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概念としてのハワイに行きたい

SF短編:海の向こうに存在するかもしれない、ある理想郷について


概要

概念としてのハワイ(英:Hawaii as a concept)についての情報は、その多くが口頭による伝聞で、不確かな点が多いと言われています。インターネットが日常的なインフラの一部となり、誰もがスマホで写真や動画をシェアできる現代で、なぜこのような状況になっているのでしょうか?

研究者によると、概念としてのハワイはあまりにも素晴らしい場所であるため、誰もインターネットなどやっていないし、全員が到着と同時にスマホを宿に置くか海に投げ捨てるかして、そのままその存在を忘れてしまうのだそうです。

それならば、概念としてのハワイから帰国した人たちは、自らが経験した概念としてのハワイの素晴らしさを周囲の人々に伝えたり、(海に投げ捨てたスマホを再購入した上で)SNSで発信したりするのではないでしょうか? 残念ながら、そのようなことも行われていません。概念としてのハワイはあまりにも素晴らしい場所であるため、誰もそこから帰国しないし、研究目的で概念としてのハワイに向かった研究者たちも、例外なくそのまま消息を絶ってしまうということです。

概念としてのハワイの主要な産業は、観光業であると推測されています。政治や経済についての詳細は明らかにされていません。そもそも、そこに政治というものが存在するのかという点も疑問視されています。

概念としてのハワイの特徴

以下のような特徴があると言われています。

  • 季節は春である。それ以外の季節の存在は確認されていない

  • 海辺を離れても波の音がする

  • 土曜日の夜が明けると、次の土曜日の朝になっている

  • 誰も働いてない

  • 生き物が生きている(数は多い)

  • 嬉しいことがあると、みんなが踊ってくれる

  • 生き物も一緒に踊ってくれる

  • 自分のことを不幸だと感じているような人間は、ただのひとりもいない

繰り返しますが、概念としてのハワイについての情報はその多くが伝聞であり、情報の正確性は保証されていません。

概念としてのハワイへの渡航方法

明らかにされていません。

概念としてのハワイについての参考文献

確認されていません。

存在についての議論

概念としてのハワイについて、その存在を否定する声があるため、最後にこの点についても触れておきます。

概念としてのハワイなど存在しないという人は、誤ったことを主張しているわけではありません。概念としてのハワイが存在しないと考えるとき、その人に対して、概念としてのハワイは現実に存在しないからです。概念としてのハワイが存在するのは、概念としてのハワイが存在すると考える人に対してだけです。

概念としてのハワイの存在を疑った者に対して、概念としてのハワイが再びその存在を表すことは永久にないと言われています。

本レポートについての情報

概念としてのハワイは、研究領域としては未だに確立されていないというのが現状です。そのため、不本意ではありますが、本レポートをこの場所で広く一般に公開する形とし、後進の研究に期待したいと思います。

作成者:shiroi_ze
作成日:2023年12月27日

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