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園児の英語通訳
園児くんの英語通訳をしてきました!(※写真の子ではありません)
イギリス生まれの男の子で、母国語はイギリス英語。日本へ引っ越してきてまだ十日くらいだそうです。
日本のふつうの幼稚園へ編入したけど、まったく日本語が話せなくて、お友達とも話せないし、先生の言ってることもわからなくてさすがにみんな苦労しているとのことで私が呼ばれました。
ご対面!
この子です~と担任の先生から紹介されると、私の着ていたスヌーピーのTシャツに書かれた英語を嬉しそうに読み上げてくれた男の子。当然「ハロー」から会話が始まると思っていたので、嬉しい裏切りでした。
彼はたまたまスヌーピー大ファンだったようで、ああこれ着て来てよかったなあと心底思いましたよ。
つうやくのせんせい
私は通訳としてこの場にいるんですけど、園児たちからすると「あたらしいせんせいがきた」ということでしかないらしく、あれよあれよと園児たちに取り囲まれインタビューされる私。すごい積極性だな園児。
じぶんの子供時代を思い出しても、こんなグイグイだったことはないので、子供らしくて羨ましいというか、ああ子供ってこうなんだな、って笑っちゃいました。
こんなにたくさんの園児に群がられたことはないので、村へ無事に戻って来たインディージョーンズか?(※魔宮の伝説)っていうくらいの群がり方でした。
質問の嵐
「せんせいは新しい先生?」「なんていう名前なの?」「ねえねえ」「だれ?」とすごい需要です。今回お世話するはずの男の子への道が、パパラッチたちによりみるみる阻まれてゆく……(笑) ああ私はここに何しに来たんだっけ? あ、そうだそうだ通訳だった。気絶しそうなくらい質問の数が。いつ通訳やれるんだろう。
園児が何人か私のところへ寄ってきて、「あいつ英語でぜんぜん何言ってるかわからない」「貸してって言わないで勝手におもちゃ取られた」と、例の男の子に対するクレームを私へ訴える園児たち。ああ、こういうストレスをみんないっぱい抱えてるのね、こりゃたいへんだ。っていうか保育士って大変。すごいな保育士さん。
この子の課題
担任の先生からもいろいろ相談を受けました。教室で遊ぶときにこういうルールがあるけどあの子には通じていないから説明してほしいと。巨大な積み木は危ないから二人で運ばなくちゃいけないというルールがあるけど、この子は一人で運んじゃうのでやめさせてほしいとか色々。
園としては大事なお子さまお預かりしてるわけなので安全上のルールは厳守させたいんだけど、彼は一人で運ぶことを楽しんでいるのでなかなか守ってくれないという。
彼と話をしてみると、すべてルールは理解していたけど、自分で納得できないから従っていなかったということが判明したので担任の先生へ伝えました。ああそうだったんですね! とすっきりした様子でした。
手に負えない知能!
彼はすごく頭がよくて、年長クラスにいるのはもったいないというか、かわいそうなくらい頭の良い子だということも判明。海外なら飛び級で小3くらいでもいいんじゃないかしら。
聞けばお姉ちゃんがそれくらいの年齢みたいで、たぶん低く見積もってもお姉ちゃんと同じくらいの知能はありそうです。
この子専属の通訳とはいっても、やっぱりクラス中の園児たちとの交流は必須で、隙あらば園児たちは私にアプローチかけてきます。
猫との出会い
気づくと「にゃあ~」と真下から聞こえたので見ると、首に縄をつながれ、四つん這いで歩く女児が私ににゃあにゃあ言ってました。
この仕事を引き受けなければこんな珍生物に遭遇することはなかっただろう。縄を持って散歩する女児と、散歩される女児が私の横に(笑) カオスすぎます。確認だけど、これ通訳の現場なんですよね?
ちなみに一時間後もまだこの女児は猫でした。すぐ飽きると思ってたけど、徹底しててすごいな。一言も言語しゃべらないでにゃあだけで通してて、ぁ、しゃべれなくても幸せな人もいるんだね。
お弁当の時間
二人ずつ座る小さなテーブルに、アクリル板。アクリル板は園児みずから設置する。このご時世の園児は大変ね。ちょっと園児たち窮屈そうだけど慣れたご様子。
彼のお弁当セットはぜんぶスヌーピーで統一されてる♪ 日本へ来て新しく買ってもらった自慢のお弁当セットなのだそうで、私に一生懸命説明してくれました。こういう時間が足りてなかったのね。まあしゃべることしゃべること!
