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働く環境は自分で掴むしかない。

以前、「協調性の無さを理由にお前は逃げているだけだと言われた話」という記事を書いた。

その記事の後日談として、私が退職する際に取締役の方からいただいた話をしようと思う。

笑顔についての話。

女性の笑顔と男性の笑顔

まずは、私が退職する企業というのは、新入社員で入社したある中堅企業であった。
売上もまあまあで従業員は約1000人満たないくらいの会社だ。
(自慢とかではないが、一応東証一部上場企業)

以前書いた記事の件で、ある取締役の方と少し距離が近くなっていた私。
「退職する」というお話をするために社内アポを取り、お時間をいただいた。

「改めてになりますが、初めてお会いした際の無礼な発言、大変申し訳ございませんでした。」
「良いから、まず座りなさい。」

声はにこやかだったように感じる。

まず、その人は滅多に笑わなかった。
堅物真面目キャラというか、そんな感じの人で人の似顔絵を描くときに定規で輪郭を描くぐらいのことをしても、不思議はなかった。

「辞めるんだって?」

そんな一言だった。

「はい。お世話になりました。」
「君は今何歳だ。」

「高校卒業から働かせていただいておりますので、今年で22歳になります」(2年と11か月目で退職)
「そうか。若いな。来年度大卒の一個下じゃないか。」
「はい。そうなります。」

「いいな。若いというのは、それだけで楽しいだろう。」
この問いには、苦笑いで答えた気がする。

その後も、どうして退職するのか、この会社での思い出は、私のこと本当は嫌いだろ?など他愛もない話をした。

話は変わるが、と言いつつ取締役(以下Aさん)が話してくれた話は今も私に響いている。

「パンダ君はあまり笑わないね。」
「Aさん程ではありません。」
「言うねぇ。でも私の若い頃は良く笑っていたと思うよ」
「そうなんですか。少し想像できませんが。。」

「女性は笑顔は多い人ほど人気があるよな?」
「はい。容姿関係なく笑顔の女性は活気をもたらしてくれます。男性にあの芸当は中々難しいですね。」
「私も同意見だ。では、どうして男性の笑顔は部内に活気をもたらさないのだろう。」
「一概に回答はないと思いますが、私の見解ですと、社員に男性が多い以上、需要が少ないのではないでしょうか。」

「では、女性社員が多い職場に冴えない40代の男性がいつもにこやかで元気があったら、活気をもたらすのだろうか。」
「Aさん、私が退職するからと、少し意地が悪いのではないですか?」
「せっかくだ。いいじゃないか。」

少し上機嫌だったAさんに乗せられたように私は話出した。

「その状況では、活気をもたらすことは難しいと思います。」
「ん?どうしてだ?」
「男性の少ない職場に、男性の居場所なんてないからです。男性の容姿がジャ〇ーズくらいイケメンで若かった場合は、活気をもたらすことは容易かと思いますが、冴えない40代は今のご時世セクハラだと騒がれる恐れがあります。」

「君は容姿に厳しいね。」
「私自身容姿に恵まれた方ではありませんので、冴えない40代の方のお気持ちは理解できます。」

「では、質問を変えよう。冴えない40代の方が入ってきて、一切笑わないし、結構厳しい、真面目な方だとしょう。」
「それはもっと嫌われるのでは?」
「最後まで聞きなさい。この方は二人きりや少人数だと会話の中でにこやかに話す男性だった。」

「・・・。仕事は真面目で、プライベートや休憩時間などは砕ける男性という解釈でよろしかったでしょうか。」
「まあ、それでいいだろう」
「確かにそういったギャップのある方は、仕事で信頼を得るかもしれません。ただ、活気のある職場を生むかと言われると分かりません。」

「そうだろうな。確かに活気を生むかと言われると分からない。しかし、この男性の好感度は先の『いつもにこやかな冴えない40代』とどちらが高いと思う?」
「それは、後者です。」
「笑っている頻度が少ないのにか?」

「やはり、笑顔の頻度と好感度は比例しないのかもしれません。」
「そこに女性と男性の差があるのだろうな」

「きっと、女性の笑顔は鎧や盾のようなもので、常にあることで力を発揮するのだろう。しかし、男性の笑顔は隠しナイフのようなものだ。」
「小出しに刺すということでしょうか。」
「そうだ。君は笑顔をどう使っている?私は君の苦笑い以外の笑顔を見たことは無いのだが。。。」

「はい。私自身、笑っても良いタイミングがつかめないです。」
「それならば、二人きりの時だけ、笑うということを心がけて見てほしい。きっと君に笑いかけてもらった人は君に好印象を持つはずだ。」
「そんなことないですよ。」
「だが、君の中で私の好感度は高いだろう?それは君と二人きりの時に砕けて話したり、笑っていたりするからではないか?」

「それは。。。そうかもしれません。」
「君は退職するんだ。この会社での君の評価は堅くて扱いにくい奴だったかもしれないが、次の会社では、仕事を真面目にこなす気さくな若者になるはずだ。私は君を信じているよ。」

「ありがとうございます。」
この時は、少し笑みがこぼれていたかもしれない。

最後に

凄く長くなってしまい、申し訳ないが
笑顔を隠さないことは私が大切にしている信条の一つになった。

そして、今Aさんは年齢的に限界と判断し取締役を退いて隠居しているらしい。
もし、また話せる機会があるのなら、私はにこやかに退任をお祝い出来るだろう。

今日はそんな話。



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