田中泰延 × 今野良介『会って、話すこと。』発刊記念トークイベント
どうも、砂糖塩です。
例の2人がまたも愛を見せつけ合うなど書籍化され、「自分たちの愛を地球に知らしめてくれないか」とご依頼いただき執筆に至ります。
はじめましての方も、ご無沙汰の方も、読みたいように読んでください。
早速、例の2人のご紹介へ移ります。
『会って、話すこと。』のイベントにも関わらず、読者の方と「会って、話すこと」せずして何故PCに向かっているのか私自身理解し難く、少々バグが起きるかもしれません。
間違っている箇所があればツイートで教えてください。今野さんの写真がいつもと違うだとか、そういうことが「もし」あったなら教えてください。
はじめに
当イベントは本の目次の順と並行して進むため、該当箇所に当たる部分で「何だったけ?」という時には読み返せるように該当ページを記しています。
だからといって、本を買ってから記事を読もうだなんて思わなくていいです。記事を読んでから買うのも良し、買ってから読むのも良し、買ってから買うのも良し。いずれにせよ買うのです。
また、本記事は画像の読み込みができなくなる恐れがあるため、全画像の下部にスライドと同じ文章を載せています。ネット環境が整った場所かつ時間の余裕を持って読むことを推奨します。
それでは、やっと会えたね。
『会って、話すこと。』トークイベント開幕。
会場は、なんと。
なんと。
なんと。
梅田第1ビルでもなく!梅田第2ビルでもなく!!梅田第3ビルでもなく!!!梅田第4ビル!!!!でもなく!!
梅田一のオシャレスポット、「梅田 蔦屋書店」。
当イベントはなんと一日で完売。チケット難民も続出だったとのこと。お客さんはこの日のために愛媛や札幌など遠くから参加していました。それは田中泰延氏が地球始皇帝に即位したからなのか、コロナ禍でようやくイベントを開催できるようになったからなのかはご想像にお任せします。
2021年10月13日、2人は梅田 蔦屋書店へ書店巡りをしています。その時に今野氏は「ここでイベントをやりたい。」とツイートしていました。それが、2ヶ月後に叶ったのです。
一方、田中氏は梅田 蔦屋書店で何やらこんなたゆまぬ努力をしていたんですね。よそよそし過ぎて涙が出ません。
登壇者の2人が登場する前に、梅田 蔦屋書店の方が田中泰延氏について「地球始皇帝に即位」と紹介されていました。もう誰も彼を止めることはできない。
会場では今か今かと2人の登場を待つお客さんの姿が。そして、2人の登場と共に力強い拍手が鳴り響いた。いつぶりだろうか。ようやくこうして皆で集まって、イベント開催に至ったのである。満員御礼のイベントブースのすぐ横では、カフェスペースで仕事をしたり勉強している人で溢れかえっていた。そんな中、地球始皇帝と彼が愛する今野良介氏のイベントが始まる。
12月3日「今日はなんの日」
イベント当日、12月3日。
梅田 蔦屋書店さんとは裏腹に、長州力さんのお誕生日。何が裏腹なのかは聞くでない。
何故、長州力さんの写真をすべて貼り付けようと思ったのかわからない。わからないが、そうしなくてはならない気がしたのだ。長州力さんといえば、Twitterで物議を醸し出していた桃李(本垢)さんが唯一リスペクトしている方。
続いて、以下箇条書きにて簡略する。
田中氏の手にかかれば上記をスライドにするだけで60枚ある。なんだなんだと気になる方は一度でいい。彼のイベントへ足を運んでみて欲しい。「大阪と言えばユニバ!!」へ行くより物凄いエンターテイメントが待っている。知らんけど。
そこで、上記から1つだけ驚きがあったので紹介する。
「絵音はいつも驚いている」
これは盲点だった。今、「ほんとだ!」と思ったあなた!!だから、何!?!!砂糖も思った!!だから、何?
そして、田中氏は衝撃の事実を口にします。皆、気づかないフリをしてきたにも関わらず。
間違いなく、ここに居る皆さんは確かに呼ばれていないはず。しかし、地球始皇帝とその愛する者のイベントともなればどうだろう。キャンセルして来ている人がいるかもしれない。
加えて、ここはルクア大阪。田中氏が言うように「ルクア」「グランフロント」「ヒルトンプラザウエスト」「ハービスエント」「ハービス」と大阪の高層ビルが立ち並ぶエリア。このエリアを突破しなくては梅田 蔦屋書店へは辿り着けないのだ。田中氏が梅田界隈でわかるのはこちらのみだという。
「この日は立見の方までいらっしゃる。ありがとうございます。」と田中氏は御礼を伝える。見るからに客席は満席の様子だ。客席に座っている一同は、「立見客もいるのか」と揃って後ろを振り返る。
誰一人、立っていない。
立見客など居なかったのだ。客席からは笑いの嵐が巻き起こる。本当に全員が会場後方を確認したのだ。あの光景は生涯忘れることはないでしょう。
ここからは、田中泰延氏が今野良介氏と2年を経て『会って、話すこと。』を共著として作るも、お金の関係で田中泰延氏の著書となったこと。地球始皇帝に即位したこと。世界は咲の手中にあるため、皆は私のほうにひざまづいて欲しいということ。そんな話を、していました(終)
今野良介が、喋った。
ようやく今野氏が口を開く出番がやって参りました。
(以下、会話文で登場するふたりは「田中」「今野」と表記)
田中「この本は、前提として相手はあなたに興味がないってことを言っています。これは会話本のヒット作もたくさんあるダイヤモンド社さんとしてはどうなんですか。」
「これをストレートに言う人はいないですよね。」と今野氏。「みんな考えたくないことですから。興味があって欲しいと思って話しているけれど、本当はそうじゃないんじゃないかっていうのが田中さんの主張です。」と続けた。
田中は今野に興味がない
みんなが考えたくないことに注目した田中氏。地球始皇帝に即位した者は全人類を掌握している。
田中「これまでも話してるんですけど、この本を書く時に「会話術の本を作りましょう」ってなったから本屋さんで会話術の売れている本を全部買ったんです。40冊くらいありました。
中には100万部、70万部、40万部。大ベストセラーはいっぱいあるけど、1冊を除いて殆どの本に、「相手の話をよく聞きましょう」「相槌を打ちましょう」「頷きましょう」「相手の言ったことをオウム返ししましょう」「大きなオーバーリアクションで、相手の話を聞いてることを示しましょう」って書いてあって。
40冊中、39冊がそんなに同じことを言うってことは、人間はそれが相当嫌なんだなと思ったんですよね。したくないんだと。だから、どの本もまず嫌ごとを言ってるんですよ。人は人の話を聞きたくないし、自分も相手に興味はないし、相手も自分に興味がない、というところからスタートしないと会話は失敗するんじゃないかなということでこの本のスタートラインです。」
田中「そしてこの本の中で言っているのは、これですよ。「外部のこと」を話そう。僕と今野さんも3年半の付き合いで、今野さんとは100回くらい会ってるし50回くらい酒飲みに行ってるんですけど。2ヶ月前、この3年半にして初めて今野さんに、「今野さんて、兄弟おんの?」って聞きましたからね。」
今野「そうですね。タクシーの中で聞かれましたね。」
田中「あれはなんで聞いた?aikoのコンサートへ一緒に行って…」
今野「aikoも一人っ子だから、今野さんはどうですか?みたいなこと聞かれたんじゃないですか。」
田中「で、どっちやったっけ?」
今野「一人っ子です。」
会場に居た全員がこのやり取りを目の当たりにしてしまった。今野さんの家族構成について尋ねた田中氏は、今野氏にまったく興味がない。これぞ、ごく自然な会話なのだ。彼らは会話を続けていく。当イベントでの会話の中にも、本の中で記されている会話の「それ」が散りばめられている。決して難しいことなどひとつもない。では、続きを。
田中「その時、聞いたよな。もう忘れてるけど。だから、どうでもいいんですよ!!相手の細かいことは!」
今野氏はこの言葉に傷ついてはいないかと見ているこちら側はハラハラしていた。すると。
今野「ほんとに僕に興味がないんだなって。」
!!!!!!!!!!
ほらみろ!言った通りだ!!
