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オリジナルのYA短編読み切り小説(フリー素材:発表済み)

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愛知県教育雑誌「6年分」(紙媒体)の連載読み切り小説です。朗読、歌、動画の原作などの二次使用につきましては無料です。©️白川美古都の記載だけお願いします。また、使用にあたり必ずしも…
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2023年6月の記事一覧

YA【春までなんぼ】(3月号)

 明日から春休みだというのに、荒谷翔はため息ばかりついている。  終業式が終わってもだら…

YA【元気ですか?】(2月号)

   教室の一番後ろの席で本を読んでいた山中咲良は、 「何か匂わない?」  という声に本か…

YA【海に絵を描く】(1月号)

 竹内哲人は大原野神社の赤い鳥居の前でうろうろしている。  神社には、昨日、家族で初もう…

YA【まばたきもせずに】(12月号)

 石井知美は目覚まし時計が鳴る前に飛び起きた。ニキビ、治ったかな……。知美は片手で長く伸…

YA【In the spring】(11月号)

 寝ぐせのついた頭をかきながら、金城直矢は大あくびをして、自分の席についた。昨夜も試験勉…

YA【夜風の中から】(10月号)

 学校から真っ直ぐ家に帰ると、美佐代は鞄を足元に置いて、自宅のインターフォンを押した。岩…

YA【握り拳の中の夢】(9月号)

 島田家の週末は、土日のどちらか、家族そろって、母方の祖母の家へ遊びに行くことになっていた。  父の運転するワンボックスカーの後部座席で、郁也は寝ぐせのついた頭をかきながらつぶやく。 「友だちと遊びに行きたいんだけどさ……」  助手席の母に、サイドミラーの中でにらまれる。  母はもはや儀式とも呼べる週末の実家訪問を、欠かさない。自分が世間一般の人と同様に幸せな家庭を築いているのよ、と祖母に見せることで安心させる為に。  これは、兄、純也の持論だが、郁也もそう思う。  その高校

YA【あたしの夏休み】(8月号)

 塾の休憩時間に、筒井万里は一個目の菓子パンを口に押し込みながら、親友で幼なじみの石井知…

YA【あした天気になあれ】(7月号)

 例年より一週間早く梅雨が明けたというのに、今日もしとしと雨が降り続いている。  野球部…

YA【お月様欲しい】(6月号)

 月曜日の朝のホームルームで、二年B組の担任の林田は、先週から始まった漢字の小テストの中…

YA【人生は綱渡り!?】(5月号)

   一限目の英語の時間が終わるまで、あと十分。壁にかけられた丸い時計で何度も時刻を確認…

YA【シニカル・ムーン】(4月号)

 日曜日の家電量販店は、想像通り混んでいた。特に、携帯電話コーナーは、すごい人だかりだ。…