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ファシリテーションスキルの身につけ方


みなさんお元気ですか、坂本です。
背中バキバキになってませんか?わたしは最近、背中のバキバキを和らげようと体幹トレーニングを始めてみました。いつまで続くかな。

ということで、今回は「ファシリテーションの学び方」について書いてみようと思います。

わたしは、会議やワークショップの設計や進行、人材研修や高校・大学での授業のプランニングや運営といった、いわゆる「人材」「教育」「コンサルティング」の領域にあたる仕事をしています。

そこでは「ファシリテーター」という役割を担うことも多くあり、現在進行形で、企業のビジョン策定のワークショップの企画運営を行っていたりもします。そのなかで「どうやってファシリテーションを学んだの?」という質問をいただいたので、書いてみたいと思います。

そもそもファシリテーションとは

外出自粛が続くなかで「オンライン飲み会」「オンラインイベント」なるものが流行の兆しを見せており、なかでも「(社会人の)学習の機会」が増えているように感じます。

それに伴い「ファシリテーション」や「モデレーター」といった単語も少しずつ常用的な言葉として用いられているので、聞いたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

FAJ(特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)のホームページから引用すると、

ファシリテーション(facilitation)とは、人々の活動が容易にできるよう支援し、うまくことが運ぶよう舵取りすること。集団による問題解決、アイデア創造、教育、学習等、あらゆる知識創造活動を支援し促進していく働きを意味します。その役割を担う人がファシリテーター(facilitator)であり、会議で言えば進行役にあたります。
―ファシリテーションとは(FAJ:特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)

という定義であり、ざっくり言えば「司会」のあの人です。
「司会」とどう違うのかといえば、プログラムの進行だけでなく「その場にいるひとたちの相互作用や関係性を促進しながら、合意形成や課題解決をはかる」役割があります。

「その場にいるひとたちの相互作用や関係性の促進」のためには、考えてもらうこともありますし、意見や感情や想いをぶつけてもらうこともありますし、そのための問いを投げかけることもありますし、議論や対話をやりやすいような参加者の関係や環境作りをすることもありますし、意見や想いを整理整頓することもありますし、やっていることは細々と、しかしながら意外と多岐にわたります。


ファシリテーターが持つスキルとは

こちらについても、FAJ(特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)のホームページから引用し、一般的な会議・話し合いにおいてファシリテーションには以下の4つのスキルが求められるということに則って話を進めましょう。

1. 場のデザインのスキル ~場をつくり、つなげる~
2. 対人関係のスキル ~受け止め、引き出す~
3. 構造化のスキル ~かみ合わせ、整理する~

4. 合意形成のスキル ~まとめて、分かち合う~

―ファシリテーションの4つのスキル(FAJ特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)

各スキルについて、具体例やより細かい粒度でのスキルに落とし込んでみたいと思います。

1. 場のデザインのスキル ~場をつくり、つなげる~
これについては、以下の記事を読んでいただければいいと思います!(雑)

しいて言えば、目的を明確にするうえで、依頼者やオーナーから話を聞き整理するフローと、適切な会議手法を選択することが求められるので、

【スキル】
◯インタビュー・ヒアリングスキル
◯チームビルディング(マネジメントスキル)
【知識】
◯目的による会議の分類の項目
(情報共有、課題発見・解決、アイデア出し、意思決定など)
◯会議やワークショップの手法

は必要だと感じています。
知識部分については、まだまだ知らないことや発見ばかりですが、会議やワークショップに関する記事や本からわたしは学びました。学べ!調べろ!がんばれ!とあなたを応援しておきます。

スキル部分の身につけ方は、のちほどまとめて書きたいと思います。

2. 対人関係のスキル ~受け止め、引き出す~
ここでは、いわゆるコミュニケーションスキルが必要とされる場面だと思います。具体的には、

【スキル】
◯傾聴力
◯コーチング
◯ティーチング
◯カウンセリング
◯見通しを立てる力
◯質問・問いを立てる力
【知識】
◯コーチング・ティーチング・カウンセリングの違い
◯「ひとの思考はみんな違う」ことへの深い理解

あたりになるかと思います。

特に「ひとはみんな違う」のスタンスをちゃんと持っておくことを、わたしは重要視しています。

はじめの慣れていないうちは「自分がこの質問だったら答えやすい!」から問いを立ててもよいと思いますが、ひとによってどんな問い・どんな環境があればそのひとの考えや思い、能力が引き出されるかは本当に様々です。

夕食のメニューを決めること一つとっても、

「何食べたい?」とオープンに聞かれるほうが楽しくスムーズに答えられるひともいれば、
「中華なら何が好き?」と食べたいものではなく、好きなものの話から広げる方が心地よいひともいれば、
「外食?家?」「家がいいならつくる?テイクアウト?」と条件分岐的に意思決定を進めるほうがいいひともいます。

