「やりたいこと」がなかった私が「やりたくないこと」を可視化してみた結果
ここ最近、自分の考え方が以前と比べて変わってきたように思う。
「何が」と言語化するのは難しいけど、少し前向きになったというか、柔軟になったというか。
いつからだろう?と考えてみると、たぶん自分の「やりたいこと」が見つかってからだと思う。
小学生や中学生の頃はやりたいことも将来の夢も途切れないほどたくさんあったが、高校に入って現実味が増した途端「自分が何をやりたいのか」「どうやって生きていきたいのか」全く分からず、思い浮かばなくなってしまった。
高校を卒業した後は短期バイトを繰り返し、自分はどうしたいのか自問自答を繰り返す毎日で、どんどん心が病んでいった。
それでも何も絞り出せなかった私は、現状を打破するためにとりあえず「やりたくないこと」を可視化することから始めようと思った。
「やりたいこと」が何もない代わりに「やりたくないこと」はたくさんあったので、「やりたくないこと」の中でも「絶対にやりたくないもの」と「割り切ればやってもいいと思えるもの」に振り分けることにしたのだ。
そして、割り切ればやってもいいかなと思えた接客業を、大好きな趣味に関連する場所でやってみたら、もしかしたらそれが生きがいになるかもしれないと思った。
実際に一つ一つ仕事ができるようになっていくことにとてもやりがいを感じた。「なんだ、私自分で思ってたより出来るんじゃん」という自信にも繋がった。
しかし仕事に慣れると、当然だが新鮮味はなくなった。
用意された受け答えやクレーム対応に、ルーチン作業。"当たり前"のことばかりになった。 それにつれて、段々「なんか違うのかもしれない」と思うようになってしまった。
そしていつしか、毎日同じことの繰り返しにストレスを感じるようにもなった。
私の、数少ない「割り切ればやってもいいと思えたもの」でも結局こうなってしまった。今辞めてしまったら、きっとすぐ次の仕事には就けない。高校を卒業して人生の路頭に迷っていたあの頃には戻りたくない……
とても悩んだ。一度はこのまま続けるという選択をしたが、モヤモヤはなかなか拭うことができなかった。
極端かもしれないが「自分はこのまま終わるのだろうか」と何度も考えた。そして私は辞職することを決めた。
そんな時、たまたま同じタイミングで私が書いた文章を読んだ職場の上司と、仕事関係ではない知人が「そっちの方も考えてみたら?」と言ってくれた。
文章を書くことは特別「やりたいこと」ではなかったが「やりたくないこと」でもなかった。
そもそも意識すらしていなかったのだが、日頃からLINEのタイムラインに思ったことを書いてみたり、職場で感想文を書いたりしていて、好きか嫌いかで言ったら「好きなこと」なんだろうなと思った。
とりあえず、まずは"誰かに読んでもらうことを意識する"ことから始めようと思い、noteに登録した。
自分で書いて、他の人の文を読んで刺激を受けて、また書いて…を繰り返しているうちに、いつしかそれが私の「やりたいこと」になっていた。
文章を書きたい。
誰かに読んでもらいたい。
私の文章が、その誰かにとって意味のあるものでありたい。
今は、これを仕事にできたらいいなと思っている。
「やりたいこと」が見つかると、仕事に対する考え方も大きく変わった。
以前は「私はこんな業種のこんな職種を○年やっています」と言えないことが後ろめたいし、情けないし、恥ずかしいと思っていた。
家族親戚の方針もあり、非正規雇用であることにとても罪悪感を感じていた。たとえ腰を据えて働いていたとしても。
しかし、noteでさまざまな人の生活や考え方を知ったり、クリエイティブな人たちを見ていると、働き方も働くことの意義も本当に人それぞれで、仕事に定義なんてないんじゃないかと思うようになった。
肩書きというのは、自分が何者なのかを一言で表せるとても便利なものだ。だったら尚更、一つじゃなくてもいいのではないか。オリジナルでもいいのではないか。そう思うようになった。
肩書きのない今の私は、何者でもない分、何者にでもなれるような気がしている。
それから、自分とは違う意見に遭遇しても「私はこう思ってたけど、そういう考え方もアリかもな」と思えるようになった。
少し視野が広がって、自分の中で色々なものに対して勝手に掛けていたフィルターがどんどん薄まっている気がする。
実はこの記事を書こうと思ったキッカケは、これまで興味を持てなかったジャンルの音楽を聴いた時に「あれ?良いじゃん」と感じたことからだった。
傍から見たら些細なことかもしれないが、余計なこだわりを捨てられたのは私にとって大きな変化だと思っている。
仕事はほとんどしていないようなものだし、生活的に苦しいこともあるが、"あの頃"とは明確に違う。
霧が晴れてストレスフリーになった今は、文章を書くことと、そのほかにもやってみたいことがたくさんある。
面白そうなことにはチャンスあらば飛びつきたいし、そのためにアンテナを張っていたい。
もうあと一ヶ月で年度が変わろうとしている。新しいことを始めるにはちょうどいい時期だ。
今度は「やってみたいこと」を可視化して、一つ一つ手をつけていく。
そんな"挑戦の年"にしたい。