ほとんどの子が15分もしないうちに完食して外へ遊びに。お弁当タイム自体は30分らしい。短すぎて驚きました。30分を過ぎてもまだ食べ終わっていないのは彼と、さっきの猫だけ。
彼はお弁当をゆっくり楽しんでいるので30分以上かかっているので、もっとゆっくり楽しませてあげたい。猫のほうは食べものをフォークで刺して遊んだりふざけながら食べているので時間がかかっていた。
この二人が同じスローお弁当グループとして一括りにされているのは違うだろうと思いつつも見守りました。
猫は最後のブロッコリー1個が食べられず格闘してました。茎は残していいと親に言われてるけど茎以外は食べなければならないのでどうしよう……という事情でフリーズしていました。っていうか猫しゃべった!(笑)
けっきょく40分くらいしてお弁当タイム終了。さあ次は誕生日会の予行演習だ。一人一人まえに出てセリフを言います。意外とみんな苦戦していたのはお辞儀でした。ぴしっとお辞儀をするのが園児たちには難しいようす。
このころにはすでに三時間くらい経過してて私はバテバテだったので魂抜けてました。
園児の通訳 後編
英語しか喋れない園児くんのために、お助け通訳として送りこまれたときの日記です。
いざ蓋をあけてみると、この男の子につきっきりで英語通訳だけする、ってわけでもなかった。なんというか、ほぼ「一日保育士さん体験」。園に到着してまもなく園児たちに取り囲まれた! これは人気者ということですか。
「だれ?」「せんせい! あたらしいせんせい?」「ねえこれ見て!」
群がる群がる。そして存在アピールが凄い! 一人ずつ話すという文化は大人の文化だったのね。それにしてもすごい勢いの園児たち。でもいいのかな園児たちよ。君たちが群がっているのはそこそこヤバい人間ですよ(笑)
風間くん
大混乱のお教室。群がり園児のうちひとりが、園児らしからぬトーンで話しかけてきた。「先生、今日から?」
精神年齢はほかのみんなより上です風の園児登場したあー(笑) しかもなんかいい服着てる。ははは、集団にかならず一人はこういうキャラっているんだなあ。クレヨンしんちゃんの風間くんみたいな。
いろいろお話してみると彼はハーフくん。お父さんとは英語、お母さんとは日本語で会話しているとのこと。なんだ、通訳この子でいいんじゃないの?(笑)「英語わかるのきみしかいないから、あの子助けてあげてね」って伝えたら、風間くんけっこうがんばってくれた。
私の人気者っぷり(というか見世物?)は時間が経過しても変わらずで、入れ替わり立ち替わりさまざまなキャラの園児からアプローチかけられ……。質疑応答の嵐です。
園児から驚きの質問
すると「せんせい……」と背後から声が。まだ喋ったことのない女児がモジモジしながら、
「せんせいは おとこのこですか おんなのこですか」と。
聞かれたことない質問きたーーー。私の髪はベリーショートだし、オーバーサイズのTシャツ着てるし、たしかに分からなくても仕方ないよね。ほかの先生たちはみんな髪長いし。
「どっちだと思う?」と私。
「おんなのこ?」と女児。
満面の笑顔で「そうよ!」と私。女児にっこりして去る。解決してよかったね。
次なるインタビュー
さらにべつの女児がやってきて、「せんせいはおんなのこなのにどうして髪みじかいの?」って。「わるいかよ~」とニコニコ返す私。なぜか凄い嬉しそうに走り去っていった。
年齢調査
また別の園児がやってきて、「せんせいなんさい?」とインタビューされました。「4◎さいだよ」と言うと、「えー38歳じゃないのかー」と言って去る。どうやらお母さんの年齢が38で、大人のおんなのひとはみんな38だと思っていたようだ。
おとうさん?
また別のインタビュー園児登場。「せんせいはおとうさんと二人ぐらし?」
どうやら旦那さんのことだけど旦那という語彙はまだないみたい。「うん、おとうさんと二人ぐらしだよ」と答えると、「あかちゃんいないの?」って(笑)
「赤ちゃんいるよ、猫とハムスターがいるよ」というと、「え、ハムスター……」想定外すぎて去っていった。
園児はインタビューが好きだなあ。質問文もおもしろいし、何言ってくるか想像つかないので面白い。やっぱり園児にとって「ベリーショート=おとこのこ」なんだなあ。この日からしばらく我が家で私のあだ名は「おとこのこ」になりました。
─完─
♡子どもって面白い♡
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