ファシリテーターの難しいところは、個々が違うのにも関わらず、往々にしてその場の全体に対する投げかけを求められるところかもしれません。

こういった問いの立て方のスキルの身につけ方に関しても、後ほどまとめて書きます。

3. 構造化のスキル ~かみ合わせ、整理する~
意見や想いを引き出して、まとめる部分では、

【スキル】
◯分析思考
◯ラテラルシンキング
◯ロジカルシンキング
◯クリティカルシンキング
◯ビジュアライゼーション(グラフィックレコーディング)
【知識】
◯思考に関するフレームワーク

あたりの論理的なスキルが必要とされると思います。
いわゆるビジネススキルにも当たる部分といえるでしょう。
「身につけ方」については、知識を習得し、実践するほかないと思いますが、こちらも合わせて、後ほどまとめて記述します。

わたし自身は、グラフィックレコードも行うタイプですが、グラフィッカー・グラフィックレコーダーを生業にされている方のグラフィックは本当にすごいです!いまはタブレットを活用したものもよく見られますね。すごい。

ファシリテーターにもいろいろタイプがあり、
会議など論理的な合意形成にとても強い方、安心安全の場を作り想いを引き出すことに長けている方など、様々いらっしゃいますし、グラフィックレコーディングは門外漢という方ももちろんいらっしゃいます。

グラフィックレコーダーの方にも、論理的なフレームワークをたくさんお持ちの方、講演など予定調和的ではない話の取りまとめが上手な方など、様々なタイプがいるかと思いますので、ぜひチェケラしてみてください(チェケラ…)。

4. 合意形成のスキル ~まとめて、分かち合う~
最後に、引き出した意見の取りまとめについて。ここでは、

【スキル】
◯観察力
◯想像力
◯問いを立てる力
◯コンフリクト・マネジメント(衝突を組織の力に変える力)
【知識】
◯組織の成長モデルに関するもの(U理論など)
◯NVC(非暴力コミュニケーション)

あたりが重要ではないでしょうか。
この合意部分は、状況に応じて本当にやり方が様々だなあと書きながらこれまで参加してきた場を思い返しています。
「結局多数決だった」と参加者が思う進め方は、ファシリテーターとしてはあまりよろしくない、とわたしは思っているので、過去を振り返っては胃がキリキリします(笑)

しかしながら「意見を出しきって、整理しておく」という前工程にかかっているとも感じています。

「わたしはそこにマンションを立てるべきではないと思う」
という表面上の意見だけではなく、その背景にどういう想いや懸念事項があるのか、その懸念事項はさらにどんな背景で生まれるのかということをしっかり引き出しておくと、参加者の創造性やアイデアや柔軟性によって、場がまとまっていく、というのが個人的な所感です。

なんだかとんでもない例文を引き合いに出してしまった気もしますが、この例で話を続けたいと思います。
「マンションを立てると、日が当たらなくなる」ことへの危惧である場合もあれば「マンションを立てると、治安が悪くなる」ことを懸念している場合もあるでしょう。
お子さまが庭で遊べなくなることまで想像して日が当たらなくなると思っているかもしれませんし、過去に治安の悪い地域で過ごしトラウマティックな経験がおありかもしれません。

その背景によって、対処法も、ほかの参加者の意見の捉え方も変わるはずです。

徹底して参加者に対する想像力を持ち、それを想像ではなく、意見や想いといった情報・言葉として場に出せるようにすることもファシリテーターの大きな役目であり、合意形成に必要なものでしょう。


で、結局のところの身につけ方

ここまで読んでいただけると「丁寧にひとの意見を引き出していく問いや環境を作ること」がファシリテーターの役割であることはなんとなく理解いただけたと思います。

そして、最も難しいことが「問いの立て方」であり、それを「全体に対して」投げかけることがより難易度を高めていることもなんとなく理解していただけているのではないかと思います。

ものを学ぶ過程については、①知識を習得し②実践を積み重ねるという方法が一般的だと思いますし、ことファシリテーターにおいては、目の前で生き物を相手にしている分、得た知識だけではどうにもならないことも多く、実践を積み重ねることも非常に重要でしょう。

また「ファシリテーター」という肩書の人も増えているいま、これから身につけたいひとにとっては、なかなか「実践者」となる場を用意することも難しい場合があると思うので、実践の場についても記述したいと思います。


