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デザイン門外漢がデザインを考察する

私自身絵を描くことは好きだが、デザインは門外漢だ。大学の授業で少しかじったし、そういうバイトも少ししたのでデザインに縁が無いというほどでもないが、プロ級というほどでもないのでやっぱり門外漢だ。そんな自分が素人ながらデザインをやったり見たりしていて思ったこと、「デザインってこういうことなのでは?」ということをメモしておく。

抽象的なデザインの例。(powerpointのテンプレートより)

例えばPowerPointのテンプレートや無料配布のスクリーンセーバーなどで出てくる謎の抽象画みたいな記号が寄り集まったデザイン。あの抽象的な形はなんなのか、必要なのか?とこの前までは思っていたのだが、どうやらちゃんと理由がありそうなことが最近分かってきた。

一応定義づけをしておくとデザインとは「人に伝えるために物事の見た目を形作る仕事」のことを(とりあえず)指すとする。ヴィジュアルデザイン(チラシ作ったりとか)なら伝えたい情報をイラストや図形、文字を組み合わせて一つの画像にするし、工業デザイン(コップのデザインとか)も商品の使い方を買った人に伝えるために形を考える。

イラストを描く人はイラストレーターと言い、デザイナーとはまた別の仕事だ。

例えばマグカップはどこを持てば良いのか分かり易い取っ手が付いている。取っ手が2つも3つも付いていて使う人が混乱したりしないし、持ちにくい形のことも少ない。これもデザインである。(尚、このコップの持ち手の例みたいな考え方はアフォーダンスとも言うそうだ)

デザインはコンセプトが大事だ。大学のデザインの授業では何を作るにもまずコンセプトを求められる。コンセプトとはデザインを作るうえでの目標設定、テーマみたいなものだ。これが明確であり、かつデザインの目的と噛み合っていることが求められる。

コンセプトは「ふわっとしたイメージ」ではなく「誰にでも伝わる明快な言葉」であることが重要であり、例えば「お菓子フェスティバルのチラシ」のコンセプトだったら「お菓子が沢山あってグルグル回ってる」のように画像をそのまま言葉にするイメージよりは「沢山のお菓子でイベントの楽しさを表現する」のほうがまだ良しとされる。

デザインのコンセプトとは何であるか考えた時に思ったことは「発注元とデザイナーは画像を送るだけでなく言葉で会話する。」ことである。発注元に画像だけ送ってハイ終了、とは中々ならないはずだ。

ならばコンセプトとは発注元にデザインの目的を分かりやすく伝えるための言葉だ。仕事相手にとっては画像だけよりも言葉でデザインの理由を説明された方が分かりやすい。なぜならデザインの説明をする相手はデザインの専門家ではないからだ。

前にデザインの授業を受けた際、デザインを専門に学ぶ学生のスケッチブックを見せてもらったことがある。彼女のスケッチブックに描いてあったのは沢山の記号で、その下にはそれぞれ単語が書かれている。なんでも「嬉しい」「穏やか」「怒り」等の抽象的な単語のイメージをそれぞれ記号で表してみる、という練習を自主的に行ったらしい。

スケッチブックに描いてあったもの(イメージ図)

それを見てピンと来たのは、先述したPowerPointなどのテンプレートによくある謎の記号たちである。「あれはもしや何かの感情を表す記号だったのかもしれない」そう思った。だが、「嬉しい」などの抽象的な言葉はなぜ必要なのか?

ここで再登場するのがデザインのコンセプトである。コンセプトは言葉であり、しかも「楽しい祭り」などの抽象的な言葉を使う。

つまりデザイン科のとある学生のスケッチブックに描かれていた「嬉しい」など抽象的な単語は、実際に使うデザインコンセプトの代わりであったのではないか。沢山の記号はそれぞれの単語に沿ったイメージを形にしたものである。

もしや、デザインとは目的を言葉にして、言葉のイメージに沿って抽象的な形を作る作業なのではないか?この場合のイメージとは「大多数の人がある言葉を聞いた時に思い浮かぶ共通項」のことであり、少数意見は切り捨てるものとする。

例えば「可愛い電卓」と「スタイリッシュな電卓」というテーマで作る商品ではおそらくそれぞれデザインが違う。これはイメージ(言葉を聞いて思い浮かべる共通項)が可愛いとスタイリッシュでは異なるからだ。

そう考えるとPowerPointテンプレートの抽象的なデザインも納得がいく。あれは「真面目さ」とか「仕事ができる人」を記号にしたもの、つまり言葉に対して大多数が抱くイメージを抽象的な形にしたものである。

以上が自身の考察である。あくまでも個人の素人意見なので、参考までに。

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