田中「ないないない。それは(笑)」
密かに「ないないない」と三重否定する田中氏、2人のやり取りを前に客席からは笑い声が響く。
今野氏も田中氏自身の詳しい家庭事情など知らないと言う。しかし、「ふたりの間にはいつもしゃべることがあるんですよ」と田中氏は続けた。
「内容は、何か外部のこと。aikoのこととか、aikoのこととか、あとはaikoのこととか」を、今野氏は話すのだという。
一方、今野氏は「でも田中さんはIZ*ONEの話はしないですよね、僕には。」と拗ねたように言う。「してもわからないだろう」とかナントカこんな話をして読むのをやめてしまうあなたはちょっと待て。
知識とは、「ちょっと知ってること」であり「記憶」。
田中「この本の中では、こういうことも言ってます。僕と今野さんは、いつもお互いの話になって何かの話題を話してるんだけど、その「話題」。「おもしろい会話」のベースは「知識」じゃないかということを言っています。でも、その「知識」っていうのは今野さん。別に賢いとか教養があるということじゃないんですよね。」
今野「そう捉えられがちですよね。知識っていうとね。どういうことなんですか?」
田中「これは「記憶」と言っても差し支えないですよ。例えば、同世代やったら子どもの頃観たテレビ番組、共通のやつあるだろうとか。これぐらいの歳やったら知ってるやろってことの話題を振るとか。つまり、知識っていうのは「知ってること」ぐらいでいいんですよ。
それを言えば割と盛り上がるし、お互いに共通のことで楽しんで育ったんだなとか、わかると思うんですよね。だから、インテリだから会話が面白いってわけじゃなくて。ちょっとお互いに知ってることあるだろうって投げてみたらいいんじゃないかなっていうのがこの本の主張です。」
ツッコむ奴ってのは、ちょっとおもんない奴。
田中「あと、これね。これがすごく大きなパートで、「ボケ」と「ツッコミ」。皆さん、僕は大阪生まれ豊中出身ですけど、大阪生まれの方っていらっしゃいます?」
(会場では半分くらい手が挙がる)
ここから関西人のトークが始まりそうなので読むのは辞めるか・・という大阪帝国以外の者。待て。君らにとっての一番大切な話が始まる。
田中「ありがとうございます。でも、言われません?大阪の人って、例えば東京行った時とか関東の知り合いがこっち来たりしたら「大阪の会話って漫才みたいなんでしょ〜」とか「おもしろいこと言ってよ!」みたいな。でも、そうじゃない。別にボケとツッコミってのは日常会話にはないんだという話をしてます。で、ツッコむ奴っていうのは、ちょっとおもんない奴なんですよね。「ボケ」っていうのは、現実世界への「仮説」が「ボケ」ですからね。ここに無いものを、言葉や、何か言うのがボケ。
だから、現実世界に対する「仮説」っていうのが「ボケ」で、それが毎日の生活を多少は面白くするんじゃないかということです。」
「ツッコミ待ち」じゃないの?
田中「そこで、「そこにはアクリル板ないやろ!」っていうツッコミ。その、言わんでもわかってるツッコミというのは「マウンティング」だろうと。
「お前は今、本当にもしそのアクリル板があると思っているんだとしたら、お前は知能が低いだろう」とか。もしくは、「アクリル板がそこにあるということを演技で受けようとしているお前の志は低い」とか。
そういうことを一生懸命指摘しようとするのがツッコミなんですよね。要らないですよ、そういうマウンティングはという話をしています。」
今野「その話で思い出したんですけど、「ツッコミ待ち」みたいな言葉があるじゃないですか。ボケてる人はツッコまれたいんだろうなっていうふうに思われてる節もある気がしているんですけど。」
田中「ツッコミ待ちね。それも含めて、僕ら大阪の人らは土曜日帰って来たら、なんか冷たいお好み焼きとジャーに入ってるあったかいご飯の組み合わせは最高みたいなことを考えながら吉本新喜劇観るわけですけれども。「ツッコミ」ってのは実は日常では必要なくて、「舞台演芸上の一職務」だとこの本では言っています。ちょっとこれ、観てください。」
こちらは実際にイベント会場で流れた動画です。先に言ったようにイベントブースの横では、カフェスペースで仕事をしている方や勉強している方がいるほど静かです。そんな中、こちらオードリー若林のツッコミ音声が流れます。
ツッコミが面白いという錯覚
田中「これ観てもらったらわかるんですけど、ツッコミの若林が、「よくねえよ!」とか「知らねえよ!」とかって言ってるところで笑いが起こるから、みんな、あたかもツッコミが面白いかのような気がしているんですよ。
違うんですよ。これは、本田仁美がスマホになってあり得ないボケたことを言ってるのが面白いので。そこの面白さを理解した瞬間に「そんなわけねえだろ!」「よくねえよ!」「知らねえよ!」って言ってるところで笑いが起こるから、ツッコんでる人が面白いという錯覚が起こるんですよ。
こんなもの、街中で「知らねえよ!」って言って歩いてたら逮捕されますよ。」
会場には大阪帝国の民が半数を占めていたこともあり、頷きと笑いが起きた。たしかに、大阪の街で「知らねえよ!」などと言いながら歩いている人は見たことがない。
田中「ボケてるのが面白いから、成り立ってるんで。でも、日常会話で東京の人に多いねんけど、何か言ったら「違うだろ!」とかできるだけ被せ気味、食い気味にツッコミを入れればカッコいい、自分が面白い、笑いを取るのは自分みたいなふうに思ってる人がいるんですよね。違う。ボケるほうが、相当偉いんです。今野さん、何かボケとツッコミで気づいたことがあるみたいじゃないですか。」
砂糖はこれほどまで「ボケ」と「ツッコミ」に関して精通している人は居ないと思った。それほど灼熱して話していたのだ。そして、「私は、相当偉いんじゃないか」とも思った。
日常でツッコミは不要
今野「お笑いの審査員をやっている人って、基本的にボケ担当だなと思ったんですよ。志村けんさんとか、ダウンタウンの松本さんとか。多分、ボケるほうがお笑いを評価しているということに気づいて。そこで、その「ボケる」って、ほんとうに難しいというか。」
田中「うん。例えば、デパートの店員と客のやり取りをコントにしよう、漫才にしようと思っても、どんだけ突拍子もないことを客が言い出すかみたいなことはボケが考えなくちゃいけない。ツッコミのほうは、それに「違うだろ!」とか「そんなこと言うわけないだろう!」とかツッコんでればいいんで。基本的にお笑いの頭脳っていうのはボケなんですよね。」
田中「だから、この本で言ってるのは日常でツッコむ必要はないと。それはもうお笑いの職務だから。日常では誰かがボケたらボケを重ねたほうが楽しいですよ。そこで、誰かのボケっていうのは、これがみんなの会話の輪だとしたら、スローインに過ぎないんですよ。」
ここから会場では田中氏と今野氏によるボケのスローインが展開される。
あなたは、上記の会話からボケとツッコミを見分けられただろうか。敢えて引用文としたのは文章内に如何わしい箇所があったからである。そして、答えられなかった者は『会って、話すこと。』またはここまでの文章をもう一度読み返そう。
ツッコミは、「レクイエム」。
田中「で、プロの人はこういうこと言ってるんですよ。ツッコミは、レクイエム。」
田中「銀シャリの橋本さんが言ってるんやけど、ボケっていうのはやっぱりみんなボケたい。でも、ツッコむ人っていうのはボケになりきれなかった人の魂の嘆きというか、レクイエム。」
会場では笑いが巻き起こる。もはやこれは何のイベントだったろうか。こちらの動画を「観たい!」という方は下記の今野氏のツイートリンクから視聴できる。
無理にボケなくても、笑ってたらいい。
田中「ツッコミはレクイエム。言い切ってましたね。皆さんも、できるだけツッコまないでなんとかボケる。ここで、「田中さんは、この本の中でもボケたほうが楽しいって書いてるけど、どうやったらボケられます?私にはできません。」という質問がたくさん寄せられるんですけど。いや、無理はしなくていいと。」
田中氏は微笑み、会場でも笑いが起きる。きっと同じことを思っていた人もいるのではないだろうか。しかし、ボケは無理するものではない。それは、大阪帝国の心得である。
田中「別に何も思いつかんかったら笑ってたらいいじゃないですか。でも、その笑うて済まされへん、誰か面白いボケをかました時に、負けたと思う人が「そんなわけないやん!」って捨て台詞を吐いて、空き缶とか蹴ってどっか行くんですよ。」
会場は爆笑の嵐だ。面白いボケを言った人に対してそこまで嫉妬する。なんて恐ろしい。
砂糖の知る限りでも『会って、話すこと。』を読んで「ボケなければ」と考える人が散見されたので、この記事を読んでいるからには以後、無理をしないでいただきたい。
「ボケ」と「ツッコミ」に関して本記事では目次を6つも設けてしまった。しかし、これは非常に大切な部分である。この部分については、下記の記事で内容とは関係のない重箱の隅をつつく田中氏の写真と共に、あり得ない文字の大きさで面白く書かれているので軽い気持ちで読んでみて欲しい。罠ではない。3分あれば読める。
貶すな、褒めるな、審査員になるな。