①知識の習得

これまで書いてきたとおり「ファシリテーションスキル」は
◯コーチング
◯ティーチング
◯カウンセリング
◯傾聴力
◯質問力
◯ロジカルシンキング
◯ラテラルシンキング
などといったあらゆるスキルをはらんでおり、それらを複合的に上手に使いこなす必要があります。

また、それを個人・チーム・組織に対して活用することになるので、
◯組織論
◯コミュニケーション手法
◯心に関する概論
などひとと組織に関わる様々な知識もある方が、参加者の力になれると思います。

ここらへんについては、オススメの本や記事をはりつけておくので、一緒に学びましょう!アフィと呼ばれる何かはしてないので、読んで良かった!ってなったら、まわりに広めて著者の方を喜ばせましょう…!(誰だよ)

■ファシリテーションについて
FAJ(特定非営利活動法人 日本ファシリテーション協会)ホームページ

↑ すごい、わたしが読んだとき(2013年?)は第一版でした(笑)

■カウンセリング・コーチングについて

■コミュニケーションについて

■組織論


書いていない本ももちろんありますが、ざっとこれくらいの概要を把握しておいてからは、ずいぶん楽になったなと思っています。

まずはファシリテーションについての知識をざっくりと習得し、コーチングやアサーションで様々な質問の仕方について学び、組織論をいくつか学んでどんなときにどんな問いが適切かを知る、という流れでわたしは学びました。

また、個人的には、会議設計などアタマ系・論理系も好きでフレームワークについても学びましたが、どちらかといえば「全員に安心安全の場を提供する」在り方を重視していたり、グループカウンセリングに近いことを元々やっていたので「NVC(非暴力コミュニケーション)」や「アサーション」「EQ(心の知能指数)」あたりも少し学びました。

②実践の場〜どこで場を持つのか〜

ということで、知識を習得しても、体得できなければしょうがないスキルではあるので、どうやって、問いの立て方や話の進め方のパターンを習得してきたのかについて書いていきます。(もしやここが本論…!?)

問いを立てる、話を進める、と書いていますが、実際のところ「空気を読み、ひとの顔色をひたすら伺う」という話のようにも思っています。そう書くとちょっとネガティブなスキルにも思えてしまいますね…(笑)

しかし、もしわたしの書いたとおり、空気を読み顔色を伺うことで身につくスキルなのだとすれば、実践の場はイベントでなくとも、会議でなくとも、身につくはずなのです。あらまあすごい。

■学校の授業
わたしは高校の授業中に「どうすればこの授業が分かりやすく面白くなるか」をずっと考え、ノートも他の人に見せるつもりでつくり、テスト前にクラスメートに家庭教師をして、自分が立てた仮説を検証する、ということをしていました。その経験が「話の進め方」と「ビジュアライゼーション」の点でとても活きているように思います。

これを読まれている方には社会人の方も多いでしょうが、ひとの説明を「いちばん分かりやすい文章でまとめるなら」「このひとの要点はどこか」「なぜそれに拘るのか」「このひとの話を図解にしてみるなら」という視点で聞いてみると、素晴らしい教材になると思います。

せっかくなので、この文章も、
「具体例」「要点・主旨・主張」「主張の背景・根拠」あたりを意識して書いてみたので、どこがそれにあたるか、分解してみてください。
国語の問題を解くような気持ちになるかもしれませんが、「センター試験の国語評論・小説」は、こういう点においては非常に優れものだったのでは…と思っています。

例えば、オンライン飲み会で「わたしの偏愛」などとテーマを設定し、プレゼンしてみるなんかでも鍛えられそうですね。わたしの偏愛やりたいな〜。

■友だちや家族との会話
薄々感づいているひともいるかもしれませんが、わたしはめちゃめちゃ空気を読むタイプでした。ひとの目を気にしすぎて、身体にストレスが出たこともあったくらいです(いまはのんびり生きてます!!!笑)

ですが、この気にしいな性格によって身についたことも多く、日常会話にアンテナを立てるのは、ファシリテーターのスキルを磨く上でとてもいいのではと思っています。

とくに以下の「なにに気をつけるべきか」というところは、友人や家族との会話の中で実践してみるとよいのではと思います。

②実践の場〜なにに気をつけるべきか〜

上に書いたような場で、実際なにに気をつけるとスキルの向上につながるのか、わたしが実践していたことにはなりますが、書いておきます。

■言葉の定義や使う表現の違いを気にしてみる
「書く」ひとつとっても、「書き上げる」「記述する」「記載する」など様々な言葉がありますよね。その表現を使うのには、なにか想いや理由があるかもしれません。たとえば、先ほど出てきた

国語の問題を解くような気持ちになるかもしれませんが、「センター試験の国語評論・小説」は、こういう点においては非常に優れものだったのでは…と思っています。

という文について考察すると「こういう点においては」というのは「こういう点において」というふうに「は」を書かずともいいわけです。

あえて「こういう点において」としているのは、腹の中ではセンター試験はダメだと思っているのかこのひとは…?

