風速 【詩】
付近には
ひどく新鮮な
風速があり
車輪は全て残像だった
(飛行機が危なっかしく飛んでいる)
春めいた秋の午後だった
風はごおごおと吹き
空を黄色く染めた
とても綺麗な髪が流れている
(もっと速度を出せよ 止まるなよ)
ベルを鳴らす車輪に
轢かれていく路面
バッタが飛び ひりひりと鳴いた
土手の向こうは空だった
(飛行機がクルクルまわっている)
春のような秋の風だ
髪の毛が渦を巻いている
雲が水草に似ている
土手向こうは空と海になっていた
車輪はミルク色の航跡を残す
(あぶないよ そこどけよ)
ベルの音がくりかえす
上空の風速が増す
車輪に絡まった乾いた髪
秋のような春の午後の眠けから
みかん色に滲んでいく惑星
ペダルの音が交差する
(飛行機は静止して見えた)
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