物語からはじまるショートショート〜第八回 『いつも だれかが…』より〜
暑い暑い夏が、今年もやってきましたね。
久しぶりに長い休みを取れたので、じりじりと照りつける太陽の下、セミの声が響く中を歩いて、あなたの町までやってきました。今日は、今年一番の暑さだそう。少し外にいるだけで、ぽたぽたと、額から汗がたれてきます。
こうなるとわかっていても、八月にこの町を訪ねたくなるのは、あなたに会うのがいつも、夏の盛りの時期だったからでしょう。子どものころ、休みになると、家族でこの町に向かいました。新幹線と私鉄を乗り継ぎ、この町に着くときは、旅の疲れと夏バテ、