と推察することもできますね。これは「意見や想いを引き出す」ことにおいて非常に重要です。「相手がどんなイメージ映像を作りながら話しているかという視点で話を聴くこと」、「相手の言葉の定義は自分と同じか疑問を持つこと」をオススメしています。

ここらへんは傾聴のスキルに関わってきますが、以下の記事が分かりやすいように思うのでシェアしておきます。


■相手の表情や仕草を気にしてみる
これも上の記事で触れられていることと思いますが、表情に出ずとも腕を組む、頭や鼻をかく、身体の表面に出てくる情報をしっかり受け止め、推察に活かしてみましょう。

■原則を守り、傾聴をする

◯自分の意見やアドバイスを述べない
◯ひとの話を奪わない
◯相手を評価しない

ことをして、話を聴くというのは案外難しいものですが、コーチングやファシリテーションにおいては非常に重要なスタンス・スキルです。

「わかる〜!」「そういうことあるね!わたしも昨日さ〜!」
「え〜!それちょーいいじゃーん!」ということをしない。重要です。
(ギャルみたいな言葉遣いになりました。わたしはギャルを尊敬しています。)

「ロジャースの三原則」としてカウンセリングでは守るべきこととして挙げられていると思います。

■場の雰囲気を変えてみる
末っ子ってすごくないですか?(突然)

その場を急に明るくしたり、みんなの注目を一手に引き受けたり、そんでもって「きゃーかわいいねー!」みたいに喜ばせたり、なんだか心配させてみたり、ときには暗くさせてしまったりするじゃないですか。あれを意識してやってみてください。暗くはさせなくていいです。

ただ「自分の一言で、みんなが同じ課題について考えてもらう時間をつくる」「それを楽しくやってもらう」とか
「みんなにこれ微妙じゃない…!?イケてないよね…!?というなんとも微妙で言いづらかった会話を、安心してやってもらう」とか、場をこのように作り変えたいから自分はこう立ち振る舞ってみるという経験をひたすら積み重ねることが、ファシリテーターへの近道だと思っています。

レッツ!全員末っ子!
(わたしも末っ子ですし、末っ子やたまたまの生まれ落ちた順番での偏見は持たないです。。。比喩表現ですからね。。。姉ちゃんいつもありがとう。。。)

■自分の心を整える
ファシリテーターも参加者になりうりますが、ひとの力を引き出すことや、場を促進する役割が最も大きいです。
ときには「参加者が沈黙していても、ただ待ってみること」「参加者の怒りや悲しみを受け止めること」をすることもあります。

沈黙が怖い、怒りが怖い、ひとの感情に引っ張られてしまう、といった状態では、場を促進する自分自身が、場を停滞させてしまう要因になる可能性もあります。

誰しも心の好不調はありますが、それを冷静に捉え、ある程度コントロールすることも必要なので、自分の心への問いかけも日々の練習のひとつとしてやってみるといいのではないでしょうか。

さいごに

途中、国語の教材かこれは…?と思う部分もありましたが、お付き合いいただきありがとうございました。

ここまで書きましたが、わたしもまだファシリテーションは始めて7年くらいで、これだけをやっている!という専門ではないですし、ぺーペーです。かつ独学で学んできた身なので、自分のスキルや知識にはいつも不足感をもっています。

あらゆる賢くて素敵な大人たちが、本や研修として、世にノウハウを残していることに感謝しつつ、これを読んだ方が仲間として一緒に学べると嬉しいですね。
ノウハウ、の話でいくと、いいファシリテーターやいい師に出会うことも、大事なように思います。本物のいる会議は終始「 ファ〜〜〜〜〜〜〜!すげえなんでこんなスムーズに全員心地よくできんの〜〜〜〜!?」と感動しっぱなしになります。

あと「対話型組織開発」という本が欲しいです!!!

読んだ方いらっしゃれば感想ください!!!

今回は「学び方」に留めました。ノウハウや具体的なパターンは、所属する組織や、「ファシリテーションスキルを身につけたい!」というご依頼に還元していきたいと思います。
基本的には組織やひとに関する悩みごとの流れでファシリテーションが必要だからやろうということが多いですが、「会議したい!頼んだ!」や「ワークショップの企画はやったから進行だけ!」などもお受けしております〜。ということで、どこかでご一緒できますように!


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わたしが楽しく書いているだけ、と思っちゃうので、サポートしてくださって嬉しいです!!!うわーい!