田中「はい。あと、これもよく言ってる。審査員になるな。本の中で言ってます。「つまんね」とか言うのは最悪じゃないですか。誰かが一生懸命なんとか笑わそうとしてる、ちょっと良いこと言おうとしてるけど「つまんね」って言うのと同じように、褒めるのも良くないんですよ。「超ウケる」とか「今野さん面白い」とか、そういう人居るじゃないですか。」
地球始皇帝の口調は荒ぶっていた。それほどこの箇所は重要ということだ。
今野「いますね。悪意なく言ってますよね。」
田中「悪意なく言ってる。でも、あれも「つまんね」と言ってるのと一緒で審査してるポジションなんですよね。誰があなたに審査員頼みましたかと。そうじゃない。みんな選手になって、参加しましょうっていうのがこの会話術のビジネス本なわけですよ・・」
何故か会場の皆がにんまりしている。そう、これを読んでいるあなたもお忘れだっただろう。本書は「ボケ」と「ツッコミ」の本ではなく、会話術のビジネス本で・・
「ビジネス本って言っただけで笑うのもどうかと思いますよ」と田中氏自身も笑っている。笑いっぱなしの会場は熱気で外に出ることも、冷水に浸かることも、「ととのう」ことも許されない灼熱サウナ状態だ。
今野氏が「ビジネスも仮説で動いてるわけですからね。」と続ける。田中氏はそうそうと頷き、あるまじき話をした。
これには会場が揺れた。全員がずっこけたのだ。本を手に取って読み返してほしい(120-121頁)。
同時に、114頁の「会話術コラム❷困った時はこけてみろ 〜岸本くんの教え〜」も必読だ。
今野氏は「そうでしたっけ」と何故か照れくさそうに言った。何故照れている。
田中「俺が偉そうに今野さんに、「今野さん、iPhoneって知ってますか?」って言ってんの。あの会話のパートは、僕らは基本的に2人でZOOMしたり、居酒屋だったりしたんですけど、要点しか喋ってないんですよね。
そこでちゃんと会話になるように、馬鹿馬鹿しい会話になるように、今野さんが全部原稿を書いて作ってくれました。だから本当に共著なんです。あれはね。」
・・・納得。そう言われてみればそうなのだが、「共著」とは。
制作中には想像できなかった今日
2021年12月3日。
今野氏が制作過程を振り返る田中氏に語りかける。
今野「それで思い出しましたけど、普通に(この会場に)集まっていただいている状況が制作中にまったく想像できない。」
田中「まっっっったく想像できない!去年から今年にかけてでしょう。いうても今年の9月の終わりくらいまでには、こんなふうにみんなが集まるなんて夢のまた夢だったですよね。ほんと嬉しいですね、これは。」
今野「そうですね。最初は本当に普通の会話術の本にするはずだったんですけど、制作中に泰延さんに会えなくなっちゃって。本当に会えなくなってしまってZOOMとかになって。出る頃にはわからないまま出しましたからね。」
田中「そう。最後のほうずっとZOOMだったよね。だから、この『会って、話すこと。』って本を出しても、一年も二年もこの状況が続いたら「この本はなんなんや。」っていう。会って話せないみたいなことかなっていう話もしていたし。」
「ほんとですね。」そう言い放った今野氏は、本が出来上がった当初こんなツイートをしていた。
田中「最近は飲み屋とかちゃんと夜までやってるんですよね。ついこの間2ヶ月くらい前までは、21時には街真っ暗ですよ。衝撃でしたね。あんなことがこの世で起こるとは。この本を作ってる中での状況は、まず、普通の状況から更に状況が悪くなり。一旦ちょっと良くなり、また今年の夏は最悪に悪くなり。
そして今、ちょっと良くなって本を出せてみんなで集まって会ってお話できるっていうのが、ほんま嬉しいなっていう。本当、読んでくださってありがとうございます。もう、凄いよ。いつも言うんだけど、お金出して買ってくれはって、読んでくれて、こんなイベント来てくれはって。で、写真とかアップして、それをツイートとかしてくれはって。ほんっとにもう・・何でもやってくれはる。もう、お金を持ってくるとこまであと一歩ですよ。来てますよ、ギリギリここまで。」
会場に居た全員がこうして集まれることに喜びを噛み締めていた。砂糖自身も、これが本当の話であり、現実なのだと思い胸が熱くなった。今野氏まで少し潤んでいるようにも見えて目頭が熱くなった。お金の話が出るまでは。
「知らんけど」
田中「あとで僕は帽子をちょっと会場で回しますから、思った金額を入れてね。見えないように。100円だったら100円でいいんですよ。一万円だったら一万円でいい。最後、帽子あそこで回収します。まあ、知らんけど。
この「知らんけど」の効用っていうのも、最近、この本が出てからえらい色んなメディアで「知らんけど」って言葉が出てきて。僕、パクられてるよね。」
読者の感想が「知らんけど」で終わる本を誕生させた田中氏。確実にこの言葉は例外的に商標登録されても良いだろう。本記事をもう少し読み進めると一層そんな気がしてくるのだ。
今野「日経新聞とかでも最近したり顔で「知らんけど」が流行ってるみたいですね」
田中「なあ!何やそれ、したり顔でな。原点を示せ、「これやろ!」っていう。「知らんけど」っていうのは大阪の人、関西の人やったらよう使うでしょ。なんか最後に「んー、知らんけど」っていうふうに。それは「行けたら行く」と一緒で、別に無責任な態度じゃない。
だって、自分の専門外とかちょっと見聞きしたマスコミで言ってたことなんかを受売りするにしても、それは「知らんけど」でしょ。詳しくないんだから。ちょっと意見はしてみるけど、「知らんけど」。これ、東京生まれ東京育ちの今野さんは使われました?」
今野「使わないですね。」
田中「使わない。」
今野「そうですね。使って育ってこなかったですね。最近めっちゃ使ってます。」
「知らんけど」の絶大効果については下記ページでも紹介されており、記事公開から「知らんけど」という言葉を交えて爆発的にツイートされた。30秒で読み終わるのでサラッと読むことをお勧めする。
今野氏による「知らんけど」の効用
最近、「知らんけど」をめっちゃ使うようになったという今野氏に対して田中氏は大興奮し、大笑いしながら「知らんけど!」と言い放った。もはや言いたいだけである。
いかがして今野氏が「知らんけど」を活用するようになったのか聞いてみよう。
今野「著者に対してめっちゃ使ってて。」
田中「著者に!知らんけど!!」
今野「編集って基本、専門家の人にど素人が仕事するじゃないですか。だから、偉そうなこと言うけども何も知らないわけですよ。そこで、ちょっと原稿に物言った時、最後に「知らんけど」って付けるとすっごい便利ですね。本当に。」
本気で使っていることがわかり会場からは笑いの声が漏れていた。東京育ち、出版界のレアル・マドリードであるダイヤモンド社の敏腕編集者、今野氏が「知らんけど」を本当に活用していた。それもこれもすべて地球始皇帝・恋人である田中氏の影響か。
田中「なるほどね。最近はちょっと市民権を得てきたと思うんだけど、この本を出した最初の頃は、「私は「知らんけど」と言われたら本当に腹が立ちます」みたいな感想もあったのよ。」
これには会場で「へぇ〜」という声があがった。恐らく大阪帝国の人間がこの会場の半数を占めていたからだろう。「知らんけど」は生まれた時点で耳にしている。
「知らんけど」VS嘘の「よく知ってるけど」
田中「無責任過ぎませんかって。いやいやいやいや。「よく知ってるけど」って嘘のほうが無責任だと思うんだよね。「オミクロン株の感染力は4倍らしいよ!」・・知らんやろお前!思いません!?知らんよな。絶対、感染疫学の専門家じゃないよなって。そういう人はもう何を言っても「知らんけど」って付けて欲しいなと思います。」
今野「セルフツッコミなんですかね?」
田中「「知らんけど」はセルフツッコミですよ。」
今野「自虐的なセルフツッコミなんですか。」
田中「そう。自分もそんな大したもんじゃないっていう。あと、未来のことを予測できないってことも「知らんけど」に入ってますよね。」
会話のスタートライン「人間は会話をすると、必ず傷つく」
田中「はい。あと、これね。人間は会話すると、必ず傷つくっていうことを言っています。」
田中「会話をスタートさせるってことはかなりリスクがあることで、話せば得をするとか、話せば良いことがあるとか、話せば儲かるとか、話せば圧倒的成長ができるとか、話せば株価が倍になるとか、そういうことは全然ないのであって。
会話すると、何か話しかけても「えー知らんわ」とか「今、話したくない」って言われることもあるかもしれんし、無視されることもあるし、話した内容について馬鹿にされるかもしれないですから。だから、会話をするってのは必ず傷つくんだという前提に立って会話をスタートさせる。」
こちらの話についてはイベント最後の醍醐味である質問コーナー(【質問10】)で深く深く話しているので、必ず読んで欲しい。悪いことは言わない。読むんだ。読め。
スターウォーズ方式
田中「最後です。「書く」より先に「話す」がある。」
最後の予感がまったくしないのはスクロールの米粒の位置でおわかりだろう。なんなら米粒より小さい。最後なんていくらあってもいい。何事も過程が肝心だ。知らんけど。
