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昭和の精神 【詩/現代詩】

歴史に
因果関係はない

昨日起きたことと
今日起きることは
関係がない

そんなことを考えながら
路地裏を歩いていると
昭和の精神が
あっちから歩いてきた

僕たちは睨み合い
眼から火花が散る

《お前は何者だ》

《俺は昭和だ昭和そのものだ》

目に見える現実だけが
現実ではない
そううそぶきながら
彼は僕の前に立ち塞がり
ニヤけたドラえもんのような顔つきで
何くわぬ様子で
口笛を吹いた

(おれの書いた手紙は読んだのか
 昭和の血は浴びたのか)

(僕は昭和が大嫌いだ
 とっととうせろ)

令和5年も瀬戸際の
綺麗な表通りを歩くと
今日は南寄りの風
明日は西寄りの風
昨日の風はどこ吹く風

つぎはアゲハバラ
つぎはアゲハバラ

昨日とはちょっとちがう駅名に
少し驚いてみたり

(もう時代は変わったのさ)

水曜日の午前十時
昭和の精神は
浜松駅付近を通過中

(僕には関係のないことだ)

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