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相続で親の大借金を背負わないといけない!?ホントでしょうか?

お晩です、司法書士・行政書士の佐川です。

「むむっ、『お晩です?』こんばんは、ではないの?」
こんばんは、という使い方もありますが、夕方ごろだと
「お晩です」と無意識的に言ってしまいます。
(おばあちゃん子でしたもので…)


(おそらく)北日本・北関東の方言でして、しかも
宮城には「OH!バンデス」という夕方の情報番組があるんですよ。

出典:ミヤギテレビHP 夕方の情報番組「OH!バンデス」

初めて聞いたとき、ネーミングにインパクトある番組名だなぁ…と妙に
感心した記憶がありますな。
当時は(今も?)ローカルネタ全開で、仙台市内の住宅街で熊がでたので
注意してくださいやら、おいしい茄子がたくさん収穫できたやら、
毎年恒例のサンマ祭りをしたやら、たいへんのんびりした(牧歌的)内容が
盛りだくさん。
せちがらい世の中にあっては、ほっこりするんです。


えぇ…なんのこっちゃ、いやはや失礼しました。すぐに本題に入らない
「くせ」、なおします、はい。

1.相続放棄とは?


ということで、本題であります。
「親がこしらえた大借金は、相続によって子(孫)が当然のごとく
 背負わなければならないのか?」

という問いでありますが、
答えは
「相続放棄手続を行えば支払い義務はない」
です。

民法に相続人が被相続人(=亡くなった方)の権利や義務を
一切受け継がない「相続放棄」
という制度があります。

つまり、平たく申しますと、相続人である子が、相続放棄手続をすれば、
親の大きな借金(=亡くなった方の債務を支払う義務)を背負う必要は
ないですよ、という内容なのです。
もちろん、この債務には、例えば固定資産税など、税金支払も含みます。


*この税金支払のケースについては、以前書きましたブログがあります
 ので、お時間ありましたらこちらをご覧下さい(本当に、ある日突然、
  固定資産税納付の通知が来ます、たいていの方はびっくりして、わたし
 たちのような専門家等に相談するか、「オレオレ詐欺ではないか?」等
 と考えてそのままにしてしまいます)。


ところが、ポイントが3つほどありまして…

POINT1  期限が(原則)3か月以内と厳格に決められている

自己のために相続の開始があったことを知ったときから3か月以内にしなければならない」と定められています。
(原則)3か月なのです。3か月なんていう期間はあっという間に過ぎます。

すなわち平たく申しますと、
「親が亡くなった、そして、自分が相続人だよな。」
という時から起算して(原則)3か月以内に相続放棄をすることができるということです。

「原則だから少しくらい甘めにみてくれるよね…
 2,3日くらい過ぎても大丈夫でしょう?」
いえいえとんでもない、3か月以内の申請(くどいようですが、非常に大切な点ですので申し上げます)です。
*では、その原則「外」(=3か月を過ぎても申請可)はいったい状態か?
 を、次回あたりに説明いたしたいと思います。


POINT2 被相続人(=亡くなった方)の最後の住所地を管轄する
     家庭裁判所へ申請書を提出

相続放棄を決めた、まだまだ3か月以内だけれども早めの申請を、
ということで”方針決定”したものの…
どこに申請をすればいいんだ?そもそも具体的にどんな書類を持っていけばいいのか相談したいんだが…という話です。

申請書の提出は、亡くなった方の住所が仙台市でしたら、仙台家庭裁判所が管轄なので、仙台家庭裁判所に書面を提出する、ということになります。
いくらデジタル庁が設置されたからといって、まかり間違って東京家庭裁判所に提出したりすると、「ここは管轄外ですので…仙台家裁にご提出願います」と言われてしまいますので、ご注意ください。

ただし、相談はどこの家庭裁判所でも受け付けてくれます。裁判所の事務方さんは優しい方ばかりですので、親切にいろいろと教えてくれます、
ご安心を。

ちなみに、管轄を調べたい方はコチラです。

POINT3  被相続人の遺産を勝手に「処分」してはいけない

相続放棄をすると決めたものの、遺産を勝手に「処分」した場合、
相続放棄はできません。

「処分」にあたる行為はどういうものであるのか、を厳密に線引きすることは難しいですが、処分されるものが「市場において価値がある商品」か
どうかが分かれ目と考えられています。

日常の家財(=ほとんど価値がない家財とします)の片付け程度であればほとんどの場合は「処分」にあたらないでしょう。また、財産的価値のない古い家電の廃棄も同様であると考えられております。

ただし、ブランドの時計・バックなど中古品としても高値で売却できるような品物があり、それを勝手に売却し自分がその対価を受取り・費消した場合は「処分」となるでしょう。

相続放棄を考えている方は、まず被相続人の遺産を勝手に費消しないことが
一番の重要点と心得てください。


2.まとめ

以上、まとめますと
「親がこしらえた大借金は、相続によって子(孫)が当然のごとく
 背負わなければならないのか?」
「いいえ、相続放棄という手続を利用すれば問題はないです」

ただし、 
POINT1  申請の期限が(原則)3か月以内と決められている
POINT2  被相続人(=亡くなった方)の最後の住所地を管轄する
        家庭裁判所へ申請書を提出

POINT3  被相続人の遺産を勝手に「処分」してはいけない
のポイント3つが大切です。

そして、これが一番の最重要点ですが…

POINT4  「相続放棄という手続を知らなかったのです、既に3か月
      過ぎてますが、相続放棄をしたいのです。
      どうにかなりませんか?」という言い分は家庭裁判所には
      (基本的に)通用しない、ということです。

相続放棄をしなかった適切な理由があれば良い(次回のブログで解説いたします)のですが、相続放棄ができたにもかかわらず、たまたま相続放棄と
いう制度を知らなかった、知っていたが後回しにしていて、とうとう3か月経過してしまった場合です。
この場合、ご本人の責任であるということで相続放棄は受付てはもらえません、きわめて厳しい現実を突きつけられるのです。
ですから、わからない点を専門家に相談することは重要です。
「お金がかかるから、時間がなかったから、今になってしまって…」は
家庭裁判所に通じないのです。



次回あたりは、原則3か月を超過しても良い場合とはどんな場合か?
を書いてみようと思います。

(いつものごとく)乱文にて失礼いたしました、また、
ご拝読ありがとうございました。


相続に関する手続や不動産・商業登記、裁判所への提出書類の作成は
当事務所まで!お気軽にお声かけ下さい。

事務所:司法書士法人・行政書士 城山法務事務所
司法書士・行政書士 佐川俊輔
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