田中「この2冊の本がありますけれども、どっちかというと後から出た『会って、話すこと。』のほうが内容が先なんですよ。」
田中「「書く」っていう技術は「話す」ことのだいぶ後に習得することなんで。もし、両方持っていらっしゃる方は『会って、話すこと。』を読んでから『読みたいことを、書けばいい。』を読んでいただくと。で、『読みたいことを、書けばいい。』をまだお買い求めでいない方がいらっしゃれば、買って帰るといいことがあるかと思います。この本を買って、年末ジャンボ宝くじを買うと、10億円が当たる可能性があります。」
年末に、『読みたいことを、書けばいい。』を購入された方で「年末ジャンボ宝くじ当たったよ!!」という方がいたらこっそり私に連絡をください。
今野「どっかの映画に似てますね。」
田中「スターウォーズ方式!」
今野「ほんとそうなんです。」
田中「エピソード4、5、6が先に出て、エピソード1、2、3。だから赤い本のほうが、ジャー・ジャー・ビンクスが出てきます。最悪です。」
ジャー・ジャー・ビンクスが出てくる最悪な本
この2冊、実はこんな秘話があったので読み比べてみて欲しい。前述した「ボケ」を考慮した上で、『会って、話すこと。』が生まれたそうだ。そして是非ともこのツイートに関する感想をツイートして欲しい。すると、著者に心あたたまる感想が届く。
一番書くのに時間がかかった章
田中「この本も最後のほうですけど、なんか良いことを言ってます。前の本も、こっちの本も、ビジネス書みたいなところに置いてあったが最後のほうポエムになる変な本と言われています。」
今野「そうですね。最後はポエムにしました。」
田中「そう。でも、最後ポエムっぽく終わるのは、書いてるほうも言葉が追いつかないというか、言葉が追いつかないところを書かないとダメだろう。言葉少なに、「ポエムやん」って笑われるものっていうのは読んでくれはる方を信用してるんですよ。ここまで読んでくれたら、この内容も多分。俺もうまいこと書けないけど、なんか変なポエムみたいになってるけど、わかってもらえるだろうという気持ちがある。今野さんも「いや、わかりますよ。これで。」と言うから、騙されて出しました。」
こうして地球始皇帝の責任はすべて今野氏に降りかかるのである。この記事を読んでいる読者の皆さんは本記事のあの章(「貶すな、褒めるな、審査員になるな。」のあるまじき話)を忘れてはならない。
今野「この章を書く前が一番時間かかってますからね。」
田中「かかったね〜。何回も今野さんに「いや、できてるはずです」とか「もうできます」とか、全然できなかったね。」
今野「そうですね。3日後、明日、5時間後!みたいな。」
今野さんは僧侶のように微笑んでいた。
田中「そう。さっきの「会話すると、必ず傷つく」とも関連するし、『読みたいことを、書けばいい。』って本の内容とも反応するけれども、他人と話す前に、まず自分と話してみたらどうや。自問自答って言葉あるでしょ。自分と喋ってみて、その言葉をかけられて嫌なことはかけなきゃいいし、聞かなくても自分で答えが出せることは出せばいい。
あと、僕が今野さんに言われてハッとしたのは、「相手のことを思いやれ」ってよく言うでしょ。「それは難しいんだ」って今野さんは言うわけ。「相手のことはわかんないから。究極は。他人だから。ただ、もし自分だったらどんな気持ちになるかくらいは自分でわかりますよね。」って俺、今野さんに言われた。」
実際に今野氏がこんなツイートをしていた。
今野「よく覚えてますね。」
田中「覚えてる。」
今野「すごい前に言った気がします。」
今野さんは嬉しそうに笑う。会場に優しい空気が漂う。この空間も、「会って、話すこと。」の醍醐味だ。
田中「それが本になったんですよね。それはできるじゃないですか。誰だって。自分がそれ言われたら嫌だなとか、自分がそれされたら嫌やなとか。『読みたいことを、書けばいい。』っていうのは、自分がそれ読まされたら嫌やなっていうのは書かないようにしましょうよっていうことですよね。
で、ここはポエムの極みで俺も何言ってるかわかんないんですけど。」
タナカ・ポエミー・ヒロノブ発動
途端に会場では笑いが起こる。そういえば、前回『読みたいことを、書けばいい。』の時に出した記事の第1部【質問1】にタナカ・ポエミーヒロノブという人物がいましたね。気になる方はお読みください。
田中「「わたし」と「あなた」の間に「風景」がある」っていうね。この「風景」っていうのが僕は何かわからないんですよ。でも、そうとしか言いようがないからこうなってるんで。何だろうなっていうのがあったら、「私はこう思う」っていうのをここにお寄せいただけたらと思います。」
今野「今日は皆さんじゃないですか。この風景ですよね。」
田中「そう。そうなの。俺と今野さんの間に、今日この風景がある。皆さんと俺の間に、今野さんがある。「眩しい!」みたいなことですよ。」
ちょっと何言っているかわからないのでスルーしよう。本書には「なにを言わないか(219頁)」についても書かれている。
田中「相手のことをじっと見るというよりも、そこにある、ここの場が思い出ですよね。なんか起きたっていう。来てくれたっていう。めっちゃ顔見えてるし。マスクしててもわかるもんね。」
今野「本を作ってると、読者の方に会う機会って本当に少なくて。多分、皆さんが思っている以上に少なくて。本が売れれば生活は成り立つわけですけど、やっぱり誰にどういうふうに読まれたかっていうことを聞けるのが一番嬉しいし、次への活力になるので。なんていうか、感想とかもしあれば著者とか編集者はすごい喜ぶと思いますね。」
田中氏はひっそり声の割にはマイクを通して、「あとお金。」とまたもや今野氏の感動にお金を匂わしてくる。会場は感動と笑いで忙しい。
地球始皇帝、22分毎にエゴサ。
田中「誰がお金送ってくんねん!でも本当に、何かアップしてくれたら嬉しいです。俺らね、この『読みたいことを、書けばいい。』のあらゆるツイートとか、インスタとか、書評とか。それから『会って、話すこと。』100%読んでますからね。毎日、22分ごとぐらいにエゴサ。」
22分という微妙な間隔に頭を抱えるお客さんと共に、「その小刻みさがよくわかんないんですけど」と自身でもわけのわからない田中氏を他所に、今野氏は笑いながらも続ける。
今野「これ本当なんですよ。「あ」で辞書登録して『会って、話すこと。』って登録してますもんね。」
田中「そうそうそう。パッって出るもんね!あと、「こ!」って入れたら「今野良介!」って出てくるし。」
皆、何を見せられているのだろうと思いつつふたりの愛らしい会話を目の前に笑っている。
田中「でも、おかげさまでね。この『会って、話すこと。』本当にたくさんの感想をいただいたんですけど、全然悪いこと言われなくて。俺達、出す時に「こんなおっさんがキャピキャピと会話してるパートのある本とかもう大批判やろ」って言ってたんだよ。ふたりで。悪評といえばAmazonレビューで最初に書かれた「立ち読みしたけどくだらない本でした。」っていうあれ一個だけやったね。出だしがあれやったね。」
今野「なんで星2個ついてるんだろうっていう。」
田中「そうそう!星2個やった!!立ち読みしてくだらなくても星2個だったんですよ。それで「やったあ!」って言いましたから俺ら。「星2個!?」みたいな!
でも、最初の感想がそれやから、「あー、やっぱこれ来たよ」と思ったけど。その後、有り難いことにそんなにボロクソ言われないんですよ。この中に、まさかボロクソに言ってここに来た人居ないですよね?そんな奇特な人いないですよね!?!!」
こっちがヒヤヒヤするような問いかけを会場へ投げた地球始皇帝。当イベントには、当然の如く2人のイベントに初参加の方も居る。ボロクソに言っている人が居てもおかしくはないのだ。犯人は現場に戻って来たりする。私は何を言っている。
田中「ありがとうございます。で!いよいよですね。今回は。ここまでが前説なんですよ!ふたりの!!」
え、マジ??と思ったのは会場に居た皆さんとこれを読んでいる皆さんと私である。ここまでで約15,000字超。皆さま、お疲れさまでした。それではさようなら。
と、言いたいところだが。
皆の衆!質問、聞こうじゃないの!!
イベントではお客さんからの質問が最も主役である。誰かの質問は本人だけの疑問や悩みではない。必ず誰かの悩みでもある。そんな質問がたくさん集まっていました。会場が頷きで縦揺れしました。ご自身が聞きたかったこと、当てはまること、ヒントになるもの、きっとあります。イベント時間は残り30分を切っている。
それでは、いざ、行かん。
【質問1】引き出しの反対は?
田中「さかなさんいらっしゃいます!?今日来てないの?あっ、そうですか。あっ・・そうなの・・」
今野「名乗れないかもしれない。」
田中「まあ、魚類ですしね。さかなさん、「相手の興味がどこにあるかわかんない」ですね。他人だからね。空回りしますと。」
田中「あのね、探るとか引き出すって、そんな傲慢なことしなくていいと思う。そんな必要ないと思う。」
田中「でもね、大体無視されるんですよ。でもやるんだよ!!
