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大阪・ニュー清滝温泉さん

銭湯の浴室・脱衣所は撮影禁止。おおきな湯船や湯けむりの画像も撮れません。銭湯の記事は、たんなる設備の紹介だけになりがち。


わたしは、毎回なにかしらのエピソードをさがします。それを書くのが楽しいのです。



ニュー清滝きよたき温泉さん

銭湯のシンボルの煙突は見あたらない。あるのは「ゆ」の赤いネオン。ビル型で、大きく広そうな銭湯だとは思っていました。


最近は、銭湯もSNS発信をするようになった。ニュー清滝温泉さんは……してないようだ。いつも、あまり情報がない。
地元の常連さんで賑わい、愛されている銭湯は、これ以上の集客のためのSNSは不要かもしれませんね。

ある日、図書館で約15年前に発行していた大阪の地元雑誌を見つけました。
懐かしい。手に取ると銭湯の記事がある。ニュー清滝温泉さんだ。


雑誌の記事と現在は、変わっているのかいないのか。よし、行ってみようと思いました。

ニュー清滝温泉さん
大阪市生野区勝山北5-4-18
火曜日定休
土・日は朝6:00~25:00
水~金は14:00~25:00


もより駅は……(駅はないのです)
●大阪シティバス・いまざとライナー・大池橋おおいけばし停留所…徒歩約5分

大阪市生野区のメインストリート今里筋いまざとすじ。ばすの大池橋おおいけばし停留所は真ん中あたり。
すこし西に平野川と一条通商店街。けっこう賑やかなところに、ニュー清滝温泉さんはあります。

今里筋


オール電化の銭湯

ガス・重油・薪《まき》わかし……銭湯の湯わかしエネルギーは、さまざま。
雑誌によると、ニュー清滝温泉さんは電気でお湯をわかしています。

電気のお湯だから、滑らかで湯ざめ知らず!
うちの売り文句です。
1986年(昭和61)に売りに出ていた生野区の銭湯を買って新築したんです。
珍しかったヒートポンプを入れたのは、工務店の勧めに乗ったから。
「今は高いけれど、いずれ重油が値上がりする。そうしたら有利です」、と。やっと今、重油より電気の方が有利になった。
 創業当時、電気代は高かった。なんと月100万。

「大阪人」2008年8月号より
引用いたしました


この銭湯は、1986年の売り物件だったとは。スーパー銭湯が流行り、まちの銭湯が減ってきたころですね。
それで屋号が、ニュー清滝温泉さんなのですね。


地味で過酷な銭湯の仕事。石川県出身のご夫婦で切り盛り。
大阪の銭湯と豆腐店は石川県出身の経営者が多いそうだ。
15年前の雑誌の記事、ご夫婦は、高齢になっているでしょうね。




サウナは水かけ禁止

たくさんの常連さんがつどう。
自営業の多い生野区民の楽しみは銭湯。家にお風呂があっても銭湯へ。

浴室の奥に、電気サウナがあります。
どこの銭湯でも、サウナ室に水をまいたりしてはいけません。どうして水をまくのでしょうか。修理しないといけないので迷惑行為です。


サウナ室と浴室の境界の仕切り、丸みのある窓がオシャレ。陶器のような丈夫そうな壁が独特です。ちょっと新しい銭湯のデザインです。

「大阪人」2008年8月号より


床の白いタイルもレンガのような大きめサイズ。滑り止めでしょうか、おおきなテラコッタ板と石のようなタイルを散らしています。
浴室も銭湯により、味わいが違います。


ラドン風呂・露天風呂

ラドン浴室・露天風呂はガラスの扉の中の個室です。ぬるめのお湯でゆっくり休憩。これはリラックスできます。


水風呂は冷水風呂と書いてます。
キラキラとした冷水が、上から滝のように流れるさまは、まさに清滝。
電気で14℃に保っているそうです。かなり冷たい。夏は、とても気持ちいいです。

短い丈の暖簾
常連さんに高齢者が多いのがわかる
暖簾が長いと
身体や手押し車に引っかかるため危険


備長炭できれいなお湯

主浴槽やほかの湯船にも備長炭が束になって沈んでいます。ホントにキレイで清んだお湯です。


薬湯風呂は、ふたりサイズのちいさめ。色がついた市販の入浴剤ではなく、ハーブ(薬草)が網目の袋に入っています。
電気の滑らかなお湯にハーブがとけだして天然の茶色い色。
温度もぬるめ。じっくりと入りたい。なのに、常に誰かが入ってて満員です。

こんなに、キレイなお湯でバラエティーに富む銭湯だったとは。来てよかった!


地域の人に愛されている銭湯

湯上がり・ガラスびん地サイダー&地ラムネのイベントはしていない。
冷蔵庫の中の紙パックのドリンクを買いました。
なるほど、これは集客イベントをする必要のない。おおぜいのお客さまが出たり入ったりしているのだ。


雑誌には……
営業後に片づけや掃除。浴槽はアルバイトにまかせず、納得ゆくまで自分で磨く。銭湯は、夫婦揃って力を合わせる仕事。
「女湯に男が、ずけずけ入っては女の人が困るでしょう」と書いてあった。


たしかに、銭湯には大将と女将さんがいます。この部分は、これからも変わらない。

自転車がびっしりと


雑誌の最後に、後継者問題のことが。息子さんがふたり、サラリーマンをやっているらしい。
「私ら夫婦が汗水流して築いたニュー清滝温泉。どちらかが継いでくれるとうれしいですね。」


わたしは、入浴料を払うとき忘れずチェックしました。
フロントに若い男性が座っていたのを。



毎週土曜日は
「銭湯」の日



◆今回の記事は……
大阪人おおさかじん」2008年8月号・(財)大阪市都市工学情報センター著
引用・参考にいたしました。キャッチフレーズは “大阪人も知らない大阪" 。


写真も豊富な地元雑誌として、人気がありました。いまならSNSですね。残念ながら廃刊に。


◆大阪市の図書館で郷土のコーナーにあります。たまに古い雑誌を見て比べてみるのもいいと思いました。新しい発見がありますね。
(2023年のいま、やはり多くのお店が廃業されています)



いつも こころに うるおいを
水分補給も わすれずに


さいごまでお読みくださり
ありがとうございます。

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