68日目:からくり【絡繰り】→掌編小説
からくり【絡繰り】
糸・ぜんまい・水などの動力を利用して、人形や器物を動かす仕掛け。また、その仕掛けを使った見せ物。
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ゼンマイを巻くようなカラカラカラという乾いた音が、廊下を伝って遠くから、ゆっくりと近づいてくる。
祖父が襖をあけると、そこには童女を模した日本人形がいた。
人形は両手にちいさな盆を持ち、そのうえには茶碗が一つのっている。祖父に促されて茶碗を手にとると、人形の歩みがとまった。
カラカラカラという音がなくなると、急に居心地のわるい静寂が訪れる。
「面白