引き出すって言うけど、引き出すの反対って知ってます?引き出しの反対。」
咄嗟に投げかけられた質問に、会場に居る皆が必死に何だったかと考えている・・
田中「押入れ。」
田中「気づかなかったでしょ。今、「ほぉ〜」って声でましたね。すごいでしょ。いろんなところで言ってください。無視されますから。「引き出しの反対って押入れなんやで〜」って。はい!今野さんの答え!」
田中「なんなんや!それは!」
今野「YUKIさんの「JOY」って曲があるんですけど。“運命は必然じゃなく偶然で出来てる”って歌詞があるんですよね。あれ、その通りだなって思いながら聴いてたこと思い出して。
きっと、相手の興味を手探らなきゃいけないとか、何かをきっかけに引き出さなきゃいけないって思っていらっしゃると思うんですよね。コミュニケーションを意図的に何かしよう、したほうがいいんだ、しなきゃいけないんだって思ってると思うんですけど。
多分、それだと何かこうたまたま響き合った話とか「えっ、お前も知ってんの!」みたいな反応がなくなると思うんですよね。偶然そのものが響き合った時に、JOYが生まれるだろうってことをYUKIは言ってるんだろうなって・・」
今野氏は途中、自身で吹き出してしまった。いや、歌詞と境遇はそのものだと頷き聞いていたが、話していた本人が急に照れ臭くなったのだ。やめろ。
田中「YUKIを代して。でも、そうね。俺、本出してからよくインタビューとかされるようになったじゃないですか。だから、「こういう話の持って行き方にしましょう」って思ってやってくるインタビューって本当に疲れるんです。だから、引き出そうとしないでください。話の流れでJOYですね。」
今野「そうですね。偶然JOYに出会ったほうが面白いんじゃないですかっていう。」
田中「はい!僕もJOYさんが好きです!」
ここで私は気づいたことがある。JOYさんではなく、YUKIさんだ。これがマウンティングと呼ばれる一例です。では、次の質問!
【質問2】振り返った時、何を覚えていますか?
田中「まつばぼたんさん、いらっしゃいます?ありがとうございます。この質問、塾講師でお相手は塾の生徒さんて若い人ですよね。岡田さんがこんなこと言ってました。」
田中「うん。」
田中「そう。つまり、こっちが聞けばいいと思うんですよ。何を話したらいいかって。年上だからって話題を提供しなくちゃって思ってるかもしれないけど、こっちが聞けばいいんですよ。こういうことを。
うち、おばあちゃんいるんですけど、おばあちゃんが一番喜ぶのは、おばあちゃんに聞くことなんですよ。「おばあちゃん、アレ、どこにある?」とか。わかってるよ。でも、おばあちゃんに聞くんですよ。おばあちゃんはキリッとして教えてくれるし、本当に知らんことやったらもっと喜ぶし。俺は。だから、こっちが聞くほうがいいんじゃないかなと思います。今野さんの答え。」
田中「なんなん、これ。どういう予備校なん。」
今野「まず、田中さんの答えには僕も凄く同意で。教えている側が教えられる側になるっていうのは凄く良いと思うし、対子どもに対してでも先生として接するというよりも、相手に興味があることを話してもらうことで逆の立場にさせるって凄い良いことだと思うんですね。それはそれとして。
僕は、代々木ゼミナールってところにいたんですけど、英語に西谷先生って人がいて。最後にアンパンマンのマーチを歌うんですよ。元気付けるために。」
田中「先生が?予備校で?」
今野「そう。冬季講習とかの終わりに。」
田中「そ!う!だ!♪みたいなこと?」
溌剌としたアンパンマンマーチの歌い出しをやってみせる田中氏に、「そうそう。」と答える今野氏。
今野「それ凄い印象に残ってて。“Only is not Lonely”っていう言葉と、そのアンパンマンマーチの、“アンパンマンも孤独だけど戦ってる”っていう話をするんですけど。振り返るとそれしか覚えてないんですよ。
個別指導の講師をしているとありましたけど、例えば、物凄い教え方が上手な先生なのかもしれない。でも、ゆくゆく大人になった時に、その生徒が自分のことを思い返した時に思い出すのって、ほんと他愛も無いことだったりとかするんで。これ、持ち合いだなと思っていて。
西谷先生も、アンパンマンマーチを絶対歌うんだと決めて絶対歌ってたと思うんですけど、そういう自分がしたい話というか小ネタというか、ひとつ用意しておいても良いんじゃないかなという気はします。」
田中「凄い先生やな、それな。でも、忘れないよね。」
今野「そうです。」
田中「なんか、歌いましょう。はい。」
会場で笑いが起きるも、そうして、歌えばいいのである。
砂糖が通っていた予備校の日本史の先生は、高橋是清の絵を如何に上手く早く描くかを叩き込んだ。受験で是清の絵を使うことはなかった。日本史も苦手なままだった。でも、少し好きになれた。
【質問3】初対面より、浜辺美波。
田中「ありますよね。やっぱり。すごい頷き方やな、会場。なんでそんなに浜辺美波に反応するんや。」
会場では食い入るようにスクリーンに映し出された浜辺美波を見ていた。もちろん、砂糖もメモを書いていた手を止めて浜辺美波を見ていた。
田中「初対面の人に、印象に残ろうとか、深いコミュニケーションしようってそれは無理ですよ。縁がある人とはたまたまなのか、絶対、2回、3回って会うんで、それからでいいんじゃないですかね。僕も初対面の人の前でいきなりボケをかましたりしないですからね。変な人と思われるもん。嫌やもん、俺、そんなん。はい、今野さん。おっ!」
田中「今野さんの答え、「一期一会」。今日、赤松住職お越しなのご存知ですか。」
今野「マジですか。」
田中「あの黒い帽子です。」
今野「ほんとだ・・」
田中「この写真の、コラのネタ元やろ!」
今野「ご自分の写真と僕の写真を合成した写真を作ってくださったの、気に入ってるんですけど。もう1枚めくってもらって。」
ここは大喜利会場だったかと皆が思ったことでしょう。
今野「次もお願いします。」
浜辺美波から今野住職へと注目が移ろいゆく中で、質問を思い出そう。初対面の人との会話だ。
今野「この質問見ながら思ったんですけど、多分、生まれてから今までめちゃくちゃ初対面をやってるはずで。僕なんて人に会うのが仕事だから。下手したら十万人は言い過ぎでも、数万人と会ってると思うんです。でも、普通に関係が続いてる人とか著者って振り返ると多分100人くらいしかいないんですよ。
だから、初対面で上手くいこうとか、初対面だからってことを気にしても、結局、時の流れが関係を続ける人を絞っていくので。初対面だからってあまり気を負わないほうが良いし、そこを持っていたほうがいいんじゃないかなって。気負ってるのって伝わっちゃうので、普通の人なんだな、何か自然体だなと思われたほうがむしろ印象に残るんじゃないかなって僕は思いますね。」
田中「僕もつい昨日、出会ってから6年もお付き合いしてる方と会話をして。それが、まあ言うても100年生きないじゃないですか。60歳でぽっくり逝くかもしれない。だから6年お付き合いしてる方っていうのは、物凄い縁が深いんですよ。
でも、その人とも初対面の時は何の気なかったんだけど、1回目会ってから本当にお付き合いが始まるまでは半年後くらいですよ。それから6年経つから。初対面でどうこうはない。その時はよくわかんないけどお互い自己紹介みたいなことだけで、縁があったら必ず会いますよ。そう、思います。はい、次のご質問!」
【質問4】きっかけが作れないなら、心に高倉健を、渋川剛気を。
田中「たいせーさん、いらっしゃいます?ありがとうございます。わかるわ〜。」
今野「めっちゃわかりますよね。」
田中「健さんですよね。これ、テレビの生中継ですよ。」
上記のような高倉健さんの画像が会場のスクリーンに何枚も映し出される中、会場も「・・・。」の雰囲気が漂う。
田中「高倉さん!どうしますか?こういう場合は!」
田中「でも、カッコええ。放送事故かと思いました。」
これには田中氏も笑ってしまい、客席からも堪えきれず笑い声が漏れた。皆、よく頑張った。
田中「でも、沈黙の効果もあるし、無理してしゃべらなくてもいいんじゃないですかね。」
ここで田中氏の言う「沈黙の効果」については『会って、話すこと。』(P.131-P.132)でも沈黙術として書かれいている。是非、読んでみてほしい。それでは今野さんの回答。
田中「これはどういうこと?」
今野「次、めくってもらっていいですか?」
田中「ほう!」
今野「『刃牙(バキ)』っていう漫画に、合気道の達人で渋川剛気ってキャラがいるんです。物凄いちっちゃいのに漫画みたいな巨漢の男をどんどん薙ぎ倒していくんです。敵の加えてくる相手の力を利用して、それをそのまま利用して返すってことをしてるんです。
自分からきっかけを作れないってことだと思うんですけど、相手に言われたことに対してどう返すかってことに個性を出すこともできるはずで。
それは素早く返すってことではなくて、じっくり考えて返す奴なんだって思われたら、それはすごい個性になると思うんですよね。
だから、自分からきっかけを作らなきゃいけないって思い込まなくてもいいんじゃないかなって。」
今野「陸上も、地面からの反発を如何にして前に進めるかっていう。」
(今野さんはずっと陸上部で活躍されていたのだ。)
今野「この人は、凄く力がある、筋力がある人なんだけど、一番、地面からの反発の力を前に進める力がうまくて人類一位になった人なんですよ。反発を利用するというか、力を借りるというか。そういう意識で居てもいいんじゃないかなと思います。」
田中「なるほどね。どうですか、たいせーさん。向こうの勢いがあったら、それをずっと利用するということ。それもわかるな。うん。」
会場に居た彼からはその場でこんな返しがあった。
田中「ツッコまんでいいんですよね。いなしたり、躱したりすることが結構有効かなと思います。」
【質問5】裏で麻薬取引はやめてください!
