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マーケティング グロースハック入門 Part4

デジタルマーケティング・グロースハック入門第4回目です。前回はグロースハックの肝となる「貢献アイテムを見つけよう」というテーマで書かせて頂きました。今回は、貢献アイテムにどうユーザーを誘導するのかを書きたいと思います。キーワードは「映像で想像する」です。


いかに貢献アイテムにユーザーを誘導するか

まず、最初にメソッドの目次を貼っておきますね。一番最初からお読み頂くのが、一番理解しやすいと思います。

0: 事前準備(Part1)
1: まずはバケツの穴を塞ぐ(Part1)
2: バケツの穴は後ろから塞ぐ(Part1)

3: 改善対象は二兎を追わず一度に1つずつ(Part2)
4: CV貢献アイテムを見つける(Part3)
5: リテンション貢献アイテムを見つける
6: アイテムへの誘導方法を工夫する
7: ABテストは顧客の理解の為に使う
8: とにかくテストの数を重ねる
9: シナリオ全体の整合性を整える
10:シナリオの命名法則を整え整理整頓する

前回のPart3では、「CV貢献アイテム」「リテンション貢献アイテム」を見つけ、それに誘導する事が大事というお話を書きました。

そして、貢献アイテムとしてオススメのモノとして「認知的不協和解消アイテム」がありますよ、というお話と、ツール等を用いた分析アプローチで見つける方法までを解説しました。

今回は、それら「貢献アイテム」に、いかにユーザーを誘導するのかというテーマを書きたいと思います。キーワードは「映像で想像する」です。

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貢献アイテムによりどのような心理変化を起こしたいのか

貢献アイテムへの接触方法を設計するには、以下の内容を定義する事がゴールになります。私は「顧客シナリオ」と呼んでいます。

・ どんな心理状態にあるユーザーに
・ どんな内容の貢献アイテムを
・ どのような場面で
・ どのように接触させ
・ どのような心理変化を起こさせるのか

そもそも何故、貢献アイテムに接触する事で、ユーザーはCVしやすくなったり、リピートしやすくなるのでしょうか?それは、貢献アイテムに接する事で、ユーザーの心理状態に「何かしらの変化」が発生するからに他なりません。

よって重要な事は、ユーザーの心理状態にフォーカスする事です。今回は、前提として、定量・定性分析によって、予めCV等に貢献するアイテムがわかっている前提のため、その心理状態を逆引きで考える事になります。

・ この貢献アイテムに接触したユーザーは
・ どんな心理状態が
・ どのような理由によって
・ どのように変化したのか
・ そしてどういう行動をとるのか?

例えば具体的な例として、中古車検索サイトに5回程訪問したユーザーに、その中古車販売店の「サービス紹介ページ(品質へのこだわり、充実の保証、アフターサービスが纏まったLP)」への、リンクバナーを動的接客により接触させるケースで見てみましょう。

実際にガリバーで実施したケースですが、接触ユーザーのCVRは、非接触ユーザーの3倍になる事が、ABテストでわかっています。(CV貢献アイテム)

・ サービス紹介ページに接触したユーザーは
・ 中古車なんてどこも同じだろうから、価格とクルマだけわかればいいやという心理状態から
・ 業界最大手ならではの、商品品質に対するこだわりや、大手ならではの充実した保証サービスを知り、中小販売店との違いを理解する事で
・ やはり購入するなら大手がいいなという安心感と、価格に対する納得感が生まれる事で
・ 問い合わせをしてみる事にした

この整理で、貢献アイテムが心理変化にどのように寄与するかの仮説を手に入れる事になります。次のステップとしては、最初のシナリオに整理しなおし、シナリオに必要な要素を決めていきます。

・ どんな心理状態にあるユーザーに 
クルマの購入を検討しているが、中古車なんてどこも同じだろうと思っているユーザーに
・ どんな内容の貢献アイテムを
業界最大手ならではの、商品品質に対するこだわり、大手ならではの充実した保証やアフターサービスを、中小販売店との差別化を強調するような内容
・ どのような場面で
個車詳細ページを3ページ見た段階で
・ どのように接触させ
Web接客ツールを用いた動的バナー(オーバーレイ)で接触させ
・ どのような心理変化を起こさせるのか
やはり購入するなら大手がいいなという安心感と、価格に対する納得感を生じさせる

このシナリオ仮説を持った上で、シナリオの各要素(内容・接触方法・タイミング)をチューニングするABテストを繰り返して、シナリオの精度を向上させていきます。

筋の良いシナリオを作るためのコツ

このシナリオの重要なポイントは、全て「ユーザーの心理状態の想像」にかかっているという点です。

常にフォーカスグループインタビュー等で、顧客の声を直接聞ける場合は別ですが、中々、日常的な業務の中でそのようなアプローチ取れません。よって、マーケターの「想像力(妄想力)」が重要になってきます。

この心理状態の洞察にオススメの方法が「映像思考力」です。

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映像思考力

映像思考力では、ユーザーが実際にWebサイトやアプリを、スマートフォン等で利用しているシーンを、「映像(動画)」で想像します。ここで重要なのが、「静止画(ピクチャー)」ではなく、動画で行うという点です。

ユーザーの実際の行動は当然ながら「静止」状態ではなく、常に「動いて」います。そして、感情は実際の動きの中で発生します。よって、できるだけリアルに「ユーザーの心理状態をトレース」する為に、ユーザーに成りきって動画で妄想する必要があります。

その際、できるだけリアルに想像する為に、電車なの中なのか、家のリビングなのかといった、実際の「状況」や、音、どの指で操作しているのか、といった点まで、細部に渡り想像を行う方が、より精度の高い心理状態の仮説を生み出せます。

そして、実際にシナリオを設計した後には、そのシナリオが実際に動いている様を、同様に動画で妄想します。これを繰り返す事で、バナー等の制作に入る前に、シナリオの精度を一定状態まで引き上げる事が可能です。

最後に

いかがでしたでしょうか?今回は、事前に分析により貢献アイテムがわかっている状態を例に書きましたが、今回紹介した手法は、もちろん、貢献アイテムがわかっていない中で、企画を立てる場合にも有効です。

いずれにしろ重要な事は「仮説シナリオを、設計図としてちゃんと明文化する」事であり、この作業を行っておく事で、はじめてPDCAを有効に働かせる事が可能になります。

みなさまの業務に少しでもお役に立てましたら幸いです。


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