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マーケティング グロースハック入門 Part5

こんにちは。デジタルマーケティング・グロースハック入門第5回目です。前回は貢献アイテムへのユーザー誘導方法についてお話しました。今回は、グロースハックの根幹となる「ABテスト」について、「ABテストは顧客との対話である」というお話をしたいと思います。


ABテストは顧客との対話

まずメソッド全体の目次を貼っておきますね。それぞれのリンクをクリックすると各パートに飛びます。

0: 事前準備(Part1)
1: まずはバケツの穴を塞ぐ(Part1)
2: バケツの穴は後ろから塞ぐ(Part1)

3: 改善対象は二兎を追わず一度に1つずつ(Part2)
4: CV貢献アイテムを見つける(Part3)
5: リテンション貢献アイテムを見つける(Part4)
6: アイテムへの誘導方法を工夫する(Part4)
7: ABテストは顧客の理解の為に使う
8: とにかくテストの数を重ねる
9: シナリオ全体の整合性を整える
10:シナリオの命名法則を整え整理整頓する

さて今回は、みんな大好き「ABテスト」と「PDCA」の、超基本的なお話です。ABテストが何かわからない、という方は殆どいないと思うのですが、ABテストを実施する目的について、皆さんは次のように考えていませんか?

「AかB、どちらがより良い成果を出せるのか」ということを検証するため

たしかに、この定義でも間違ってはいないと思うのですが、私はABテストの目的を「顧客を理解する為」と考えています。

実際に、皆さんがブティック等でバッグなどをお買い物するシーンをイメージしてください。店員さんが接客してくれた場合、色はどちらがお好みですか?サイズはどちらがお好みですか?など、色々とヒアリングしてくれます。

店員さんは、いくつもの商品をテスト的に提案する事で、お客様の好みや嗜好を探り、より適切な提案を行えるよう、学習を行っているわけです。つまり、「対話」を通じて「お客様を理解しよう」としています。

Webサイト等で行うABテストも、ただ単に「Aの訴求が勝つか、Bの訴求が勝つか」という観点ではなく、「なぜAの訴求が勝ったのか?」「この場面においてお客様が求めている事は何か?」といった、「顧客理解」に利用する事を目的とする事で、より意味のあるテストが行えるようになります。

つまり、ABテストは「顧客との対話」と考えてください。

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ABテストの具体的手法については、ググれば沢山のハウツーサイトが出てくるので、ここで書くまでも無いのですが、「顧客理解の為に行う」という事をより深く理解して頂く為に、具体的な例をあげて説明したいと思います。

例として「新サービス」の広告バナークリエイティブを、テストするケースで考えてみます。新サービスなので、ゼロからクリエイティブを考えていく場合を想定しています。

事例サービスはこちらです。


検証ターゲットを明確にする

当たり前の事なのですが、「どのような顧客」を理解したいのかを明確にし、設定する必要があります。顧客群によって、検討深度も趣味嗜好も異なりますので、当然、反応する訴求軸やクリエイティブは異なります。

まずは、そのサービス自体が想定しているメインターゲットを想定して、ABテストを通じた「顧客との対話」を行っていきます。当然ですが、「A・B」両方とも同じターゲットに対し実施してください。

まず、振り幅の大きい「訴求テスト」を行う

新サービスの為、そもそもどのような訴求が、ユーザーの心を捉えるのかわかりません。なのでまずは、ユーザーに刺さる訴求をABテストを使って探していきます。

このプロセスがまさに「顧客の理解」に他なりません。ユーザーがどのような「課題」を抱えており、「何を解決したい」と考えているのか。それを知る事を目的にABテストを進めます。

「顧客の抱える課題」と「ベネフィット」を対象に、考えられる要素を洗い出します。

顧客の抱える課題の例
・時間が無い
・営業されるのがやだ
・電話が苦手
・面倒臭い
・損をしたく無い
・まだ本気で売る気は無いけど査定金額は知りたい

洗い出した要素を用いて、テストバナーを作成します。顧客が気にしているのは、営業や電話等の心理ストレス面でしょうか?それとも時間や面倒といった手間の面でしょうか?テストの際には、できるだけ異なる「課題」をテストする事で、まずは大きく顧客心理を把握していきます。

テストの対象要素は一度に一つまで

テスト対象の要素が2つ以上あると、KPIを変化させた要素を特定できなくななります。要素が特定できないという事は、「顧客の理解ができない」という事です。

よって、クリエイティブは統一し、まずは「訴求メッセージ」のみに集中し、ABテストを進めます。

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目的を明確にしKPIを決めましょう

テストの目的によって検証対象となるKPIは変わります。今回は、「ユーザーがどのような課題を抱えているのか」を知る為の検証となるため、ユーザーのバナーに対する反応の違いを検証します。よって、検証対象KPIは「CTR」となります。

ただ最終的な目的は、この場合「アプリのインストール」となります。よって、「ユーザーの抱えている課題に対する解決策として、今回のサービスがマッチしているのか」も同時に把握する必要があります。

よって、KGIとして「インストール率」も同時に検証対象KPIとして設定します。

訴求が決まったらクリエイティブ方針テスト

訴求テストを繰り返していって、ユーザーの課題を理解できたら、いよいよ訴求コピーを固定して、クリエイティブのテストに入ります。

クリエイティブのテストの際も、訴求テストと同様に、考えられる要素を洗い出し、クリエイティブ方針を決める為のテストを行います。

方針の決め方はいくつかあると思いますが、「抱えている課題」を直感的にイメージさせる方向と、「課題の解決方法」を直感的にイメージできる方向の2つが、まずはわかりやすいと思います。

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テストボリュームと期間を決める

テストは一定量のボリュームが無いと、統計的に有意な結果を出す事ができません。Googleアプリキャンペーン等の自動化ツールを使用している場合には、GoogleのAIが統計的に有意な差が出た時点で、自動的に判定してくれますが、手動で行う場合には、代理店等に相談しましょう。

PDCAは質よりも量

ABテストを含むPDCAは、とにかく「質よりも量」です。筋の良い仮説を考えようと、深い分析に大きな時間を費やすよりは、その時間を、テストの回数に当てた方が、実際には早く成果を出す事ができます。

もちろん、闇雲にやりましょう!というわけでは無いのですが、データ分析や顧客調査を行ったとしても、実際の顧客の心を本当の意味で伺いしる事は難しいです。

顧客を理解する最も確実な方法は、「顧客との対話」です。初めてあった人と理解しあう際にも、できるだけ多くの対話を通じて、相手を理解しようとするはずです。

よって、あれこれと悩むよりは、早く、多くの対話を重ねる事が、PDCAは質よりも量という事の意味です。

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最後に

今回は、原則7と8にあたる、ABテストとPDCAについて書かせて頂きました。


他にも「LTV」についてなども、書いてますので、もしよろしければ、お読みくださいませ。


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