田中「きょうこさん!いらっしゃいますか?ありがとうございます。そうね、言葉の裏ってあるね。はい、私の答えです。」
「その調子で生きていけ」という地球始皇帝からのメッセージには会場にいるお客さんのみならず、登壇しているふたりも笑ってしまっている。
田中「だって、相手が本当はよくないけど言葉上「いいですよ」と言われたら、「いいですよ」って言われたって許可もらった〜!!って大騒ぎしていいじゃないですか。僕は得だと思うんですけどね。言葉の裏を読むのはしんどいから、僕は読まないようにしてます。どっちかっていうとね。」
田中「なんでもいいんですよ。「ウィ」って言っておけば。」
地球始皇帝からわりかし盗み易い言葉をいただいた。早速、今から活用しよう。みんなで、「ウィ」だ。
続いて今野さんの答え。
今野「待って待って待って待って。」
今野さんの話と共に次のスライドをポチポチ押す地球始皇帝にストップをかける。今回、質問を読み上げるのが今野氏、回答は田中氏、と交代にしていたらせっかちな大阪帝国を拠点とする地球始皇帝は幾度も今野氏から「待って」と言われていたのだ。流石に客席からも笑いが漏れた。
今野「居ますよね。裏を読まなきゃいけないとか、裏の裏を描いていくのは良いことみたいな。」
田中「会話術の本にはいっぱいあるんですよ。」
今野「めっちゃあるんです。でも、そんなことする必要なくないですか。というのも、正直に生きられない人が、裏を読もうとするんですよね。」
田中「恋愛にも駆け引きの人っているじゃないですか。こっちが忙しくて、LINEが10時間くらい既読にならんかってほんまに忙しかった時があったとして。10時間後に怒ったメールが来て、「駆け引きはやめてよ」。「忙しいんや!」っていう。」
あまりにもわかり易い例えに会場には笑いの声が響く。
田中「駆け引きしてない!10時間放置するっていう駆け引きを。でも、その人は社会とか、言葉とか、行動の裏しか見ようとしてないから、人が10時間放置してるっていうのは裏があると思っちゃうんだよ。いやいや。俺はそういう時は、大体忙しいか、寝てるかって思うようにしてる。自分がそうだから。
駆け引きを自分がする人とか、自分が過ごせる人が、人に裏があると思うんじゃないですかね。だからラクになって。きょうこさんがそんな裏のある人には見えない。裏、後ろで麻薬取引してるようには見えない。」
いつからきょうこさんが麻薬取引をしているような対象となったのか、本当にわからない。
田中「大丈夫ですよ、はい。「ただし、」今野さん。」
今野「正直に生きろって言っても、「正直」って言うのは逆効果だなっていう。」
「あー正直思いますねぇ!!」とおしゃべりク●野郎である地球始皇帝が茶々入れをする。会場は笑いに笑いを重ねている。「正直」と言うことが逆効果となる理由を聞こう。
今野「これなんですよ、まさに。昔の同僚で、「先輩の八宝菜は、正直、うまいっス。」って言った奴が居たんですよ。ってことは、八宝菜以外うまくないんじゃないかっていう。」
田中「ハッハッハッハッハ!そっか!」
今野「「正直」って言わなくていいじゃないですか。」
田中「そうだね。」
今野「普通にうまいって言えばいいのに、普段言ってないこと言おうとしてるから「正直」って出ちゃうわけで。「この会社、正直、辛いです。」って言うのも本当は辛かったんだけど辛いって言えなかったから「正直」っていうのが出る。「正直」って言うと、自分に嘘をついていたりとか後ろめたいことがある人が言っちゃう言葉だなっていう。」
田中「あ〜、それあるね。完全に嘘ついてた人が問い詰められると、「本当のこと言うね」って言うもんね。最初から言っとけ本当のこと!はい、ありがとうございます。麻薬取引はやめてください!」
【質問6】喋りすぎ問題に喋りすぎながら迫る
田中「名無しさん、いらっしゃいます?名無しだから居ないか。あっ!居た!!名無しさん、ありがとうございます。私の答え!」
「いや、知らんけど。」と今野氏から唐突の「知らんけど」が入り、「知らんのかい!」とすかさず田中氏が返し変態仮面田中に笑いが起きる。
田中「大体喋りすぎやから。今日の時間配分も全然わからんからさ、凄い追い詰められてるんですけど。でも・・好き!そんな自分が!!」
確実に予定時刻に終わる気配はない。自分が好きだと公言する田中氏に会場では笑いが起こるも、自分を好きな人を見ているのは清々しい。
田中「コンパクトにするとか、コンパクトなんて無理ですよ!コンパクトなんてテクマクマヤコンですよ!これですよコンパクトって!!「匿名配送」!なんで匿名配送なんや!!今野さんの答え!」
田中「あっはっはっはっは!志田くんは、小でも個室なの?」
今野「小学校の時に、志田くんって友達がいて。必ず、トイレの個室に入っていくんですよ。小学校の時って個室に入る子っていじめられるじゃないですか。で、いじめられてたんですけど。めげずに小の方に行かずに絶対個室に入って行く奴がいたんですよ。それ見ててカッコいいなと思って。」
田中「何がカッコいいんや!」
今野「堂々としてるし、大なのか小なのかわかんないけど、「俺は大だ!」っていう宣言をしてるわけですね。」
田中「逆にじゃあ何?小で大をするやつもカッコいい?」
この人、何を言っているのか。
今野「大は小を兼ねるって。」
田中「ああ、そうか。」
田中「あー、そうね。細部を書くってのは大変なんですよ。つまり、言葉を削ぎ落としていかないといけない。だから、質問に立ち戻ると、喋りすぎを防ぐためには自分の伝える言葉を絞っていかないといけないじゃないですか。そんなん無理やと思うよね。一生懸命喋っても、つまらんことはいっぱいあるわけやから。「喋りすぎて失敗したな〜」くらいがいいんじゃないですか。」
細部については『会って、話すこと。』(P.132-135)でも言葉は「細部」が大事と触れている。
今野「僕は田中さんと付き合っていて思うのは」
田中「付き合ってんの、俺ら!?!!」
今野「いろんな意味合いがありますよね。日本語って難しい。喋るじゃないですか。こんな感じで。でも、文字数はビジネス書の中で1、2を争うくらい少ない。」
編集者という仕事をしている今野氏に日本語の難しさをイベント中に知らしめる地球始皇帝は言う。
田中「ペラッペラの本ですよ、これ!」
今野「書く時はすごく短くなるんですよ。それは何故ですか。」
田中「まあ・・ラクをしたいから。でも、ラクをしたいからですよ。ラクをしたいがために、文字を減らす。」
何度ラクをしたいと言うのか。ラクしたいというのはさておき、田中氏が話している時にはお喋りク●野郎になる一方で、書く時に短くなるその心は。
田中「それは読者を信頼するってこともあるけれども、いっぱい説明した本って凄い嫌なんですよ。最小限の文字数で、もし相手にこれが伝わる可能性があるならギリギリまで減らしたい。でも、それは「書く」っていうしんどい作業においてやることであって、喋るのは今見てください。僕の今日、どこに隙間があります?これ。」
「高倉健とえらい違いですよ。モテ度も違う。」と地球始皇帝にも敵わぬ部分があることを表明した。喋っているところを切り抜けば、おおよそ3周半回って1260度くらいは違うだろう。
今野「でもなんというか、説明しているわけじゃないですよね。多く喋ってボケ続けてるけど、別にわかって欲しくていろんな角度から説明してるわけじゃないじゃないですか。」
田中「ああ、そうね。だって、そんなに色々説明されても嫌でしょ。だからTwitterは役に立ちますよ。140字しかないから。それで言葉足らずで遠慮したり、人に文句言われることもあるけれども、長く書いて人に文句言われるよりだいぶ良いですよ。140字しかないからお前が誤読してるんだって言えますからね。まあ、そういうことです。」
どういうことだかわからないが、Twitter活用術の裏技をしれっと言ってしまう地球始皇帝にはどうも納得してしまう。今すぐTwitterという140文字しか書けない青い鳥のアプリを使ってみよう。田中氏も令和四年に入り使い始めたばかりだ。
今野「多く説明しなきゃいけないってもし思っていらっしゃるんだったら、そうじゃないんじゃないかなっていう。」
田中「喋らなくちゃいけないんじゃなくて、自然に多く喋って喋りすぎちゃうのはOK。で、一生懸命削る必要は、僕はないと思います。ということで、強く生きていってください。適当なまとめです。はい、知らんけど。次の質問!」
こんなにも適当なそれっぽいまとめには客席も圧巻だ。強く生きていきましょう。
【質問8】子どもは最高の「外部」
田中「加藤さん、いらっしゃいます?お母さん方との会話が苦手ね。はー、わかる。僕の答え。」
田中「退屈ですと書いてらっしゃるけど、退屈だと感じる時は加藤さんとその人のレベルが合ってないんですよ。加藤さんが上なの。だから、あなたが賢くて、まわりが頭が悪いんです。私は凄い賢い人と会話して、たいくつしたことないもん。何か教えてもらえるもん。だから、学びがないから、そんなに退屈やったら「私のレベルに合ってないんだわ」って思って回り諄い言い方するけど、軽蔑すればいいじゃない。」
加藤さんの悩みには客席でうんうんと頷く姿がたくさん見えた。皆、同じ悩みを持ち合わせているのだ。自分だけじゃない、大丈夫。答えは出た。軽蔑すればいい。
田中「でね、俺も困ることいっぱいあって。例えば」
田中「これ、美容師さん差別するわけじゃないですよ。絶対。でも、美容師さんと話す時、あまりにも生きてる世界が違うから。俺も、美容師さんも。例えば、俺がこの前、鴨長明の『方丈記』読んだんですよ。」
田中「中田のYouTube大学でやってたから、刺激されて久しぶりに読もうと思って20年ぶりくらいに全部読んだの。でも、中田のYouTube大学はポピュラーやけど、『方丈記』まで読む人って少ないから。髪切られながら、「昨日、鴨長明の『方丈記』読んだんですけどね〜」って絶対乗ってこないでしょ。」
