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終わりの始まりの歌 【詩/現代詩】

戦争が終わったあとの街では
後片付けが大変だ

(終わりの始まり
 始まりの終わり)

海深く沈んでいた都市が
砂の底から湧き出した

(半減期は5万年)

アトランティスの裂け目から
海溝に飲み込まれていった
クラスメイトたち

(高階のバルコニーから
 チェーン店の洪水が見えた)

生暖かい風が
北の方から吹いて
何かがいつも少しずつ
ズレている
ひたぶるなチェーンの連なりも
その軋み合う音楽も
ねじが少しだけはずれて
生暖かい風が

(涅槃を燃やしている)

チェーンとチェーンが擦れあって

偶然性の音楽

銀の皿

銀だこ

銀のお寿司ただよう

チェーンの海

ソラリスの海

ピザくらっと
ハッとヒヤリ
冷えたアスパラガスの
極上の香り

(新しい食感)

なんて呑気なことを

ロンパできる?
ロンパできる?

(傍聴を希望します)

ほんの少しの希望が
つなぎ止めている地球のねじ

(かつてない世界の訪れ)

(詐欺の疑いが濃厚です)

戦争が終わったあとの街では
後片付けが大変だ

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