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会社勤めのゲームプランナーがオフにUnity個人開発でゲームプロットの設計をしてみた

こんにちは、「仕様です。」(@shiyoumasayume)という名前でSNSをやっているゲームプランナーです。

普段は会社でたくさんの人と一緒にコンシューマー向けタイトルの開発をしているのですが、最近では在宅での仕事も増え、結果として自分の自由な時間が増えました。そこで勉強も兼ねて普段の業務では作れないようなゲームを個人開発したりしています。

さて、この記事では作成中のゲームを例に

「ゲームコンセプトとシステム要素を踏まえたシナリオプロット」

を考えてみたいと思います。

このnote単体で読んでいただいても大丈夫ですが、作っているゲームについての詳細を知りたいという方は前段の記事などを見ていただけると嬉しいです。こちらではゲームのコンセプトや遊びの概要を決めるまでの思考をまとめています。

 作成中のゲーム「Dr.Holeking」についての全記事はこちら

開発に使うもの

PC
・MacBook Air 2020 13インチモデル
・第10世代の1.2GHzクアッドコアIntel Core i7プロセッサ
・Intel Iris Plus Graphics
・16GB 3,733MHz LPDDR4Xメモリ
・1TB SSDストレージ
ゲームエンジン
・Unity バージョン2020.1.2f1
Google chrome
・調べ物をするときに
Twitter / note
・経過報告用

Macbook AirにUnityというツールを入れてゲームを作成しています。
ノートPCが1台だけで開発というコンパクトな装備です。

作ろうとしているゲームの概要

今回作っている「Dr.Holeking」というゲームはこんな要素を持っています。

・ポストアポカリプス(崩壊後の世界)なSFモノ
・基地のリソースを管理して襲来する敵を倒す
・敵を倒して得たリソースを使って基地の地下を掘削し、地球の核へと到達する
・iPhoneの縦持ちでプレイ

プレイヤーが遊ぶときの流れはこんな具合です。

1.基地のリソースを消費して基地設備を整える
2.襲来する敵を倒す
3.敵を倒して得たリソースでさらに基地を増築or地面の掘削を進める。

敗北条件:所有する基地の設備が襲来する敵を倒しきれなかった
クリア条件:特定の深度まで掘削を進めた

現在の作業状況

週ごとに締め切りと作業内容を決めて頑張ってます。

ゲームサイクルに必要なメインシステムの仮組みまで済んだところです。

・基地の設備を増強する
・プレイヤーの行動に応じて敵が攻めてくる
・敵との戦闘システム
・プレイヤーのリソース増減の仕組み

ゲームシナリオの役割

このゲームにおけるシナリオの役割とは、プレイヤーが遊ぶための動機づけです。

リソースを管理する遊びとは言ったもののそれだけではただの数字管理でしかなく、あまり楽しそうではありませんよね。

「あなたは荒廃した世界で目を覚ました。そしてその世界が滅びに向かっていることをあなたは知る」
「あなたは基地の設備を使って地球の核にあるエネルギーを掘り起こすことができる」
「ミュータントや錯乱した群衆は、資源を求めてあなたのいる基地を襲うだろう」

このようにただの数字管理でも世界観や意味をつけてあげることで、滅びに抗う行動となりますし、ストーリーがあることでゲームを継続して先へ進みたいという気持ちが生まれるわけです。

また、ゲームシナリオと小説の一番の違いはシステムに寄り添っているかどうかです。どんなに感動的なシナリオであっても、ゲームという形に落とし込まれていないとそれを楽しむことはできません。そのためシナリオプロットを考える時点から、このゲームに登場するシステムを活かした内容にしていく必要があります。

どうやって考えるか

創作手法は数多くありますが、僕が慣れたやり方で今回は進めます。

ざっくりいうと「クライマックスを考えて、そこから逆算する」というものです。

ちょっと流れを図にしてみますね。

プランナーってどんなお仕事.001

まず、自分の中にある「理想のラストシーン」を考えます。音楽でいうサビのようなものです。そこが一番心に残り感動的であると良いでしょう。

次はそのシーンを達成するために必要な世界観やキャラクターを考えていき、それらを使って冒頭からのストーリーを組んでいきます。

ストーリーがクライマックスまで繋がりましたか?おめでとうございます。そうしたら肩をもう一回しして、衝撃の展開、つまり当初予想していなかった真のクライマックスを追加しましょう。完成です。