田中「だからといって、俺が美容師さんに合わせようと思って「新潟県のハサミはね、モリブデン綱の含有率が多くて、34万円で・・」そんな話、合わせるのも嫌じゃないですか。だから、それは合わせるのもしんどいし、こっちの話も聞いてもらえない時は、ちょっと住んでる世界が違うんだと思います。」
今野「これ良さそうなハサミですね。」
田中「これ32万円。だから、自分が好きな話して煙たがられるか、レベルが違ってその場から離れるか決断するしかないのかなとは思います。厳しい答えですみませんけど。」
田中「今野さんの答え。」
今野「僕、子どもはいるんですけど、夫婦の間に子どもができるって二人にとっての本当に外部の存在なんですよね。子どもの話をしている間は、夫婦で喧嘩していても、元に戻れる存在で。本当にこの言葉はそうだなと思ってたんですけど。
保育園に行って俺も親同士の付き合いがあるんですけど、そこでもそうなんじゃないかなというか。別の話をしなくちゃいけない場面もあるのかもしれないけど、基本、子どもの話をしていればいいんじゃないかなって気がしているんですよね。
子どもの周りの学童の話でも、習い事の話でも、ランドセルの話でもいいですけど。それをしている間は、お互いの子どもを共有した話をしてる限り、そんなに辛いことってあるのかな。でも、やっぱりママ同士のお付き合いだと難しいのかなと思います。」
田中「子は鎹って言いますけどね。子はカスかい?ってのもあります。はい、ありがとうございます。」
えっっっっっと・・今野さんの話、聞いてませんよね?
【質問9】同じ質問が集結、答えは明快。
田中「これね、同じような感じのご質問が多かった!サインの時の会話に悩んでいます。すがさん、いらっしゃいます?ありがとうございます。「ふたりはIZ*ONEやaikoさんとどういう会話を交わしますか?」IZ*ONEと話、言葉が3人くらいしか通じひんからな。」
こんなに同じ質問が集まるものかと驚くも、ふたりの回答の中で砂糖自身「これをされた方は忘れない」という人たちが居ることに気づいた。ここまで読んでくださっているからには、是非、真似して欲しい。
田中「はい。【質問B】マニアは受難さんいらっしゃいます?ああ、はい。ぴょろんさんやないかい!「アイドルの握手会でお話タイムの15秒困ってしまいます」「一言も話すことができません。…今野さんがaikoさんを目の前にして」同じこと聞いとるな。
【質問C】、、これおんなじ人やん!末ぴょろマン太郎は。「憧れの人に会った時にあわあわして上手く話せません。どうしたらいいでしょうか。」と。これは僕からの答え、せ〜の!!」
田中「はい、ね。僕はこういうのが好きです。」
ものって、お金と、選んだ時間、持ってくる手間、相手のことにくからず思うし、それを味わってる時。葉巻、もしいただいて葉巻吸ってる時、「あ〜ぴょろんさんからもらったなぁ」で、一言メッセージが書いてあったらそれ見ながら吸いますから。その人のこと忘れないですよ。で、結構好きになる。別に、ものが欲しいから言ってるわけじゃないですよ。
今野氏も、似たようなツイートを最近していた。これが所謂、「匂わせ」である。それぞれが同じことを思うほど、人は贈りものをされた時、相手の気持ちを想うのだ。
田中氏のものが欲しいわけではないという弁明に客席からは笑い声が溢れるも、これについては砂糖も身をもって本当の話であるとイベント中に気づいた。イベントに参加した際、有り難いことにものをくれる方がいる。絶対に忘れないし、それを見た時は思い出す。今は、PS5とiPhone13Proの256GBをもらえたなら、一生忘れない。別に、欲しいとは言っていない。
田中「僕も、去年から今年にかけて奥田さんと10回くらい会いました。奥田民生さんに会う時に、タバコ1カートン(10箱)。忘れたことない。会う時は絶対渡す。五千四百円よ。でも、タバコにしたら200本もあるねん。そしたら200回、そのうち1回でも「ああ、これ田中くれよったな」って。200本あったら14回くらいあると思うねん。五千四百円、安くないですか?と俺は思う。」
田中「はい、ものって大事だなと思います。別に、僕が欲しいって言ってるんじゃないですよ。」
またもスコットランドのウイスキーとキューバの葉巻の画像がスクリーンに映し出される。田中氏は欲しいとは言っていないし、砂糖も何も欲しいとは言っていない。
田中「はい、今野さんの答え。」
今野「これは本当に田中さんの答えに同意というか、それが一番いいと思っていて。15秒で何か会話しようって無理だと思うんです。でも、サイン会とか贈り物がダメな場合ってあるじゃないですか。」
田中「うん。ジャニーズ事務所には何贈っても捨てられるとか決まってるしね。」
今野「どうせだったら、名前を呼び合って挨拶するっていうことができたら、それで十分かなと。「aikoさん、いつも聴いてます。ありがとうございます。」「今野さん、どうもありがとうございます。」言われたら、もう。何も言うこと無いですよね。」
今野氏は想像してしまったのかにやけ顔になってしまっている。バレバレのその様子を目の前に一同はあたたかい笑顔で見守る。何だここは。
「知らんわそんなん!誰がその個人的な話しせえって」と田中氏から嫉妬が入る。
今野「名前ですよ?やっぱり。」
田中「まあそうやね。名前大事やね。」
今野「自分のキャッチコピーですよ。」
田中「だから俺もサインの時は、「お名前入れましょうか?」って言ったら「ちんピョロ万太郎です」とか「ちんピョロピョロ之介です」みたいな。別に普通に名前名乗ったらええやん!誰にも見えへんのに。でも、ハンドルネームで言うんですよ。ということで、ものが欲しいわけじゃありません!はい!!そろそろ最後かな、金子ゆうきさん。遠くからありがとうございます。最後の質問。」
【質問10】この本は、「〇〇の会話」のために作られた。
田中「金子さんは、僕のYouTubeの配信にもよく質問をくださいますが、大体、質問の中に自問自答で答えが書いてあるのが特徴です。」
田中「と、思うんですよね。家族ってそういうもんだと思う。絶対、傷つくよ。親友も傷つく、家族はもっと傷つく。家族は、傷つけあうんですよ。家家族ってなんやねん。」
皆に共通するこの質問には、イベント時間の中で一番真剣な空気が流れた。
田中「こんなところに誤字が入って、家系ラーメンみたいな。」
スライドで誤記をした本人からツッコミが入り、その真剣な空気は雲行きが怪しくなる。それでも、家族との会話については、会場の空気が、皆の眼差しが、強かった。
田中「家族は、傷つけあうんですよ。でも、その分、傷つけあうことが前提だから、家族は家族であることから逃げなければ、家族同士助け合うことができれば、傷つけあうっていう過程の中でお互い学ぶことができるんじゃないかなと思います。
僕は子どもの壮大なボケ、1ミリも否定する必要ないと思ってて。人類がそもそもロケットみたいなもんだと思ってるんですよ。1代でできないことを次でやってるから化学も発展してるし、社会も発展してるはず。ロケットですよ。」
田中「「俺は燃料使い果たすから、お前はその先へ行け。任したぞ」っていうのが人類の営みじゃないかなと思っています。」
子どもの「ボケ」については反抗期を含めこのような記事もある。こちらもサクッと1分で読めてしまうので金子さんと同じような悩みを抱える方に読んでほしい。
田中「はい、じゃあ最後の今野さんの答えです。」
今野「僕もそれを本の中で書いてたなと思って。」
田中「今でも他人です。」
今野「本当に。むしろ家族との会話に活用してほしいなって思ってるくらいなんですよ。例えば、作っている飯が1週間「不味い」と言い続けたら絶対即離婚じゃないですか。そういう関係を・・」
「ああ!そういう方法があったか!!」と今野さんの横に座っている方が気づいてしまった。「今でも他人です。」と言い放った時点でその予感はあったのだ。会場では最後の質問でも笑いが沸き起こる。最後の最後、今野さんの回答に戻りましょう。
今野「最初、他人だったわけですよね。そこから外部を共有してこれまで上手くやってきてるわけで。だから、外部の話をするっていう。向き合わないっていう。家族にこそむしろ適用して欲しい会話だなと思って作っていました。すごく。」
最後は、今野さんが本書を作った思いが会場に溢れかえりイベントは幕を閉じる。
田中「ということで!お時間いっぱいいっぱいとなりまして、まだ、たくさん質問いただいてたんですが最初に僕が喋りすぎたような気もして。今後もこの続き、もしあったらTwitterでも答えるんで何でもご質問を。あと、今日取り上げられなかったものを高円寺のYouTube配信でお答えしようかなとも思っているので、是非、ご覧ください。」
「で、ちょっとだけね、YouTubeも含めてお知らせがありまして。」とちょっとが6つのお知らせになる地球始皇帝。梅田 蔦屋書店の皆さま、地球始皇帝ともなれば「ちょっと」とはこういうことなんです。
田中「ということで、今野さん、ありがとうございました。」
今野「ありがとうございました。」
田中「ありがとうございました。」
会場には大きな力強い拍手が溢れかえり、梅田 蔦屋書店のアナウンスが流れても尚鳴り止まずに居た。皆、会って、話したかったのだ。それが叶い、幕を閉じたのだ。
ここまで読んでくださった方。あなた、アタマ、オカシ文字数は無限。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
<特別付録>
そして、砂糖塩と言えば!?!!「知らんがな!」とは言わせない!!特別付録が絶大なる人気を誇っています!!知らんけど!
