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学習時間をどうやって捻出する? ―オンラインで海外大学院に行こう! マガジン #24

こんにちは。
岸 志帆莉です。

このマガジンでは、「オンラインで海外の大学院に行く」というテーマで定期的に情報をお届けしています。

マガジンをご覧くださっている方から、日々の学習時間について質問をいただくことがあります。

― 大学院では毎日どのくらい学習時間が必要なの?
― 学習時間をどうやって捻出するの?

忙しい社会人の皆さんにとってはとても気になるところかと思います。

そこで今日は大学院での学習時間とその捻出方法をテーマに考えてみたいと思います。


普段の学習時間について ―私の場合

大学院とひとことで言っても、推奨される学習時間はコースによって異なります。たとえば私が聞いてきたなかでは、週あたり10時間前後から30時間以上までかなり開きがありました。志望するコースについてはあらかじめ確認しておくといいかもしれません。

ご参考までに私が通っていたユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の例をお話しすると、一科目あたり300時間程度が推奨されていました(※教育学修士課程の場合)。一日あたりに換算すると二時間半程度です。社会人にとっては「多いな……」と感じられるかもしれません。仕事や子育てを抱えていると、一日あたり二時間半を捻出するのは至難の業です。

ただ申し添えておくと、毎日かならず二時間半確保しなければならないわけではないのでその点はご安心ください。これまでもお話ししてきたとおり、オンラインコースではかなり時間の融通がきくので、一週間から二週間単位で帳尻を合わせられれば何とかなります。私も平日はまとまった時間がなかなか取れなかったので、よく土日のどちらかを学習日にしてキャッチアップしていました。社会人学生の多くはこうした工夫をしながら乗り切っておられるようです。土曜日は学習、日曜日は家族の時間というふうにルールを決めておくとバランスが取りやすくなります。

さらに、一日あたり二時間半というのはあくまで学期期間中に必要な学習時間です。海外の大学院では長期休暇も多いので、年がら年中このようなスケジュールで学習を進めていくわけではありません。たとえばUCLでは一年を4学期に分けるクオーター制がとられていました。一学期は11週間で、そのあと最終課題に取り組むための期間が一ヶ月ほどあります。これらをトータルすると4ヶ月弱くらいになります。この4ヶ月間だけ学習に集中できればいいということです。仮に年間あたり2科目履修する場合、合計学習期間は8ヶ月ほどになります。この8ヶ月間さえ学習に集中できれば、のこりは仕事や家庭を優先できます。

ちなみに学期の合間には約二週間の休みがあり、旅行に出かけたりなどプライベートともバランスを取ろうとしている方もいました。(※ただし修士論文の期間はかなり多忙になるのでこの限りではありません。修士論文をどこにもってくるかが社会人にとっては重要なポイントかもしれません)

ある一日のスケジュール

ちなみに私が大学院にいた当時の典型的なスケジュールを書き出すと、次のようになりました。

一日のスケジュール(例)
7時頃:起床
9時半~18時:就業
18時半頃:帰宅、夕食づくり
19時:夕食
20時:お風呂、片付け等
21時:学習スタート
24時:学習終了、家事&翌日の準備等
25時:就寝

私は当時まだ子どもがいなかったこともあり、夜の時間は比較的自由に使えていたかもしれません。小さなお子さんがいるご家庭等ではもっと違ったスケジュールになるかと思います。一方、子どもがいなかったころは残業を多くこなしたりもしていたので、毎日必ずしもこのスケジュールで過ごせていたわけではありません。仕事が忙しいときは学習をペースダウンしたり、体調が優れないときは思い切って学習から離れてみたり、生活や心身の状態に合わせてペースを都度調整していました。

どうやって学習時間を捻出するか

前置きが長くなりましたが、このあたりから今日の本題に入っていきたいと思います。忙しい社会人が学習時間を捻出するにはどうすればいいのでしょうか。いろいろなやり方があるかと思いますが、私はおもに二つのことを心がけていました。ひとつはものごとを「効率化する」こと、そしてもうひとつは思いきって「やめてみる」ことです。これらは子育てがはじまった今でも心がけていることです。それぞれ詳しくお話しします。

アイデア① ものごとを効率化する

多くの人が毎日なにかしら時間を費やすものに家事がありますが、工夫次第でかなり時間を短縮できます。ポイントはデジタル化です。たとえば平日の買い物はネットスーパーに頼る、ホットクックや食洗機のような時短家電を導入するなどの手があります。また家事を「定型化」することでさらなる時短につながります。常備品はリスト化しておく、一週間のメニューをざっくり定型化しておくなど、工夫次第でかなり効率化できます。

さらに家のなかの環境を整えることでさらなる効率化が期待できます。このあたりについては、下の記事で詳しくお話ししています。

アイデア② 「やめる」ことも大事

またやらなくていいことは思いきってやめてみるのもおすすめです。最近では「ヤメ家事」という言葉もよく聞かれます。やらなくても案外家庭がまわることはたくさんあります。洗濯物はたたむよりもハンガーを活用する、外食やテイクアウトも活用するなど、自分なりの手の抜きどころを検討してみてはいかがでしょうか。最近では家事支援サービスなどもかなり普及しています。我が家でも夫の単身赴任をきっかけに利用しはじめましたが、月に一度でもプロに来ていただけると負担が軽減できるし、精神的にも楽になります。さらに我が家はすてきなハウスキーパーさんとの出会いがあり、子どもたちにも温かく接していただけたのは思わぬ幸運でした。

【おまけ】 「家事時間」を「家族時間」にする

ちなみに、大学院に行くことで子どもとの時間が減ることを懸念される方も多いかもしれません。もちろん家族との大切な時間を犠牲にしてまでやることではありません。ただ工夫次第で家族との大切な時間を守ることはできると感じています。普段私が心がけているのは「家事時間」を「家族時間」に変えるということです。日々発生するルーティンを子どもと一緒にやってみる、家のことを子どもたちと分担してみるなど、一言でいえば「お手伝いをしてもらう」ということです。

お手伝いといっても子どもが嫌がることを無理にしてもらうという意味ではありません。子どもが関心を持ったことを親子で一緒にやってみれば、その時間が大切な親子の時間に変わります。たとえば子どもがお米研ぎに興味を示したら一緒にやってみる、一緒に野菜を洗ってみるなど、遊び感覚でできることはいろいろあります。ボタン一つでできる家事をお願いしてみるのもおすすめです。たとえば我が家の長男は家電が大好きなので、お風呂の給湯スイッチや食洗機のスイッチなどは長男にお願いすることにしています。さすがに毎日子どもと一緒になにかをするのは大変ですが、ボタン一つでできることなら親も気軽に取り入れられるのではないでしょうか。子どもが大きくなるほどできることが広がり、親にとっては家事時間の短縮につながります。実現できればお互いにとってもwin-winですね。

実はお手伝いにはさまざまな教育効果があることがわかっています。子どもたちは家庭での手伝いを通して、協調性や自立心など生きるために必要な資質を学んでいきます。これらの「非認知能力」と呼ばれる能力は21世紀を生きるうえで欠かせない力として今あらためて注目されています。お手伝いはこれらの能力を磨くうえでとても理想的な方法なのです。自分がしたことでパパやママが喜んでくれたら子どもにとってもうれしいはずです。

今日は学習時間の捻出と私生活との両立について考えてみました。自分なりの工夫を通して、両立への道筋を見つけていきたいですね。

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