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【SS】隣の席の変なやつ(559文字)

小学校で隣の席だったカズキは、コンパスで机に開けた穴に鉛筆を突き刺して、周りに数字を書き込み、日時計を作っていた。
座席が変わると日の当たる向きが変わるので日時計は狂う。
だから席替えのたびに数字の位置をずらして作り直していた。
黒板の上にちゃんとした時計があるのにな。 

変なやつは虐めたくなる。
ある日カズキがトイレに行った隙に、机に刺さった鉛筆を抜いてやった。
ついでにコーラの香り付き消しゴムのカスを丸めて空いた穴に詰めてやった。
席に戻ってきたカズキは、壊された日時計と穴に詰められた消しカスを見て、俺を見た。
怒るわけでもなく、憐れむように。

その日から、俺は何だかちょっとだけおかしい。
炭酸を飲むと、時間が異常に早く進んでしまうのだ。
気づかぬうちに2〜3時間は過ぎている。
コーラを飲んだ日なんて、気がつくと5時間も経っている始末だ。
その間の記憶はなく、俺が何をしていたのか知るすべもなかった。

仕方なく俺は炭酸を飲むのをやめた。
まあ、別にたいしたことじゃあない。

新社会人になった今、俺はうっかりやらかしたみたいだ。
「最初はビール」にノセられて、意気揚々と飲んでしまった。
気づけば飲み会は終わっている。
上司、先輩、気になるあの子が俺を見ている。
気まずそうに、憐れむように。

「変なやつ」になる呪いはまだまだ解けてくれなさそうだ。

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