ふたりがイベントでは答えきれなかったあんなことやこんなことまで、一挙大公開!これ、有料にしてええか。
【質問11】サイコパスになりきりましょう
はい!田中さんの答え!!
今野さんの答え!
はい、刺されなければオールオッケーです!!
【質問13】ロバート・デ・ニーロになればいい。
田中さんの答え!
「私はそれで会社を辞めました!これでは答えになりませんので今野さんよろしく」という今野さん任せのスライドがあったので容量の問題で消去しました。
それでは今野さんの答え!!
こちらの質問については以下の高円寺のYouTube配信にて今野さんと上田豪さんが本気で答えています(38:17-45:05)。『会って、話すこと。』(P.68 会話術コラム❶ とにかく話が飛ぶ浅生鴨さん)にも登場する浅生鴨さんや他にも数々のゲストが今回のイベントにはなかった悩みについても答えています。無料で視聴できます。是非、ご覧あれ。
【質問14】キタモノピロキ
こんな質問とスライドが用意されていたとは・・貴重なイベント時間に何聞いてやがお口が悪いのはここまでだ。私と話したければ「【質問9】同じ質問が集結、答えは明快。」こちらを読み直してください。また、3人で並ぶことでしょう。
今野さんの答え!!
マジか・・と思いつつ、他の方にも何らかの形で活用できるかもしれないという思いでこちらの質問を記載しております。
(※決してキタモノピロキのためではありません)
イベント後の12月9日、ヒロキナカムラはこの質問が取り上げられることも、回答があったわけでもないままイベントレポートを書いています。もちろん、私は読んでいます。
「【質問3】初対面より、浜辺美波」での「初対面で打ち解けるのが苦手」という質問にも触れています。キタモトについても触れています。後半はどうでもいいです。
彼の文章は、誰にも出て来ない言葉と落ち着いた流れにハッとさせられます。こんな3卍超えでもなくサラッとそよ風のように読めます。飲めます。この記事をここまで読んだのなら一緒です。『愛って、話すこと。』読んでみてください。
と、いうように勝手に書き記す程になります。キタモトについては書いていない。故に、触れていない。今野さんの回答がそのまま現実となりましたね。
【質問15】続きはTwitterで
田中さんの答えをどうぞ。
ケアマネジャーさん、せっかく質問いただいたからには、田中さんに話してみてください。そのための特別付録。イベントの最後にも、田中氏・今野氏のTwitterにお寄せくださいと言っていました。これは砂糖が発見した田中さんのツイートです。もしかしたら、何かのヒントになるかもしれません。
それでは、今野さんの回答。
何やら「Ryosuke Konnno」に変わっています。何故ですかとTwitterでお尋ねください。スライドが用意されているからには、回答を用意しています。きっと。いや、多分。知らんけど。
「おわりに」の予感
今回は文字数の問題もあり、書ける内容も、ピックアップできる質問も限られてしまいました。
この記事を読んでくださっている方、心当たりのある箇所や実は悩んでいたなという質問があったのではないでしょうか。ありましたね。ありました。あった。
砂糖自身も、寄せられた質問を会場で目にしながら一緒に考えました。そして、2人の回答と共に本書の文章が幾度も過りました。『会って、話すこと。』151頁にこんなことが書いてあります。
当イベント内容を読んで、「ボケ」や「ツッコミ」がテクニックだと思いましたか。そう思った方はもう一度読み直すか、本を読み直してみてください。必ず。
そして、読み終わった方も、これから読む方も是非注目していただきたい箇所があります。(ヒント:『会って、話すこと。』目次)
お分かりいただけただろうか・・
第2章と第3章にカギ括弧付きのタイトルがある。目次を今一度捲ってもらったらわかるが、「(めくるめく編)」とは何なのか。これはイベント後の裏話で田中氏・今野氏が共に「なんやねんこれ」と笑っていた箇所である。今野氏は、この箇所について「何にしようと考えたら、この言葉しかなかったんですよ」と言う。
この目次に気づいた者は居ただろうか。ここまで読んでくださった方なら居るかもしれない。もし、この目次に違和感を覚えた者が居たら本記事と一緒にツイートしてください。共著となった二人が感動します。
最後に
やっっっときたぜ!最後に!!ありがとう!さようなら!!と、終わるはずだったがまだ終われない。待て。最後に。
本来、この記事はこのように書く予定でした。
それがどうして37,331字になったのかわけがわかりません。時空が歪みました。
今回、ようやく会って話すことができた方々のツイートと、『会って、話すこと。』を通じて砂糖がどうしても外せないと思った関連記事や本を厳選して貼り付けます。
【必読】これを読まずして「読了」などとは言えない書籍関連記事と書籍を紹介
記事のタイトルと共に、『会って、話すこと。』該当箇所を記しています。一緒に読んでみてください。より、楽しめます。優しくなれます。泣いてしまいます。
あなたが機嫌がいいと、世界は機嫌がいい 【寄稿】田中泰延
「わたしのこと、好きですか?」(P.155〜)
「機嫌よく生きる」大切さ(P.166〜)
『ウイスキー! さよなら、ニューヨーク』(宮本敬文著)
「出会い」とは「仕入れ」が他人と響き合った時(P.224〜)
わたしとあなたの「あいだ」に。
だから、会って話したい。――『会って、話すこと。』刊行記念 田中泰延×今野良介トークイベント@青山ブックセンター
(当イベントの東京編!同じ本なのに内容、まったく違います!!)
【おまけ】田中泰延、書籍関連記事と生々しい生音声とAudible
『会って、話すこと。』著者の田中泰延氏特別インタビュー全4回
田中泰延×阿部広太郎「自分のことはしゃべらない。相手のことも聞き出さない」『会って、話すこと。』(ダイヤモンド社)刊行記念
目を瞑り横になりながら聴ける『会って、話すこと。』VOOX
Amazon オーディオブック(Amazonプライム会員は30日間無料体験できます)
Audible版『会って、話すこと。』
収録風景(※ナレーターさんはふたりではありません)
これがすべてのはじまり『最高の女、「田中泰延」を口説いた男、今野良介。』
スターウォーズ方式で『読みたいことを、書けばいい。』を読んだあなたへ
Twitterの民よ!飛んでけ!!?!
イベントに参加された方々のツイートです。ここまで会場の様子を文字で表現していましたが、実際に参加された方々の写真・感想・感動を載せて本記事も終わりとします。
ここまで読んでくださった方、本当にあなたはサイコパスです。
ありがとうございました。
また会いましょう。
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