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女性バーテンダーが躍動する『BLUE』(全国バー行脚④熊本)

   舞台は突然、九州・熊本に飛びます。取り上げる順番に意味はありません。ノリだけです。

   地方都市のバーには、出張の際に寄らせていただくことが多く、熊本もそう。2020年の秋でした。取材先の県庁の中庭に、堂々たるルフィ像が据えてあり、気分を上げてくれます。

後ろの建物が熊本県庁

カクテル「人生は美しい」

   そんな熊本の夜に向かった先が、オーセンティックバー『BLUE(ブルー)』。最寄りは熊本城にほど近い花畑町駅で、熊本市の中心部にある「銀杏中通り」のビル4Fにあります。元々別の場所で開業していて、2020年2月に現在の場所に移転したそうです。

「L」が陽気なコースター

   店内のカウンターは、標準的な物よりも幅広でした。店の奥にはボックス席も複数設置されていますが、カウンター席からは見えません。両方の空間が切り替わる場所に、カウンターとほぼ同じ高さの壁があるためです。さらに、ボックス席はカウンター席よりも、少し低い位置にあるようでした。そのため、壁がうまい形で目隠しの役割を果たしています。シンプルですが、かなり凝った設計に思えました。

 バーテンダーさんは3名。3名とも女性です。今時、男女の性別に言及するのは時代遅れかもしれませんが、やはり女性だけでオーセンティックバーを切り盛りしているのは少数派。バーの敷居が高いと感じている女性ひとり客も来店しやすそうです。

   立ち居振る舞いも美しい。オーナーバーテンダーのTさんを中心に、それぞれが自由に振る舞っているけれど、すごく統率が取れているというか、明らかに鍛えられています。そして3名とも楽しそう。接客は「ちゃんとしているのに気さく」で、案内されたカウンター席に座っているだけで明るい気分になりました。

   お酒は各種揃っていますが、メインはカクテルの印象。Tさんは、「マリーブリザール カクテルコンペティション」を2018年に受賞しています。受賞カクテルの名前は「La vie est belle(ラヴィエベル)」。フランス語です。意味は「人生は美しい」。ライフ・イズ・ビューティフルですね。

   このラヴィエベル、リキュールの「マリーブリザール アニゼット」に、麹の入ったジャパニーズスピリッツ「TUMUGI」などを加えており、非常に“甘爽やか”な味わい。写真を撮ってないのが悔やまれる、「必飲」マークを押したい一杯です。

   で、調べたらTさん、翌年のマリーブリザールの世界大会でも優勝してた…。凄い。

   そんなTさんに教えて頂いたのが、熊本の老舗酒造メーカー「高橋酒造」さんが作っているという、SG焼酎の米。ソーダ割りでいただきました。焼酎のソーダ割りって、後にも先にもこの時しか飲んでないかもしれない。とても軽やかな香りだったのを覚えています。「バーで楽しむ焼酎」をコンセプトに作られたそうで、ジンやウォッカのようにカクテルベースのスピリッツとしても使えるそう。こうした土地の物を薦めてもらうのも、バー行脚の楽しみです。

右のボトルがSG焼酎(米)

   キッチンには別のスタッフさんもいるようで、フードメニューも充実。飲んでも食べても、ひとりでも複数でも、全方位外交で受け止めてくれるようなバーです。東京のバーテンダーに「熊本ならここ」と勧められて行きましたが、大正解でした。

街の案内所?『STATES』

   熊本では、もう一軒、触れたいです。1984年開業の『STATES(ステイツ)』。こちらも銀杏中通りにあります。ブルーと同じく、まず思ったのは店の設計の面白さ。バーって、なんとなく長方形のイメージが(私には)あるのですが、ステイツは正方形に近い間取りで、珍しく感じました。

 入店時、カウンターが埋まっていたためテーブル席に案内して頂いたので、そこから店内の様子を見学。数々の調度品がクラシカルな雰囲気を出しています。カウンターに目を向ければ常連風のお客さんが笑っていて、テーブル席では、若者たちが何かの二次会か、それとも合コン? のような雰囲気で楽しそうに飲んでいました。同じ空間で、全く違うカラーの客層が自然に入り交じっています。うん。良い店。

 お酒はブルーと同じく、カクテル中心とお見受けしましたが、私はウイスキーの気分が高まり、ストレートで何杯かいただきました。

何のウイスキー? 覚えてません

 カウンターに移動してからは、オーナーバーテンダーのMさんが、私のような一見の観光客を優しくかまってくれます。店で作ったオリジナルの観光マップを片手に、お店周辺のバーや食事処、県内観光でお勧めの場所まで、たくさん教えてくれました。説明は詳しく、もちろん押しつけがましくはなく、とても興味を引かれます。

   熊本に来たら、まずここで一杯飲みながら、街の情報収集をするのが正解なんじゃないか。

 真面目にそんなことを考えた次第です。

   実際、ブルーとステイツで教えてもらったバーや食事処で、行きたいけれど断念した店が複数ありますので、次回の熊本行での楽しみにしています。熊本については、本当はラーメンに関する駄文も連ねたいところですが、ここは写真だけで。早く再訪したい。(了)

県庁の隣にある「味千ラーメン本店」


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