この検討フローは、

・最初に自分が描きたい物語を明確にする。

・逆算して世界観やキャラクターを掘り起こすことで物語のブレや脱線を防ぐ。

・自分ですら予想していない展開を盛り込むことで、読み手にとっての意外性にもなる

といった狙いがあります。冒頭から順に考えていくと色々な蛇足アイデアが生まれてシナリオの方向性がブレてしまうためです。

最後に衝撃の展開を追加するというところですが、実際にやってみると案外なんとかなるものだと思います。というのも、

・クライマックスを考えたタイミングから時間が経っている
・世界観とストーリーを構築する段階で別のアイデアが浮かびやすい

といったことからクライマックスとストーリーを接続した時点で物語やテーマについての掘り下げが自分の中で進んでおり、本当に描きたかったものが道中で生まれるためです。ためしてみると「ああー」となるかもしれません。

各パートのシナリオボリュームを決める

シナリオを設定することはそのゲームの各パートのボリュームを具体化するということでもあります。

ゲームシナリオはそのゲームのメインコンテンツの総量に合わせて起承転結を区切るとシステムに沿った展開になりやすいです。個人的には、

ゲーム全体を8+αで区切る

とわかりやすいかなと思っています。

この8+αの構成は他のゲームなどでもよく使われているものです。例えばゼルダの伝説シリーズであれば8つのメインダンジョン+ラストダンジョンですし、ポケモンでいえば8つのジムバッジ+チャンピオンリーグというふうな具合に。

制作ボリュームとして都合が付くのがそのくらいなのかもしれませんが、シナリオという観点から見てもこの構成は適切です。

区切りの数は起承転結の4つでもいいのですが、8構成で考えると起承転結のそれぞれが2パートずつになり、問題発生と解決の展開をそれぞれに作ることができます。

実際に構成を当てはめてみる。

このゲームの目的地は地下3000kmまで掘り進むことです。そのため3000を8+αの構成で区切ってみます。

プランナーってどんなお仕事.001

ここで大事になってくるのが、プレイヤーの1回の行動で何km掘り進むのかです。つまりプレイヤーはシナリオ的な区切りまで何度掘削という行動を繰り返す必要があるのか。

想定プレイ時間とも置き換えられるのですが、ひとまず10回の掘削で折り返し地点と設定してみることにしました。

このゲームは最初から全部完成させようというより、プロトタイプをまず作ってみようという想定でいます。3000kmではなくその半分の1500kmをプロトタイプのゴールとします。

10回の行動で1500kmに到達。

1回の掘削で150km進む…という数値を出した上で上の起承転結を切り分けていきました。

実際にプロットを組んで見る

プランナーってどんなお仕事.001.m4v.001

本当はもっと細かく書いていくのですが、今回は図例としてわかりやすい粒度で書いてみました。

プロトタイプではプレイヤーは基地の管理者として目覚め、パートナーAIとともに世界を救うために地下へ掘り進んでいきます。

このプロットではそういった掘削行動をメインに据え、さらにプロット側から以下の要素を追加しました。

・掘り進むごとに取得できる人工物
掘削を1度行うだけではシナリオの区切りにたどり着きません。シナリオはたしかに進むのですが、ゲーム的にプレイヤーが得られるものがないためあまり得をした感覚というものがないんですね。

ここで得られる人工物はシナリオの中で比較的繰り返し手に入るもので、たとえば基地の恒久的なサポート装備といった転用を想定しています。シナリオ的な意味とゲーム攻略的な意味をもたせた存在です。

・進行を妨げる巨影
ゲームにおける中ボス、プロトタイプにおける最終ボスにあたる存在です。それまでプレイヤーが基地設備の強化などで敵を打ち倒すということをしてきたので、その集大成となる相手です。ゲーム的な区切りや成長の実感を得られる存在です。

というわけで

シナリオの検討フローとシナリオボリュームの考え方についてまとめてみました。プロットの詳細化やそもそもプロット時点で出しておくべき項目などは次回以降にまとめていきたいと思います。

このゲーム開発は毎週ごとに期日と作業内容を決めて進めています。

次回期日
・9月6日(日)
作業項目
・ゲームボリュームのためのシナリオプロット策定
・シナリオ面から必要なシステムの洗い出し
・パートナーAIのイメージ台詞作成、実装

ゲームボリュームのためのシナリオプロット策定を進めました。より詳細なところとしてはシーンを描くということで別途の作業としておこうと考えています。

シナリオ面から必要なシステムの洗い出しも今回少し踏み込んだ形になっていますね。こちらは次回もう少し仕様を整理して具体化していこうかなと思います。

この続きが気になる方はこちら!


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他にも色々な記事を書いています。

作成中のDr.Holekingについての全記事はこちら

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