豆川飼料の創業のきっかけになったのは、親族の経営していた缶詰工場の残渣を回収し始めたことですが、その缶詰工場は平和食品という名前で1943年ころ創業したと言われています。平和食品は今は形を変え「お弁当どんどん」として静岡県の皆様に愛されています。
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今回の記事は、伊豆川飼料の伊豆川が担当しました!次回は静岡が誇るクリエイター小林さんの予定です!次回もお楽しみに!!