心の傷_絵2_20180314島津

精神科の診断名や、障害名にとらわれない方が、楽に生きられる

障害とか、病気は「デリケートで触れづらい」と感じる方も多いと思います。

個人的には、もっと色々な方が意見を言ったり、質問をしたりして話をしていけたらいいなと思っています。

私は、精神科の診断名や障害にあまり捉われない方が楽に生きられると思っています。これ、完全に実体験の話で、他の方にも「捉われるな!信じるな!」と言っているわけではないです。

ただ、精神科と長く付き合っていると「診断名って本当にハッキリつけられないものなんだな」と思うことが何度もあるのです。

たとえば、6年前私は心身の調子を崩して会社を辞めました。朝礼のときになると、気持ちが悪くなってうずくまって一歩も動けなくなっちゃったんです。冷や汗が浮かんで、めまいがして、涙が止まりませんでした。

「これはなんだ?なんなんだ?」と会社を早退して、精神科に行ったら「自律神経失調症」と診断されました。

その病院は会社に近いものの、自宅からは遠かったのもあり、また調子が悪くなったときには、別の病院に行きました。

そこでは「適応障害」と言われました。かなり強い薬を出されるのが不満で、3ヶ月くらいでまた病院を変えました。(※こんなに病院と転々とするのは、ドクターショッピングと呼ばれ、決して望ましい行動ではありません。)そしたら今度は「鬱傾向のある、不安障害」って言われたんです。

もうね。混乱です。

なんで診断名がこんなにコロコロ変わるの??と。

あまりにもワケがわからないので、その後2、3年くらいかけて精神病理についてや障害についての本を100冊以上読みました。病気って何?障害って何なの?と。

自分で調べて、薬を飲んで、自分の心と体の変化を記録して、さらには精神障害のある人たちとたくさん会って、専門家の人の話を聞いて、ようやく少しだけつかめるようになってきました。

6年かけてわかってきたことは「診断名や、障害名は絶対じゃない」ってことです。

「DSM-5」っていう、精神障害の診断や統計のマニュアルもあります。これは世界的な診断の基準となっているのですが、これだってずっと変わらないわけではなく、改訂されています。(だから5なんです)

精神障害はかなり分かりにくいところがあるので、知的障害を例に出させてもらいます。たとえば、今はIQ70以下の人が知的障害と診断されます。

じゃあ、IQ71の人は知的障害じゃないの?って話じゃないですか。

「71はギリギリ知的障害に入るんじゃない?」なら、73は?75は?どこで線引きするの?って話です。

さらにIQテストの結果って、けっこう変わるんです。特に子どもとかだと、去年は70だったから知的障害と言われたけれど、今年は上がっちゃって80だから、知的障害の範囲じゃなくなったとか、わりとよくある話です。

これ、発達障害や、精神障害に関しても言えることだと思うんです。

もちろん、診断名が使えないって話ではありません。診断を受けるとアプローチ方法がわかるとか、必要な支援を受けられるようになるとかのメリットもあります。

でも、「どこからが病気?どこからが障害?」ってとてもむずかしい。グラデーションだから、くっきり区切ることはできない。だから、時と場合によって診断名が変わることだってある。

個人的な話をさせてもらえば「発達障害だから、人と接する仕事はムリかな…」とか考えていたときは生きるのが苦しかったです。

「自分がもっと心地よく生きていくには、どうしたらいい?もっと、自分らしく生きていくには何が必要?」という順番で考えるようになって、少し楽になりました。

だからこそ、私は「○○障害の△さん」って覚え方は、基本的にしません。病気や障害はその人の一部です。それでも、すべてではありません。もっと他に、その人をよく表す言葉って誰でも一つはあるはずなので、それを探していきたいのです。

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